【栄養満点】 年中食べられるホウレン草の栽培

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ホウレン草は、霜にあたった方が、甘みが凝縮して、美味しくなります。実際、数十年前までは、秋冬だけで食卓に上がる野菜でした。しかし、今では栄養たっぷりなホウレン草を年中食べれることができます。

出典:写真AC

特徴

ホウレン草は、各種ビタミンや鉄分、カルシウムなどに富む栄養野菜です。また、造血作用もあります。最近はサラダ用としての栽培品種もあります。

栽培特性

  • 耐寒性は強く0℃でも生育を続け、-10℃の低温にも耐えます。
  • 高温には弱く、20℃以上になると生育不良となり夏は育てにくいです。土地の適応性は広く、沖積から火山灰土壌までよく育ち、土壌水分にも割合鈍感ですが、酸性土壌には最も弱い方で、ph5.2以下では、ほとんど育ちません。
  • 日長には敏感で、長日になるととう立ちします。感応性は品種により異なり、長日下ではとう立ちしにくい品種を用いて栽培します。

とう立ちについてはこちらをご覧ください。

品種

在来の新日本や次郎丸をはじめ各種作型に向く、葉型、耐病性、ベト病抵抗性などの異なる多くの品種があります。例えば、オーライ(タキイ)、おかめ(タキイ)、アトランタ(サカタ)、パンドラ(サカタ)などは育てやすいです。

とう立ちと栽培時期

3~5月の春まきの場合、気温が上昇して早く成長しますが、日長が長くなるので、とう立ちも起こりやすくなります。さらに、5~7月にまくと、成長期がホウレン草が嫌う高温期になり、日長も長い為とう立ちが早く進み、もっとも作りにくい時期になります。

そこで、春まきや夏まきでは、必ず晩抽性品種を使いまいます。晩抽性とは、とう立ちが遅れたり、とう立ちしにくかったりする性質のことをいいます。

なお、ホレン草は外灯などの光にも反応し、葉が、見分けられる程度の明るさを昼間と勘違いして花茎を伸ばします。夜も明るい場所での栽培を避けます。

ホウレン草には雄株と雌株があり、花のつき方で見分けられます。ホウレン草は開花前の若い株を収穫しているので、花を見る機会は少ないのですが、黄緑色で小さく、雄株では、雄花が茎の先に穂状につき、雌株では、雌花が、花茎から出た葉のつけ根に3~5個かたまってつきます。花は春から夏に咲きます。

栽培のポイント

【秋まきと春まきの品種を変える】

作りやすい秋まきでは、多くの品種が使えます。ただし、気温のやや低い時期にベト病が発生することがあるので、ベト病抵抗品種を使うと安心です。また、冬に収穫したい時は、耐寒性があり、低温でも伸びる品種を選択できます。

【ベト病の対処方法】

ベト病は、春と秋の気温が10℃内外の頃、特に畑が多湿で、風通しの悪いような条件で発生します。早めの発見につとめ、発見しだい、「ダイセン水和剤の600倍の液を葉の裏表に良くかかるように散布します。特に雨の後で蔓延しやすいので、この時をねらって防除するのが効果的です。

春まきではかならず、とう立ちしにくい晩抽性品種を利用します。秋まきに晩抽性品種を使うと、生育が極めて遅いので、注意が必要です。

【石灰を多めに施し酸度調整】

ホウレン草は酸性土壌にとても弱い植物です。土壌酸度が強いと本葉2~3枚で生育が止まり、葉が黄色くなってしまいます。原因は、酸性土壌では土壌中のアルミナ(酸化アルミニウム)が溶け出し、これが、根の生育を阻害するからと考えられています。好適なphは6.3~7.0といわれます。

日本の畑は酸性土壌であることが多いので、苦土石灰などの石灰と堆肥を施して、徐々に改善していくことが大切です。一度に多量の石灰を散布するのは避けましょう。

最初に施す量は、苦土石灰を適正な酸度の畑に施す場合で1㎡当たり100g程度。これを基準とし、酸性土壌では、やや多めに施します。

土の酸度を調べるには、リトマス試験紙や種々の土壌酸度測定器を使います。なお、雑草のホトケノザやオオイヌノフグリが生えていたら中性が近く、スギナ、オオバコ、ヨモギが生えていたら酸性土壌です。

酸性土壌に生える雑草

【高温多湿の状態では発芽しにくい】

種は畑に直まきをします。連作障害を防ぐため、1年間はアカザ科野菜を作っていない場所にまきます。種は高温多湿だと発芽しにくくなります。また、秋まきでは、長雨による畑の冠水、湿潤に注意します。

まき方として管理しやすいのは条まきです。1週間ごとに少しずつ種をまく「ずらし栽培」も可能です。

タキイ ホウレン草栽培マニアル(ずらし栽培)

種は、内部を保護する硬い果皮に包まれています。昔は種を一晩水に浸し、湿らせた布に包んで発根させてからまきました。

最近では、果皮を取りのぞいたり、発芽しやすく発芽ぞろいも良くなるように処理してある種が多く販売されています。この場合、種に吸水させると、逆に発芽が悪くなります。

【苗の立ち枯れは消毒された種と高畝で回復】

発芽して葉が2~3枚に生育するまでの間に、葉がしおれたり、地ぎわが細くなったり、根が褐色になって枯れたりする病気が出ることがあります。これを苗枯病といいます。

これは、地温が17~28℃と高温で、雨が多く排水が悪い条件で発生します。対策は、消毒してある種を利用すること、高畝にして排水をよくすること、ベタがけをして強雨から保護することなどです。

【発芽を安定させるためにベタがけをする】

種まき後、一斉に発芽させたり、幼い苗を保護したり、虫害を回避したりするために、ベタがけを行うと効果的です。

ベタがけ資材は、気温の低い時期に不織布が適しています。一方、高温期に通気性のよい寒冷紗、防虫ネットなどを選びます。可能なら、トンネル栽培にするのがベストです。

【収穫は草丈20cmを超える頃】

収穫適期は草丈22~25cmです。しかし、順次収穫できるので、20cmを超える頃から収穫をはじめましょう。間引き菜も利用できます。

温暖地なら11月まで露地で栽培できますが、時期によって収穫までの日数が変わります。9月まきは40~60日後、10月まきは60~90日後、11月まきは90~120日後に収穫できます。

また、春まきの場合は、温かくなるにつれて収穫までの日数が短くなります。3月まきで50~60日後、4月まきで30日後、5月まきで25日後に収穫できます。

収穫の目安となる株の重さは収穫により異なり、秋どりで1本20g前後、冬どりで30g前後です。

引用・参考元:家庭菜園大百科、野菜作り虎の巻

まとめ

ほうれん草は、土壌酸度、排水不良、ベト病の防除を怠らなければ、問題なく栽培できます。土壌酸度はリトマス試験紙や種々の土壌酸度測定器で判断し、酸性に傾いていれば、畑全面に石灰をまき耕せば対応できますし、排水不良は高畝にすれば対応できます。また、ベト病にはベト病抵抗品種を買えば対応できます。ベト病の早めの発見につとめ水和剤を散布すれば対応できます。

ほうれん草をは各種ビタミン、鉄分、カルシウムなどに富む栄養野菜です。

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