キュウリは、温室で促成栽培あるいは抑制栽培され、現在は1年中生産されています。魅力はさわやかな緑とみずみずしい香味にあり、塩で軽くもんで乱切りで食べたり、ヌカ漬けをしたり、そのほかもろもろの食べ方ができます。
栽培特性
- 温度や水分に敏感で、特に幼苗期には、夜温18℃以上を確保して育苗します。畑の育苗水分が不足すると育苗不良になりやすいです。
- 根の酸素要求量は野菜の中でも最も大きい方で、土壌の孔隙量が多い方がよく育ちます。
- 茎葉の組織はもろく、風が当たると折れやすいので、支柱立て、誘引を入念する必要があります。風の強い畑では、防風垣を設けるといいです。
品種
市場に出回っているキュウリの形・色などは画一的ですが、キュウリには果実や性状の異なるたくさんの品種があります。
キュウリの品種と特徴はこちらで確認して下さい。
栽培方法
【苗作り】
- 3号のポリ鉢に種を3粒まきます。
- ビニールトンネルを作り、その中に発芽するまで密閉、発芽したら換気し、30℃以上にならないようにします。
※小さいうちはトンネル内で育て、夜温15℃以上、幼苗期は18℃以上が望ましい。夜間はこもなどをかけて保温につとめる。(寒い地方では農業用電熱線で加温する)
- 本葉1枚の頃1本にします。
- 本葉3~4枚の苗に仕上げます。
【畑の準備】
1㎡に2握りの苦土石灰を施す。耕すのは浅くていいです。1週間後にベッド畝を作ります。
【土作り】
1㎡当たり、堆肥4~5握り、化成肥料大さじ3杯、油粕大さじ5杯
幅90cmくらいの小高い畝を作り、元肥を前面にばらまいて鍬で15~20cmくらいの深さに耕します。ここでのポイントは、根は比較的浅く広がるので、元肥も浅層に、前面に混ざるように施した方がいいです。
最後に通路の土を畝に盛り上げて平らにします。
【支柱立て】
支柱立ては合掌作りでもいいですし、畝の真ん中に3本並べて立てる方法もあります。ここでは合掌作りでする方法で進めます。
合掌作りの動画です。参考にして下さい。
支柱が立てれたら、支柱のそばに植え穴を掘ります。間隔は50cmくらいです。
キュウリは成長する過程で茎や葉を伸ばし、果実を実らせます。そのため、栽培全期間にわたり均等に肥料を与えることが大切です。バランスの良い「ボカシ肥」や「マイガーデンベジフル」などの配合肥料が適しており、推奨されます。植物の生育を効果的にサポートし、家庭菜園に最適。使いやすい2種類の肥料で健康な植物を育てましょう。
ボカシ肥は、米ぬか、油粕、魚粉など、数種類の有機物をブレンドし発酵させた肥料です。
【セット買い】住友化学園芸 肥料 ベジフル液肥800ml+肥料 マイガーデンベジフル粒700g【植え付け】
先ほど掘った植え穴に根鉢を崩さないようにていねいにポットから抜き取り植え付けます。植え付けましたら水を十分にやります。
参考
市販のキュウリの苗には、実生苗と接ぎ木苗があります。接ぎ木苗は価格が高いですが、その分メリットがあります。
一つは蔓割病にかかりにくくなることです。キュウリは連作するとこうした病気が発生するのですが、接ぎ木苗を植えることによって病気にかかりにくくなります。もう一つは、低温に対する抵抗力が増し、遅くまで収穫できるようになることです。
【誘引・摘芯】
浅い根を守るために敷きわらや刈草を敷きます。敷きわらや刈草を敷くことで土の乾燥を防ぐことができますし、雨による泥跳ねを防いで「ベト病」などの病気を抑えることもできます。
ベト病につきましてはこちらで「被害症状・生態・防除方法・有効薬剤」がわかります。
【追肥】
追肥は15~20日おきにして肥ぎれさせないように育てます。根の伸びている範囲をよくとらえて施すのがコツです。
【収穫】
キュウリはハサミで切ります。
キュウリが正常に育つと長さが22~23cm、100~120gくらいになりますが、草勢が弱った時の長さは10~12cmくらいですので、その時は若どりして回復を早めましょう。
また、曲がり果や尻太果が増えてきましたら、速効性の化成肥料などを用いて早い草勢回復を図りましょう。
栽培のポイント
【支柱はしっかり立てる】
生育適温は18~25℃で、ナスやピーマンほど高くはありませんが、遅霜の心配がなくなってきてから植え付けるようにします。酸性土壌を嫌うので、土づくりの時に必ず苦土石灰を施して酸度調整を行っておきましょう。
よい苗は、子葉がしっかりついている本葉が3~4枚ついた大きさ、節間が詰まってがっしりしている、病害虫がいないという条件を満たしているものです。接ぎ木苗なら心配いりませんが、実生苗なら連作障害が起きないように、2~3年は畑をあけるようにします。
苗植えつけの前後どちらでも構いませんが、合掌式支柱やU字支柱を立てます。蔓が成長すると相当な重さになるうえ、風の影響も大きくなるので、がっしりした支柱を立てることが大切です。支柱にはキュウリ用のネットを張っておくと、巻きひげが勝手に絡むので誘引の手間が省けます。
【梅雨期の病気に注意】
初心者でも簡単に育てられますが、意外にも病害虫が多く、とくにベト病とうどんこ病は必ずといってよいほど発生します。
ベト病は梅雨期など高温多湿なとき、肥料ぎれのときなどに発生しやすいので注意します。菌は土壌の中にいて、雨などの跳ね上がりで下葉につき、発病します。畝や畝間にわらなどを敷いて、泥の飛び跳ねを防ぎます。
うどんこ病はやや乾燥気味で、冷涼だったり日照不足だったりすると発生しやすくなります。
発生を見つけたら直ちに、被害葉は摘み取って処分し、殺菌剤を葉の表裏に散布しましょう。耐病性の強い品種を選んで植えるのも賢明です。
【雌花のつき方で変わる整枝法】
キュウリは、花のつきかたによって節なり型と飛び節なり型、中間型に分けられます。その型によって、整枝の方法などが異なってきます。
節なり型は親蔓(主枝)の各節に雌花がつく性質をもつものなので、涼しい気候を好む春キュウリです。ラベルには「節なり」または「1本立ち」と表記されています。基本的には主枝1本を伸ばし、下から5節めくらいまでのわき芽はすべて摘み取り、それより上の子蔓や孫蔓はすべて2節めで摘芯します。親蔓は支柱の丈いっぱいになったら摘芯します。
飛び節なり型は、生育初期は雄花と雌花がつく節が混在し、生育の途中からは雌花だけがつく性質をもちます。暑さに強い夏キュウリです。ラベルには「飛び節なり型」または「3本立ち」と表記されています。
親蔓の下から4節目まではわき芽をすべて摘み取り、7節めで摘芯して、5、6、7節めに残した3本の子蔓を伸ばします。孫蔓の1節めにかならず雌花が咲くので、孫蔓は2節めですべて摘芯します。
中間型は、最初から最後まで雄花と雌花が交じってつく性質をもつものです。多くの夏秋品種はこのタイプです。
親蔓の雄花のついた節からかならず子蔓が発生し、子蔓1節めにはかならず雌花をつけるので、2節めですべて摘芯します。親蔓は、支柱の丈一杯になったら摘芯します。
キュウリの整枝のイラスト動画です。参考にしてみて下さい。
実践編です。
【成長が早いので若どりが鉄則】
実は成長が早く、開花から約7日で、長さ18~20cm程度の収穫ができる大きさまで育ちます。ちょっと畑に行くのを怠ると、たちまちヘチマのように大きくなってしまいます。できるだけ毎日、様子を見て、若いうちに収穫するように心がけましょう。
【追肥と水やりで収穫期間を延ばす】
キュウリの実は急速に肥大するので、実がなり始めると肥料と水やりを多く必要とします。多めの肥料と水やりを行って、実の肥大を促しましょう。
収穫を終えるまでは2週間に1回追肥を施します。肥料がきれたり、株が疲れたりしてくると、実が曲がったり、尻細や尻太など変形したりするので注意しましょう。
参照・参考元:家庭菜園大百科、おいしい野菜つくり、野菜づくり 虎の巻
まとめ
実がつきはじめましたら、追肥を2~3週間に1度はして下さい。病害虫につきましては葉の裏表を確認して害虫がいれば薬剤を散布するか取り除きつぶします。また病気であれば葉を切るなどして健康な状態を保ちましょう。整枝は大切なことですので動画・イラストを確認して整枝法マスターしてください。