キャベツはアブラナ科に属し、周年出回り、ビタミンCが多く含まれ、胃腸障害にいいといわれるビタミンUが多いのが特徴・・・アミノ酸組成にもすぐれ、生でよし、煮てよしの健康野菜の王者です。
今回、このキャベツの作り方を解説します。
栽培の特徴
夏向き秋冬どりが作りやすい
- 栽培には春まき、夏まき、秋まきがあり、家庭菜園で育てやすいのは夏まき秋冬どりです。種まきが大変な時は、秋口に出まわる苗を購入して栽培を始めます。
- 春まき場合は、生育期に病害虫が発生が多く、収穫期はキャベツが腐りやすい夏です。寒い時期から種をまくので、早く花芽が出るおそれもあり、難易度は高くなります。
- 夏まきの場合、7~8月にポットなどに種をまき、畑に植え付けて、10月から翌年2月に収穫します。種まきから苗づくりの時期が高温多湿で、苗を強い日差しや病害虫から守る対策が必要ですが、直まきするよりは管理が容易です。さらに、定植後の気候がキャベツの生育に適し、寒くなる前に結球するので、花芽ができたために起こる結球の失敗も避けられます。
- 秋まきの場合は、冬越して5月頃収穫になるので、栽培期間が長く、温暖地向きです。
【栽培カレンダー】
アブラナ科野菜の鉄則、連作は避けること
- キャベツ、白菜などアブラナ科の野菜は、連作すると、生育障害や土壌性の病害虫が起こりやすくなります。そこで、2年間のアブラナ科植物を育てていない場所に植えます。
- とくに、キャベツでは、根こぶ病が要注意です。土中に潜む病原菌がアブラナ科野菜のない感染して、大小のこぶを作る病気です。発病すると株全体がしおれ、放置すると枯れます。
- 自分の管理する菜園でアブラナ科の連作に注意しても、市民菜園など多くの区画でアブラナ科を作付けし、根こぶ病がどこかで発病していると、大雨や靴や農具につく土によって病原菌が移動し、病気が広まることもあります。
【対策】
根こぶ病は酸性の土壌で発生しやすいので、石灰質資材でpHを6.0~6.5にしておきます。
品種
特性の異なるたくさんの品種が夏まき年内どりには、早生秋宝(山陽)、彩風(タキイ)などが適しています。冬~春どりなら、温暖地では、金系201号(サカタ)が、普通地帯では、中早生(サカタ)が、寒冷地では、春福、渡辺早生丸(渡辺採種)など。また、春まき初夏どりには、YR50号(タキイ)、夏山(サカタ)、みさき(サカタ)など耐暑性のあるものが適している。小ぶりで軟らかいグリーンボール、タケノコ型で生食用で味の良いみさきなどの家庭菜園向きです。
栽培方法~収穫までの手順
【苗作り】
【種まき・育苗】
ポット(3号:9cmサイズ)に3粒ずつ種をまき、軽く覆土して、たっぷりと水をやります。
本葉が出始めたら1.5~2cmの株間に間引き、本葉が2枚の頃に3号のポリ鉢に移植します。本葉が5~6枚の苗に仕上げます。
【畑の準備】
畑に石灰、堆肥、元肥を入れて耕します。土壌のpH値が6.0以下でしたら根こぶ病になりやすいですので、土壌酸度(pH)を6.0~6.5にしておきましょう。
キャベツは土壌中の湿度が高いと根腐れが起きやすくなるため、高畝にして水はけをよくしておきます。
【植え付け】
- 本葉が5~6枚の頃
- 用土が乾いていたらたっぷりと潅水し、根鉢をくずさないように、ていねいに苗を抜いて畑に植える
- 株間➡早生の品種30~40cm、中~晩生の品種40~45cm
【追肥】
- 1回目は植え付け後15~20日めに、畝の片側に肥料をばらまいて土寄せする。(1株当たり化成肥料 大さじ1杯)
- 2回目は1回目と反対側の畝に肥料をばらまき、土寄せをする(2回目以降の施肥量は1回目と同じ)
- 最後の追肥は、結球しはじめのころ、前回とは反対側に、同様に施す
※春どりの場合、年内に大きく育ちすぎると、春先のとう立ちの原因になるので、その場合は追肥の回数・量を控えます。
※植え付け後15~20日ころと、その後20~25日ごとに、合計3回ほど追肥する
【防虫・防寒】
ベタがけ資材でキャベツを直接覆う。風で飛ばされないように止める工夫をする。
※農薬を用いない場合はベタがけ資材を用いないと成功しない。
【収穫】
手で押さえてみて固くしまってきたら収穫適期。切り方は、手で押さえて倒すようにし、株元に包丁を入れて切る。
栽培のポイント
苗づくりは9cmポットで本葉5~6枚まで
育苗する場合は、種は9cmポリポットに4~5粒まき、1~2回に分けて間引き、1本立にして本葉5~6枚まで育てます。大苗の方が根の活着が良いのですが、育ちすぎると根詰まりするので注意します。
夏に育苗した苗は、まだ暑い時期に植えつけるので、苗が日差しで弱らないように、夕方涼しくなってから植え付けましょう。
苗を購入する場合は、本葉5~6枚で子葉がつき、病害虫のあとのない苗を選び、購入したらすぐに植え付けます。
苗はトンネルで保護する
夏まきの場合は、種まき後は害虫対策が不可欠です。また、苗の立枯病にも注意が必要で、高温期に強い雨に当たると発生しやすくなります。
立枯病についてはこちらをご覧ください。
対策
被害部はなるべく早く切除し、枯れ落ちた葉や蕾も拾い集めて焼却処分します。農薬を使う場合は「ダコニール1000」などが有効です。広範囲の病気に防除効果をあらわす総合殺菌剤なので、1つあれば何かと便利です。
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参考 立枯病に有効な薬剤を他に探す
注意
農薬は「使用できる作物」が決められており、それ以外の作物には使用できません。農薬を購入・使用する前に適用作物を確認し、作物にあった薬剤を選びましょう。農薬の参考リンク
農薬の正しい使い方
予防法
土壌のpH値が高いと病気の発生が助長されるため、石灰の多施用は控えます。土壌の酸性度(pH)と測定・調整方法について
また、苗を植える場所に一握りのカニ殻を1週間前に混ぜることで、立枯病を防ぐことができます。
出典: ymmfarm.com
農薬の正しい使い方についてこちらを参考にして下さい
苗は、必ず防虫ネットや不織布を張ったトンネル内で育て、病害虫を防除します。トンネル栽培をすると、夏の強い日差しを避けることもできるので一石二鳥です。
害虫は見つけしだい捕殺する
キャベツを大好物とする害虫はたくさんいます。
植えつけ後のまだ暑い時期には、ハイマダラのメイガの幼虫(シンクイムシ)が発生します。幼虫は、キャベツの芯の部分を好んで食べます。芯の部分にはキャベツの生長点があり、ここを食べられると葉が増えず、結球しません。
アオムシやヨトウムシも秋口から発生が増え、発見が遅れると食べつくされて、葉脈だけになってしまいます。葉を食害するコナガの幼虫、モザイク病を媒介するアブラ虫も要注意です。
モザイク病についてこちらをご覧ください。
被害を減らすには早期の発見が大切です。よく見まわりをして、虫が卵や小さい幼虫のうちに対処しましょう。葉の表裏を探し、見つけしだい割りばしなどを使って捕殺します。防虫ネットなどによるトンネル栽培が有効ですが、トンネル内で発生すると逆効果なので、油断は禁物です。
害虫は土の中にも潜んでいる
やや涼しくなった秋口に、地ぎわの茎が食いちぎられて苗が倒れていることがあったら、ネキリムシ(カブラヤガやタマナヤガの幼虫)被害と考えていいでしょう。
気づいたらすぐに、株元の地面の浅い所を、指で少しずつ掘ってみます。土色の丸まった幼虫が見つかりますので幼虫はすぐ捕殺します。
結球までに追肥と土寄せを行います
結球までに葉数を増やすために、肥料ぎれに注しましょう。
定植後1ヶ月を目安に、化学肥料(1㎡当たり50g)を株のまわりにまきます。さらに1ヶ月後に同量を畝の両側にまきます。肥料はまいた後は、鍬で株元を土寄せしておきます。
収穫はよく結球してから
球が所定の大きさになったころに、軽く押してみて、固く締まっているものから、順次収穫します。球を手で少し傾け、外葉と結球部の間に包丁を入れ切ります。
収穫の目安は、もっとも作りやすい夏まきは、早生種で1.3~1.5kg(種まきから90~100日)、中出種で1.5~1.8kg(110~130日)、晩生種で2.0kgくらい(150~180日)です。家庭菜園向きでしたらボール状の丸玉品種では1.0~1.4kgです。
収穫後の畑の清掃を
収穫後の外葉、残根などの残骸は、病原菌や害虫の温床になりますので、早めに引き抜いて畑の外に捨てます。
病原菌や害虫は、冬の間も残骸の中に残り、春を待っています。放置すると、冬を越した病原菌や害虫が春にまた活動を初め、被害を広めます。
参照元:おいしい野菜作り、家庭菜園大百科、野菜づくり虎の巻
まとめ
キャベツづくりは春まき、夏まき、秋まきとあり、家庭菜園では夏まきが作りやすいです。気をつける点は病害虫です。できうる限り葉の裏表をみて害虫がいれば捕殺を、病気におかされているときは早めの対策をこうじる必要があります。