ヒラメ釣りの舞台となる砂浜、磯、漁港、河口などのフィールド特性に応じた実践的な攻略法を説明します。
ヒラメの習性を理解する
ヒラメのルアーフィッシングは、難しくて釣果が出ないという印象を持つ人もいます。しかし、実際には一投目から釣れてしまうこともよくあります。ヒラメゲームの特徴の一つです。
ヒラメは数は多くないですが、非常に獰猛な魚です。食い気のあるヒラメの居場所を見つければ、意外と簡単にヒラメが釣れることもあります。そのため、ヒラメの基本的な行動を理解することは、釣果に大きく影響します。
シーズンや平均サイズの傾向は、以前述べました。しかし、さらに詳しく言えば、各エリアには独自のパターンがあります。例えば、放流物の小型が浅場に多くいる時期や、移動するカタクチイワシを追いかける大型のヒラメが出やすい時期などです。
まずは、各エリアの特徴を把握することが重要です。そして、釣り仲間やショップ、ネットの情報などを活用して新しい情報を集めましょう。その情報を分析し、好調なエリアに向かうことが大切です。ヒラメがいない場所に投げても釣果は期待できませんからね。
釣れる確率を高める条件
釣果を左右する要素には、時合い、潮流、そしてベイトフィッシュの有無などが挙げられます。
時合いは、さまざまな自然条件が絡んでいるため、いつ訪れるかを予測するのは難しいです。しかし、ヒラメの食いが立ちやすい時間帯というものはあります。それがまずめどきです。朝まづめと夕まづめのふたつがありますが、前日の夜からルアーがポイントに入っていないこともあって、朝まづめが有利とされる場面が多いです。また、潮の動き始めや止まる直前というのも、ヒラメの活性を上げる重要な要素です。まずめどきと潮の動き、または止まる直前のタイミングが重なれば、最高の条件と言えます。
ベイトフィッシュの存在も重要なポイントです。カタクチイワシやマイワシなどのイワシ類、キビナゴ、シロギスなどが、代表的なベイトフィッシュとして挙げられます。回遊性の強いイワシ類やキビナゴなどは、フィールドで実際に確認できることも多いですが、シロギスなどはこれを狙っている釣り人がいるかどうかが、その存在の目安となります。自分なりに情報を分析し、納得した上で、現場での判断が求められます。自分がいるフィールドや立っているポイント、狙っているスポットが正しいのか、そして使っているルアーが、その時のヒラメの状態に合っているのかを考えながら、能動的にヒラメにアプローチしていきます。これこそが、ショアからのルアーフィッシングの醍醐味でもあります。
アワセのやり取り
ヒラメの特徴の一つは、ガンッとルアーを襲ってくることが多いことです。それは、彼らのやる気がある証拠であり、しっかりとアワセを入れる必要があります。ひと呼吸おいてから、しっかりとロッドを立ててアワセをかけましょう。ヒラメの口はしっかりしているので、一度掛かればロッドが切れる心配は少ないです。
やりとりやランディングは、フィールドの状況によって異なります。砂浜や河口などでは障害物が少ないので、落ち着いてゆっくりと寄せれば良いです。一方、磯では少し強引に寄せた方が、ランディングの成功率が高まります。
磯や堤防など、一定の高さから釣る場合は、ランディングネットの使用が必要です。ヒラメの平均サイズや海面の長さによって、必要な枠の直径や柄の長さは異なりますが、「大は小を兼ねる」という考え方が良いでしょう。大型を狙う釣り人の中には、ロングギアを使用する人もいます。
ヒラメの釣りのメインフィールド
遠浅海岸での釣りでは、「離岸流」というポイントが見逃せません。離岸流とは、波打ちぎわから沖へと向かう流れのことです。その規模や形状は様々であり、常に存在するわけではありません。しかし、遠浅海岸では大きな変化をもたらします。離岸流を見つける目安としては、その部分だけ波が立っていない、白泡が沖へと流れている、あるいは川のようにざわついているなどが挙げられます。離岸流以外にも、目につきやすいポイントとしては、沖へと張り出す堤防やヘッドランドの周辺、沖に配置されている消波ブロックの周りなどがあります。特に急深な砂浜では、足元のカケアガリに重点を置くべきです。沖へとサンドバーが延びていたり、ナブラが形成されている場合を除いて、無理に遠投してもあまり意味がありません。丹念に近距離で攻めていくことが基本です。
外洋に面した砂浜と内湾の穏やかな砂浜では、条件に違いがあります。外洋に面した砂浜は、ウネリや波の影響を受けやすく、釣りづらい状況になることもありますが、活性の高い大型ヒラメが釣れる確率が高く、魚影も濃い場所が多いです。一方、内湾にある砂浜では、小型のヒラメが多く、ライトタックルで楽しむことができるのが魅力です。
【離岸流れを意識して攻める】
砠浜でヒラメを狙う際、離岸流は重要なポイントです。離岸流を見つけたら、まずは広範囲に渡って探っていきます。流の規模によりますが、ルアーを扇状に通すようにして、全体的に攻めていきます。シャローミノーからメタルジグまで、幅広い種類のルアーが使えます。広く探っても反応がない場合は、流れに沿った部分やカケアガリを重点的に攻めていきます。ルアーを流れに乗せてドリフトさせたり、特定のスポットでストップさせたりすることも効果的です。ワームも使いやすいルアーの一つです。
砂浜で有効なルアー
砂浜でのヒラメ釣りには、幅広い種類のルアーが適しています。選ぶ基準は水深や飛距離、そしてヒラメの活性などです。例えば、シャローミノーからディープミノーに切り替えて、浅いレンジから深いレンジへと探っていくことがあります。飛距離を重視したい場合にはメタルジグを使ったり、ハードプラグでヒットがない場合にはワームを試してみたりすることで、ルアーのローテーションを行うことが効果的です。これによって、ヒットを得ることができることがあります。
砂浜ではウェーダーの着用が基本ですが、引き波の力は想像以上に強力です。そのため、膝下以上の深さに立ち込むのは危険であることを心得ておく必要があります。
「砂浜の釣りに有効なルアー」
砂浜では、ヒラメゲームに適したほぼすべてのルアーが使用できます。ただし、外洋に面した砂浜では波やウネリの影響を受けやすいため、アピール性能と飛距離が重要です。そのため、大型あるいは重いルアーが有効となります。
河口は規模によって攻め分ける
どの規模の河川でも、河口部はヒラメを狙う有望なスポットです。例えば、砂浜が釣りに適さないときやベイトフィッシュが河川内に入り込んでいるときには、ヒラメが集中していることもあります。しかし、大雨などで濁りが出ているときは釣果が期待できないこともあります。
砂浜や砂地混じりの磯場から流れ込む小河川も注目すべきポイントです。これらの場所では、ベイトフィッシュが流れてきたり小魚が集まってきたりするため、ヒラメが寄る可能性が高く、期待が持てます。ただし、目に見えるポイントは競争が激しいので、朝一番に攻めることが重要です。流れ込み直下では、ミノープラグを基本として、状況に応じてルアーを選択して狙っていきます。
大規模な河川の場合、河口部だけでなく河川内もヒラメのフィールドと考えることができます。潮位が高い場合、ヒラメはかなり上流部まで上りますが、基本的には汽水域までを狙います。河口部では、サンドバー状に張り出している場合も、逆に溝状に掘れている場合も、カケアガリになっているスポットを意識して攻めます。これらの場所は、潮位の変化によって回遊してくるヒラメの通り道にもなります。
河川内を狙う場合、流芯脇を重点的に攻めます。河川が蛇行している場合、流れが岸ぎわでぶつかる箇所が多く、その周辺のカケアガリは期待できます。流芯脇には岩などが点在していることがあり、これらのポイントは特に価値があります。
「サンドバーの攻め方」
沖へと張り出すように広がるサンドバーがある場合、基本的にはその両脇にできたカケアガリを重点的に攻めます。ベイトフィッシュはこのカケアガリに沿って移動することが多く、ヒラメにとっては理想的なエサ場となります。また、河川の流れが反転し、巻き返している箇所も重要なスポットです。こうした場所では、遊泳力のない小魚を狙うヒラメが潜んでいる可能性が高いです。一定の規模がある河口であれば、河川内にもヒラメが入ってくる可能性が高いです。ただし、完全な淡水域ではヒラメを期待するのは難しいです。上流域では、特に上げ潮の時間帯が狙い目となります。
河口、河川を狙うルアー
河口部や河川内を狙う場合、特に水深が1〜2メートルの浅いエリアが最も有望です。このようなポイントを中心に、ミノープラグ、バイブレーションプラグ、ワームなどを使用して攻めます。これらのルアーはすべて、タダ巻きでの使用が基本であり、最も効果的です。メタルジグは大規模な河川の河口部では有効ですが、小規模な河川では扱いにくい場合があります。
「河口の釣りで有効なルアー」
河口では、ミノープラグが一般的なルアーとされています。河川の規模によりますが、水深が浅いフィールドが多いため、わずかなレンジの違いでもヒット率が大きく変わることがあります。そのため、複数のレンジの異なるミノープラグを用意しておくことがお勧めです。
磯は大物が多い釣り場
ヒラメ釣りに適した磯は、一般的に浅くて砂地が混じっている場所です。特に、なだらかで平らな「小磯」と呼ばれる場所が好まれます。潮通しが良いことは絶対条件であり、潮が滞ってゴミがたまっているような場所はあまり期待できません。
ポイント全体を広く探るのではなく、沈み根や海藻などの位置を把握した上で、その周辺を的確に狙い撃ちします。正確なキャスト技術が必要です。
ヒットしたら、しっかりとアワセを入れると同時に、少し強引に寄せてきます。長く遊ばせてしまうと、海藻に絡まれる可能性があります。足元までグイグイと引き寄せたら、迅速にランディングネットで捕獲します。滑りやすい足場の場合、スパイク付きのフェルト底ブーツを履いておくことが重要です。また、飛沫を避けるためにはレインウェアの着用が必須です。そして、ライフジャケットは絶対に必要です。悪天候の場合は無理をせず、安全な場所に移動するか釣りを中止することが大切です。
「点在する根周り」
磯であっても、砂地が混ざっている磯がヒラメを狙う際の基本となります。重要なポイントは、沈み根と砂地の境目や、海藻が繁茂しているエリアの切れ目です。磯では流れが複雑になることが多いため、タイミングを見て正確にキャストし、事前にリトリーブするコースを考えて狙っていきましょう。広範囲を探るよりも、確実にスポットを通過させるように線を引くことが重要です。これにより、ヒラメのいる場所を明確に把握できるだけでなく、無駄な投げ釣りによる根掛かりも減らせます。
「磯釣りに有効なルアー」
磯では海面が常に波立っているため、そうした外的要因にあまり影響を受けないルアーが使いやすいです。例えば、シンキングミノー、メタルジグ、バイブレーションプラグなどが挙げられます。もちろん、状況によっては他のタイプのルアーも使用できます。
パワーあるタックルを使う
磯釣りでは、強力なタックルが必要です。足場に制限があり、岩や海藻などの障害物を回避しながら、強引なやり取りをする必要があるためです。特に外洋に面した波の多い磯では、10フィート以上のロッド、2号のPEライン、40ポンドのリーダーが目安となります。
ルアーは基本的に表層を泳ぐものが適しています。特に大型のシャロー系ミノープラグがおすすめです。大きなシルエットとアピール力があるものを選ぶことで、根掛かりを避けつつヒラメの注意を引くことができます。
気軽でできる漁港の魅力
漁港は、気軽にヒラメ釣りを楽しむことができる場所の一つです。多くの漁港ではスニーカーでOKというところもあります。ヒラメ釣りに適した漁港の条件として、豊富なベイトフィッシュが挙げられます。シロギスやメゴチ、ハゼなどの釣りを楽しむ人が多い漁港や、イワシのサビキ釣りが盛んな漁港は、この条件を満たしています。
また、底質や水質も重要な要素です。砂地や小砂利底が理想であり、他の釣り場と同様に、ヘドロが堆積している漁港では釣果が期待できません。潮通しや水質も良好であることが重要です。漁港や港湾施設は漁師や働いている人たちの職場でもあるため、注意が必要です。船に勝手に乗ったり、ロープにルアーを引っかけるような行為は避けましょう。駐車スペースが不足している場合は、釣りを諦めることも考慮する必要があります。
「ミオ筋やカケアガリを狙う」
漁港内でヒラメを狙う際に重要なのは、底質の変化です。具体的には、船の通り道である船の航路や、沈み根や沈み岩、堤防の足元などが挙げられます。堤防の外側は砂浜や磯になっていることが一般的です。外側を狙う場合は、高い足場に注意してルアーを選択し、砂浜や磯と同様に攻めていくことが重要です。
「漁港内で有効なルアー」
漁港でのルアーセレクトにおいて重要な基準は、海面までの高さと足元の深さです。これらの条件下でも使いやすいルアーを選ぶことが重要です。表層を探るルアーだけでは十分な釣果が得られないことが多いため、海底近くまで届くタイプのルアーを選ぶことが重要です。
漁港で釣るときのタックル
漁港では足場が高く、水深が深い場所が一般的です。ルアーを選ぶ際の基準は、ルアーがボトム付近を効果的に探れるかどうかです。深く潜行したり、底付近をトレースできるタイプのルアーを選ぶことが重要です。例えば、ミオ筋周辺のカケアガリや沈み根を狙う場合は、ジグヘッドやダウンショットリグにセットしたワームやラバージグがお勧めです。また、バイブレーションプラグを沈めてトレースする方法も効果的です。
大規模な港湾部では、遠投が必要な場合もあります。そのような場合には、ヘビーなバイブレーションプラグやジグミノー、メタルジグなども活躍します。足元の堤防の基礎部分をテクトロで攻めるのも効果的です。ただし、漁港ごとにポテンシャルが異なるため、大型のキャッチを狙う場合はランディンググッズが必要です。柄の長さが5.3mクラスのネットを用意しておくと安心です。
こちらの釣り方も参考にしてみて下さい
ヒラメの捌き方
料理(ヒラメのムニエルの作り方)
参考・参照元:日本の魚釣り、参考文献:日本の魚釣り、さかな釣り検索、さかな大図鑑
まとめ
ヒラメ釣りに成功するためには、まずヒラメの習性を理解することが必要です。その後、釣果を高めるための条件を整えます。アワセのタイミングややり方も重要です。砂浜や堤防など、様々なフィールドがありますが、ヒラメの主な釣り場はどこでしょうか。また、それぞれの場所で効果的なルアーを使い分けます。河口や河川では、フィールドの規模によって攻め方が異なります。磯は大物が多く、パワーのあるタックルを使います。最後に、気軽に楽しめる漁港での釣りでは、適切なタックルを用意します。これらのポイントを押さえて、ヒラメ釣りを楽しみましょう。