ジャガイモは、約3ヶ月という短い期間で栽培ができ、種イモの10倍以上収穫量があります。穀物に匹敵するほどデンプン質が多く、栄養価と栽培効率の良さから世界中で栽培されています。
土地の気候に合わせて栽培時期を選ぶ
ジャガイモの生育適温は15~20℃で、霜に弱く、また、夏の暑さに弱い性質です。列島が縦に長い日本では、その土地の気候によって、栽培時期を選ぶ必要があります。
関東地方でしたら、2月下旬から3月中旬に植え付け、真夏を外した梅雨明けごろに収穫する春植えと、9月に植えて11月~12月に収穫する秋植えができます。
東北・北海道などの寒地・寒冷地では、初夏に植えつけて、真夏に収穫します。
九州・沖縄地方では冬の終わりに植え付け、梅雨入り前に収穫します。
品種
春植えには男爵、メークイン、紅丸、ワセシロなどがあり、秋植えにはデジマ、ウンゼン、ニシュタカなどがあります。最近、各種用途向き(煮食、サラダ、フライドポテトなど)の特徴のある色彩も豊かな品種が数多く育成・導入されてきているので、品種選択幅は大変広がってきています。
代表的ものは下記の通りです。
- 【男爵】デンプン含有率が高く、粉質で粉ふきいもやコロッケに向いています。
- 【メークイン】長楕円形で、肉質はねっとりとして緻密。煮くれがしにくいので、煮込み料理向き
- 【キタアカリ】ホクホクとした食感。肉食は黄色が強く、火の通りが早い。栽培しやすい早生種
- 【シンシア】フランス産で、味が濃く粘質感があります。煮物によく、煮くれないのも特徴
- 【インカのめざめ】小粒種。粉質でクリのような風味。ふかすとホクホクした食感を楽しめる
- 【アンデスの赤】赤い皮色が目印。肉食は鮮やかな黄色。カロテンやデンプンを多く含んでいます。
土壌酸度
ジャガイモの土壌酸度は、pH5.0~6.0の弱酸性が適しており、4.5以下、7.0以上で生育が悪くなります。
一般的な野菜の平均的な適正値は、6.0~6.5程度ですから、若干酸性に傾いた土壌を好みます。
土壌酸度が強い酸性に傾いている場合を除いて、ほとんど石灰を散布する必要はありません。かえって、石灰を施すと、土壌がアルカリ性に傾き、そうか病にかかりやすくなる場合があるので注意が必要です。
雑草で土壌の性質がわかります。こちらで確認できます。
健全な種イモを切り分ける
種イモは検査に合格した種イモを使用するのが原則です。自家取した物や青果物として購入したイモはウイルス病などの病害が広がる原因となりますのでつかえません。
種イモの大きさは30~50gが適しており、大きなイモは3~4片に切り分けます。切り分ける時は各片の頂部に芽をつけ、縦に刃を入れます。
切口は日陰干ししてから植え付けるか、草木灰をまぶしてもいいです。
元肥には、生育期間が短いので、早い段階から肥料を効かせるために、速効性の肥料を用いたらいいです。
植え付け後、1片の種イモから5~6本の芽が出ますが、茎葉の数が多いと小さなイモしかできません。芽が10cmくらい伸びたころに、強い芽を2~3本残して、ほかの芽はかき取ります。芽かきをした後は、同時に追肥を与え、土寄せをします。
イモは種イモよりも浅い位置にできますので、土寄せはイモが地表に出て、緑化するのを防ぐ目的があります。
土寄せ1回目
土寄せ2回目
土寄せが不十分だと、イモが露出して緑化した場合
保存方法
ジャガイモは、植え付けてから3ヶ月ほどで収穫できます。収穫したら、洗わず、土を軽く払ってイモの表面を乾かし、風通しのよく涼しい暗所にしまいます。
保存の適温は15℃程度で、ネットに入れておきます。保存中に光線が当たると皮が緑色になり、えぐみが発生するので、保管する際は、一切の光を通さないように暗室にしまいましょう。
長期保存したい場合は、光を通さないように新聞紙などに包み、冷蔵庫などに入れて低温で保存します。
※イモの芽にはソラニンという有害物質が含まれており、中毒を起こす原因になるので芽が出ている場合は、深くえぐって調理しましょう
補足説明、ポイント
【通常の畑なら石灰散布は不要】
ジャガイモの土壌酸度はpH値が5.0~6・0が適正で、酸度調整のための石灰の散布は、ほとんど不要です。
ただし、苦土石灰は石灰堆肥料(カルシウム、マグネシウム)として、役割もあるので、pHが5.0未満の時は100g/㎡、5.0~6.0の時でも50g/㎡を目安に、苦土石灰を散布します。
【芽のある部分を均等になるように分割する】
植え付けの3~4日前に、種イモの準備をします。種イモには上下があり、植え付けの時は、親芋とつながっていた「なり口」を下に、芽がたくさんついている「頂部」を上にします。
芽がある部分が均等になるように、縦に刃を入れ、30~50gに切り分けずにそのまま植え付けても構いません。カットした種イモは、切口を陰干しておきます。
【切口を下に植え付ける】
植え付けの際は、切口を下にして、芽の出る方向を揃えることがポイントです。
畝幅は60~70cmとってよく耕し、畝の中央に深さ10~15cmの溝を掘ります。溝に30cm間隔でタネ芋を配し、種イモの間に堆肥300~400gと化成肥料30gを置き、土を埋め戻して畝を作ります。
【芽かきをして大きなイモにする】
発芽後、芽が10cm程伸びたら、元気のいい芽を2~3本残し、ほかは取り除きます。芽はたくさん残せば、小さな芋がたくさん収穫でき、芽かきをすれば、数は絞られるものの大きな芋が収穫できます。
芽かき後、株のまわりに化成肥料30g/㎡まいて土に混ぜ込み、株元に土寄せします。
【緑化を防ぐための中耕と土寄せ】
開花前後からイモが太り始めるので、また化成肥料30g/㎡をまいて中耕し、株元にしっかり土寄せをします。
イモは種イモよりも浅い所にでき、土寄せが足りないとイモが地表に出て緑化するので、必ず入念に行いましょう。
【テントウムシダマシなどに注意】
ジャガイモはテントウムシダマシやアブラムシの発生が多く、放っておくと被害も大きくなります。いずれも発生の初期に捕殺するか、防虫剤(オルトラン水和剤など)を散布して防除します。
ジャガイモは、春の家庭菜園では最初に栽培する野菜ですから、この葉裏で害虫が成長すると、次に植える野菜に被害が広がり、その後の畑に影響を与えかねません。このため、早めに、対処しましょう。
【晴天が2~3日続いたら掘り上げる】
地上の葉や茎が黄色くなって、枯れこんできたら、収穫のタイミングです。雨の日に収穫すると腐りやすくなるので、晴天が2~3日続いた後に上げましょう。
イモを切断しないように、株元からスコップの先を入れます。周囲の土を緩めて、株の根元を持って一気に引き上げます。イモの表面が乾いたら暗所に保管します。
引用・参考元:家庭菜園大百科、おいしい野菜作り、野菜50の育て方のコツ、野菜作り虎の巻
まとめ
春植えの時期になりました。ジャガイモは栽培しやすく、3ヶ月という短い期間で収穫できます。栽培で気を付ける点は、芽かき、追肥、土寄せ、そして、害虫駆除の4点です。この4点を気を付けてたくさんジャガイモを作りましょう。