終活でやることを初心者向けに一覧で紹介。財産・重要書類・デジタル情報・持ち物・介護・医療・葬儀・お墓・遺言・相続など、終活で準備したいこととおすすめの順番、注意点をわかりやすく解説します。
「終活でやることは何?」「何から、どの順番で準備すればいいの?」と迷っていませんか。終活というと、遺言書や葬儀、お墓の準備を思い浮かべるかもしれませんが、それだけではありません。預貯金や不動産などの財産整理、重要書類、スマホ・パソコン、持ち物、介護・医療など、確認しておきたいことは幅広くあります。この記事では、終活でやることを初心者にも分かりやすく一覧にし、おすすめの順番に沿って解説します。終活をこれから始めたい方は、まず自分にできることから一つずつ確認していきましょう。

終活でやることとは?まず全体像を確認しよう
終活でやることは、葬儀やお墓の準備だけではありません。これからの生活を安心して過ごすために、財産や持ち物を整理したり、介護・医療について希望を考えたり、家族へ必要な情報を伝えたりすることも含まれます。
「終活でやることが多すぎて、何から手をつければいいのか分からない」という方もいるでしょう。
そのような場合は、最初からすべて終わらせようとせず、まず全体像を確認して、自分に必要なものから順番に進めることが大切です。
終活はこれからの生活と将来に備えるための準備
終活という言葉から「亡くなった後の準備」をイメージする方もいるかもしれません。
しかし、終活はそれだけではありません。
たとえば、
- 現在どのくらい財産があるのか確認する
- 不要な持ち物を整理する
- これからどのように暮らしたいか考える
- 介護が必要になった場合の希望を考える
- 家族に伝えておきたいことを整理する
といったことも終活の一部です。
厚生労働省も、終活について遺言の作成や財産整理など、人生の締めくくりに向けた準備と説明しています。一方、医療・ケアについては「人生会議(ACP)」として、自分が大切にしていることや望む生き方を前もって考え、家族や信頼できる人などと話し合うことを案内しています。
終活は「人生を終えるための作業」だけではなく、自分の情報や希望を整理して、これからを安心して暮らすための準備として考えると取り組みやすいでしょう。
終活でやることは大きく分けて8つ
終活で準備する内容は人によって異なりますが、初心者の方は大きく8つに分けて考えると整理しやすくなります。
| 順番 | 終活でやること | 主な内容 |
|---|---|---|
| ① | エンディングノート | 自分の情報や希望を整理 |
| ② | 財産整理 | 預貯金・不動産などを確認 |
| ③ | 保険・年金・金融資産 | 契約や資産を確認 |
| ④ | デジタル情報 | スマホ・ネットサービスなどを整理 |
| ⑤ | 家・持ち物 | 不用品や大切な物を整理 |
| ⑥ | 介護・医療 | 将来の希望を考える |
| ⑦ | 葬儀・お墓 | 希望する方法を考える |
| ⑧ | 遺言・相続 | 財産承継などを確認 |
この8つを見ても、「こんなにあるの?」と思うかもしれません。
しかし、今日すべてを行う必要はありません。
まずは、
「利用している銀行を紙に書く」
だけでも終活の一歩になります。
すべてを一度に始める必要はない
終活で失敗しやすいのが、「全部やらなければ」と考えてしまうことです。
財産整理、家の片付け、介護、葬儀、遺言などを一度に考えると、負担が大きくなってしまいます。
そこで、作業を小さく分けてみましょう。
たとえば、
1日目:銀行口座を確認する
↓
2日目:保険証券を探す
↓
3日目:緊急連絡先を書く
↓
次の週:重要書類を整理する
という進め方でも構いません。
家の片付けについても、「今日は家全体を整理する」のではなく、
- 今日は机の引き出し
- 次回は衣類
- その次は本棚
というように場所を区切れば、無理なく続けやすくなります。
終活は短期間で完成させることより、自分のペースで少しずつ続けることが大切です。
自分と家族のために優先順位を決めよう
終活で何から始めるかは、全員同じである必要はありません。
現在の年齢、家族構成、財産、健康状態、生活環境などによって、優先したい内容は変わります。
たとえば、
| 状況 | 優先して確認したいこと |
|---|---|
| 一人暮らし | 緊急連絡先・重要書類 |
| 夫婦二人暮らし | お互いの財産・保険・希望 |
| 不動産がある | 所有不動産・名義・登記関係書類 |
| ネットサービスを多く利用 | デジタル情報・契約 |
| 持ち物が多い | 不用品・大切な物の整理 |
| 将来の介護が心配 | 介護・医療についての希望 |
| 相続が気になる | 財産・相続人・遺言 |
たとえば、一人暮らしで家族が遠方にいる方なら、家の片付けより先に「緊急時に誰へ連絡するのか」を決めておく方が重要な場合があります。
反対に、使っていない銀行口座や保険契約が多い方なら、財産整理を優先してもよいでしょう。
**「自分や家族が今困りそうなことは何か」**を考えると、優先順位を決めやすくなります。
終活でやることリストを一覧で確認しよう
ここからは、終活でやることを8項目に分けて具体的に確認していきましょう。
最初からすべてに取り組む必要はありません。気になる項目や簡単にできそうなものにチェックを付け、できるところから始めてみましょう。
①エンディングノートを作る
終活を何から始めればよいか迷ったときに取り組みやすいのが、エンディングノートです。
エンディングノートには、自分についての情報や家族に伝えたいことを整理できます。
たとえば、
- 自分の基本情報
- 家族・親族の連絡先
- 預貯金
- 不動産
- 保険
- 介護・医療についての希望
- 葬儀・お墓についての希望
- 家族へのメッセージ
などを書いておきます。
全部を一度に書く必要はありません。
最初は、
「緊急時に連絡してほしい人」
だけを書いてもよいでしょう。
ただし、エンディングノートと遺言書は役割が異なります。財産を誰にどのように承継させるかなど、法的な効力が必要な内容については、遺言書とは分けて考える必要があります。
②預貯金・不動産などの財産を整理する
次に確認したいのが、自分がどのような財産を持っているかです。
まずは金額を細かく計算するより、財産の存在を一覧にすることから始めるとよいでしょう。
たとえば、
- ○○銀行に普通預金
- △△銀行に定期預金
- 自宅の土地・建物
- 親から相続した土地
- 自動車
- 貴金属など
と書き出します。
不動産については、
- 所在地
- 名義
- 共有者の有無
- 登記関係書類の保管場所
なども確認しておくと、将来の相続手続きにも役立ちます。
「自分は財産が少ないから必要ない」と考えず、まず何を所有しているか確認してみましょう。
③生命保険・年金・金融資産を確認する
預貯金や不動産以外にも、確認しておきたいお金があります。
代表的なのが、
- 生命保険
- 医療保険
- 年金
- 株式
- 投資信託
- 証券口座
などです。
生命保険であれば、
- 保険会社
- 保険の種類
- 契約者
- 受取人
- 保険証券の保管場所
などを確認します。
株式や投資信託をインターネットで管理している場合は、家族が証券口座の存在自体を知らない可能性もあります。
そのため、
「○○証券に口座あり」
というように、存在を確認できる情報を残しておくことも大切です。
④スマホ・パソコンなどのデジタル情報を整理する
現在の終活では、スマートフォンやパソコンなどの「デジタル終活」も重要になっています。
確認したいものには、
- スマートフォン
- パソコン
- メール
- SNS
- ネット銀行
- ネット証券
- ネット通販
- サブスクリプション
- クラウドサービス
- 電子マネー
- 写真・動画
などがあります。
たとえば、毎月料金を支払っている動画配信サービスがあっても、家族が契約を知らなければ、後から確認に手間がかかる場合があります。
まずは、
「現在利用しているサービス一覧」
を作ってみましょう。
ただし、暗証番号やパスワードを誰でも見られる場所へ書くのは避け、安全性にも十分注意してください。
⑤家や持ち物を整理する
家や持ち物の整理も終活でやることの一つです。
ただし、「終活だから物を全部捨てなければならない」ということではありません。
まず、
- 残す物
- 家族へ渡したい物
- 売却を検討する物
- 処分する物
- 判断を保留する物
に分けると整理しやすくなります。
たとえば、使わなくなった衣類は処分できても、家族写真や思い出の品は簡単には判断できないでしょう。
そのような物は「保留箱」を作って残しておいても構いません。
終活の片付けは、物を減らすことだけが目的ではなく、自分にとって大切な物を確認する作業でもあります。
⑥介護・医療について希望を考える
将来、介護や医療が必要になった場合に、どのような生活を希望するのかを考えておくことも大切です。
たとえば、
- できるだけ自宅で暮らしたい
- 必要なら介護施設も検討したい
- 誰に相談してほしいか
- どのような生活を大切にしたいか
- 医療やケアについて家族と話しておきたい
などがあります。
厚生労働省では「人生会議(ACP)」として、自分が大切にしたいことや望む生き方、もしものときに望む医療・ケアについて、家族や信頼できる人、医療・ケアチームなどと前もって考え、話し合うことを案内しています。
また、人の気持ちは変わることがあるため、一度決めて終わりではなく、必要に応じて繰り返し話し合うことが大切です。
終活では「どの治療を受けるか」だけではなく、自分がどのように暮らしたいかという希望も考えてみましょう。
⑦葬儀・お墓について考える
葬儀やお墓について、自分の希望がある場合は整理しておきましょう。
たとえば、
- 葬儀の規模
- 家族中心にしてほしいか
- 呼んでほしい人
- 宗教・宗派
- 遺影に使いたい写真
- 現在のお墓
- 納骨についての希望
- お墓を継ぐ人
などです。
すべてを細かく決めなくても構いません。
たとえば、
「葬儀は家族中心で静かにしてほしい」
という希望だけでも、家族が判断するときの参考になります。
葬儀やお墓については、本人だけで決めるのではなく、実際に対応する可能性がある家族とも話しておくとよいでしょう。
⑧遺言・相続について準備する
終活では、遺言や相続についても確認しておきましょう。
まず行いたいのは、
- 自分の財産を確認する
- 借入金などの負債を確認する
- 誰が法定相続人になる可能性があるか確認する
- 不動産があるか確認する
- 遺言書が必要か考える
といったことです。
たとえば、
「自宅はこの子に残したい」
「子どもがいないので相続人が誰になるのか分からない」
といった場合は、自己判断だけで済ませず、相続制度や遺言書について確認しておくことが重要です。
また、エンディングノートに希望を書いたからといって、遺言書と同じ法的効力が生じるわけではありません。
財産の承継について具体的な希望がある場合は、法務省・法務局などの公的情報を確認し、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家への相談も検討しましょう。
終活でやることは多く見えますが、8項目を一つずつ確認していけば整理しやすくなります。
まずは今日、
「エンディングノートを用意する」
「利用している銀行を書き出す」
など、10分程度でできることを一つ選んで始めてみましょう。
終活は何から始める?初心者におすすめの順番
終活でやることが分かっても、「結局、最初に何をすればいいの?」と迷う方もいるでしょう。
終活には法律で決められた順番はありません。しかし、初心者の方は、簡単に確認できる情報から始め、財産、重要書類、自分の希望、遺言・相続へと進めると整理しやすくなります。
おすすめの順番は次のとおりです。
| ステップ | やること | 最初の行動例 |
|---|---|---|
| 1 | 家族・緊急連絡先 | 連絡先を書き出す |
| 2 | 財産 | 銀行・保険・不動産を確認 |
| 3 | 重要書類 | 保管場所を確認 |
| 4 | エンディングノート | 希望を書き始める |
| 5 | 持ち物 | 1か所ずつ整理 |
| 6 | 介護・医療 | 家族と話す |
| 7 | 葬儀・お墓 | 希望を整理 |
| 8 | 遺言・相続 | 相続人・財産を確認 |
この順番どおりでなくても問題ありません。自分が取り組みやすいところから始めましょう。
ステップ1|家族や緊急連絡先を整理する
最初に行いやすいのが、家族や親族、緊急時に連絡してほしい人の整理です。
スマートフォンに連絡先が入っていても、本人が操作できない状況になると、家族が確認できない可能性があります。
まずは、
- 配偶者
- 子ども
- 兄弟姉妹
- 親族
- 親しい友人
- かかりつけ医
- 介護サービスなどの関係者
について、氏名・続柄・連絡先をまとめておきましょう。
たとえば、
「入院した場合は、まず長男へ連絡してほしい」
というように、連絡する優先順位も書いておくと分かりやすくなります。
ステップ2|預貯金・保険・不動産などを書き出す
次は、自分が所有している財産を書き出します。
この段階では、正確な金額まで調べなくても構いません。
まず、
- ○○銀行に普通預金
- △△生命に生命保険
- ○○証券に証券口座
- 自宅の土地・建物
- ○○市に相続した土地
というように、財産の存在を確認しましょう。
さらに、
- 住宅ローン
- カードローン
- その他の借入金
などがあれば、それらも一緒に記録します。
終活では「いくら持っているか」だけでなく、「どこに何があるか」を把握することが大切です。
ステップ3|重要書類の保管場所を確認する
財産を確認したら、それに関係する書類を探してみましょう。
代表的なものには、
- 通帳
- 保険証券
- 年金関係書類
- 不動産の登記関係書類
- 登記識別情報通知など
- ローンの契約書
- 各種契約書
- 遺言書
などがあります。
書類を全部一か所へ集める必要はありません。
大切なのは、
「どの書類がどこにあるか分かる状態」
にしておくことです。
たとえば、
| 書類 | 保管場所 |
|---|---|
| 保険証券 | 書斎の青いファイル |
| 不動産関係 | 寝室の書類棚 |
| 年金関係 | リビングの引き出し |
| 遺言書 | ○○に保管 |
というような一覧を作る方法があります。
なお、通帳、印鑑、暗証番号などを無防備に一か所へまとめると防犯上の問題があるため、情報管理には注意しましょう。
ステップ4|エンディングノートに希望を書く
基本的な情報を確認できたら、エンディングノートに自分の希望を書いてみましょう。
たとえば、
- これからどのように暮らしたいか
- 介護について大切にしたいこと
- 医療について考えていること
- 葬儀についての希望
- お墓についての希望
- 家族へ伝えたいこと
などです。
最初からすべて埋める必要はありません。
「葬儀は家族中心で行ってほしい」
「できる限り住み慣れた自宅で生活したい」
など、現在考えていることから書いてみましょう。
なお、エンディングノートは自分の情報や希望を整理するのに役立ちますが、一般的なエンディングノートが遺言書と同じ法的効力を持つわけではありません。
ステップ5|不要な持ち物を少しずつ整理する
次に、家の中の持ち物を整理します。
ここでも、一度に家全体を片付ける必要はありません。
おすすめなのは、範囲を小さくすることです。
たとえば、
1日目:机の引き出し1段
2日目:衣類10着
3日目:本棚1段
という程度から始めます。
持ち物は、
- 残す
- 家族へ渡す
- 売却する
- 処分する
- 保留する
に分けると判断しやすくなります。
写真、手紙、記念品など思い出のある物は、無理に処分する必要はありません。
ステップ6|介護・医療について家族と話す
介護や医療については、一人で考えるだけでなく、家族や信頼できる人と話しておくことも重要です。
たとえば、
- 自宅で暮らし続けたいか
- 介護施設についてどう考えているか
- 何を大切にして生活したいか
- 医療・ケアについてどのような希望があるか
- 自分で意思を伝えられないとき誰に相談してほしいか
などを話してみましょう。
厚生労働省では「人生会議(ACP)」として、もしものときに備え、自分が大切にしていることや望む医療・ケアについて前もって考え、家族や信頼できる人、医療・ケアチームなどと繰り返し話し合うことを案内しています。
気持ちや生活環境は変わることがあるため、一度決めた内容を変更しても問題ありません。
ステップ7|葬儀・お墓について希望を整理する
葬儀やお墓について希望があれば、家族が分かる形で残しておきましょう。
確認したいのは、
- 葬儀の規模
- 宗教・宗派
- 呼んでほしい人
- 遺影候補の写真
- 現在のお墓
- 納骨方法
- 墓じまいなどについての考え
などです。
たとえば、
「大規模な葬儀ではなく、家族中心で行ってほしい」
という希望だけでも、家族が判断するときの手掛かりになります。
葬儀やお墓は家族も関係するため、エンディングノートに書くだけでなく、できれば家族にも話しておきましょう。
ステップ8|遺言・相続について確認する
最後に、財産を将来どのように引き継ぐかについて確認します。
まず、
- 誰が法定相続人になる可能性があるか
- どのような財産があるか
- 借金などの負債があるか
- 不動産があるか
- 財産の承継について希望があるか
- 遺言書を検討する必要があるか
を整理します。
特に不動産や複数の相続人がいる場合、財産の分け方について考えておきたいケースがあります。
ただし、遺言書には法律で定められた方式があります。
エンディングノートや家族への口頭説明だけで済ませず、法的な効果を求める場合は、法務省・法務局などの公的情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
終活で整理しておきたい財産・お金のこと
終活の中でも、特に重要なのが財産とお金の整理です。
本人には当たり前の情報でも、家族が銀行口座、不動産、保険、証券口座などをすべて把握しているとは限りません。
まずは次のような「財産一覧表」を作って、全体像を把握してみましょう。
| 財産・負債 | 確認する内容 | 書類など |
|---|---|---|
| 預貯金 | 金融機関・支店・口座種類 | 通帳など |
| 不動産 | 所在地・名義 | 登記関係書類 |
| 生命保険 | 保険会社・契約内容・受取人 | 保険証券 |
| 年金 | 年金情報 | 年金関係書類 |
| 株式・投資信託 | 証券会社・保有商品 | 取引報告書など |
| 住宅ローン | 金融機関・残高 | 契約書など |
| その他の借金 | 借入先・残高 | 契約書など |
預貯金・銀行口座を一覧にする
まず、現在利用している銀行口座を書き出しましょう。
確認する項目は、
- 金融機関名
- 支店名
- 普通預金・定期預金などの種類
- 通帳の有無
- 主な利用目的
- 通帳などの保管場所
です。
たとえば、
「○○銀行=年金振込」
「△△銀行=公共料金引き落とし」
と用途も書いておくと分かりやすくなります。
ネット銀行も忘れず確認しましょう。
一方、暗証番号を通帳と一緒に書いて保管するなど、第三者が簡単に利用できる状態にするのは避けてください。
H3|土地・建物などの不動産を確認する
自宅、土地、マンションなどを所有している場合は、不動産の内容を整理します。
確認したいのは、
- 所在地
- 土地・建物の種類
- 名義
- 共有者
- 関係書類の保管場所
- 住宅ローンの有無
などです。
特に注意したいのが「自宅だけ確認すればよい」と考えないことです。
たとえば、
「親から相続した地方の土地」
「現在は利用していない田畑」
などを所有している場合もあります。
不動産は将来の相続登記にも関係するため、所有している物件と現在の登記名義を確認しておくとよいでしょう。
生命保険の契約内容と受取人を確認する
生命保険に加入している場合は、保険証券などを確認しましょう。
主な確認項目は、
- 保険会社
- 保険の種類
- 契約者
- 被保険者
- 保険金受取人
- 保険証券の保管場所
です。
特に確認したいのが保険金受取人です。
長期間契約している保険では、契約した当時から家族構成が変わっている可能性があります。
「昔加入したから大丈夫」と思わず、現在の契約内容を確認しておきましょう。
年金関係の情報を整理する
年金についても、関係書類や情報を整理しておきましょう。
日本年金機構では「ねんきんネット」を提供しており、パソコンやスマートフォンから自分の年金記録や年金見込額などを確認できます。
終活では、
- 基礎年金番号を確認できる書類
- 年金に関する通知
- 年金振込に関する情報
- 年金関係書類の保管場所
などを整理しておくとよいでしょう。
たとえば、
「年金関係は青いファイルに保管」
と決めておくだけでも、必要なときに探しやすくなります。
株式・投資信託などの金融資産を確認する
株式、投資信託などを保有している場合は、証券口座も財産一覧に入れます。
確認するのは、
- 証券会社
- 証券口座の有無
- 株式
- 投資信託
- NISAなどの利用状況
- 関係書類
などです。
現在はオンライン取引が多いため、紙の書類だけでは家族が証券口座の存在に気づきにくい場合があります。
そのため、
「○○証券に口座あり」
という情報だけでも残しておくと、後から確認する手掛かりになります。
ただし、ID・パスワードなどの認証情報は、安全性を考えて別に管理しましょう。
住宅ローン・借金などの負債も忘れず確認する
財産整理では「持っているお金」だけでなく、負債についても確認することが重要です。
たとえば、
- 住宅ローン
- 自動車ローン
- カードローン
- その他の金融機関からの借入れ
- 個人からの借入れ
などです。
民法では、相続人は原則として被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継すると定められているため、相続を考える際にはプラスの財産だけでなく、借金などの債務も重要になります。
負債については、
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 借入先 | ○○銀行など |
| 種類 | 住宅ローンなど |
| 残高 | 確認時点の金額 |
| 返済 | 毎月の返済額など |
| 書類 | 契約書の保管場所 |
という形で整理しておくと分かりやすいでしょう。
財産一覧表を作って定期的に更新
預貯金、不動産、保険、金融資産、負債などを確認したら、最後に一つの財産一覧表へまとめましょう。
たとえば次のようにします。
| 種類 | 名称 | 内容 | 保管場所 |
|---|---|---|---|
| 預貯金 | ○○銀行 | 普通預金 | 通帳ファイル |
| 不動産 | 自宅 | 土地・建物 | 書斎 |
| 保険 | ○○生命 | 生命保険 | 保険ファイル |
| 金融資産 | ○○証券 | 証券口座あり | 書類棚 |
| 負債 | ○○銀行 | 住宅ローン | 契約書ファイル |
ここで大切なのは、一覧表を作った日で終わりにしないことです。
その後、
- 銀行口座を解約した
- 不動産を売却した
- 保険を変更した
- 証券口座を開設・解約した
- ローンを完済した
といった変化があれば更新しましょう。
たとえば毎年誕生日に財産一覧表を確認すると決めておけば、見直すきっかけを作れます。
終活での財産整理は、正確な財産額を毎日記録することが目的ではありません。
**「どのような財産・負債があり、必要な情報や書類がどこにあるのかを把握できる状態」**を目指すと、無理なく続けやすくなります。
終活で整理しておきたい重要書類
終活では、財産そのものだけでなく、それを確認するための重要書類も整理しておくことが大切です。
たとえば、銀行口座があることは分かっていても通帳が見つからなかったり、不動産を所有していても登記関係の書類がどこにあるか分からなかったりすると、家族が手続きをするときに困ることがあります。
まずは、どのような重要書類があり、どこに保管しているのかを確認しましょう。
| 種類 | 主な書類 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 銀行関係 | 通帳・キャッシュカードなど | 金融機関・保管場所 |
| 不動産 | 登記識別情報通知など | 物件・名義・保管場所 |
| 保険 | 保険証券など | 保険会社・契約内容 |
| 年金 | 基礎年金番号通知書など | 番号・保管場所 |
| ローン | 契約書・返済予定表など | 借入先・残高 |
| 相続 | 遺言書など | 保管場所・作成状況 |
通帳・印鑑・銀行関係の書類
最初に確認しやすいのが、通帳や銀行関係の書類です。
複数の金融機関を利用している場合は、
- 金融機関名
- 支店名
- 普通預金・定期預金などの種類
- 通帳の有無
- キャッシュカードの有無
- 主な利用目的
- 保管場所
を一覧にしておきましょう。
たとえば、
「○○銀行=年金振込用」
「△△銀行=公共料金引き落とし用」
というように用途まで書いておくと、家族が確認しやすくなります。
印鑑についても、銀行印や実印などを使用している場合は、どの印鑑がどの用途なのか本人が分かるよう整理しておきましょう。
ただし、通帳・キャッシュカード・印鑑・暗証番号をすべて一か所にまとめるのは防犯上おすすめできません。
「何があるかを記録すること」と「実物を安全に保管すること」は分けて考えましょう。
不動産の登記関係書類
土地や建物を所有している場合は、不動産関係の書類も確認します。
代表的なものには、
- 登記識別情報通知
- 登記済証
- 売買契約書
- 固定資産税関係の通知書
- 不動産取得時の書類
などがあります。
以前は一般的に「権利証」と呼ばれていた書類がありますが、現在の登記では登記識別情報が通知される仕組みが使われています。
たとえば、
「自宅の登記識別情報通知は書斎の金庫」
というように、保管場所を本人が把握しておきましょう。
また、
- 自宅
- 貸している土地
- 親から相続した土地
- 遠方の山林・農地
など、不動産が複数ある場合は物件ごとに整理すると分かりやすくなります。
不動産は将来の相続登記にも関係するため、書類だけでなく現在の登記名義も確認しておくと安心です。
生命保険・年金関係の書類
生命保険では、保険証券などの契約内容を確認できる書類を整理します。
確認しておきたいのは、
- 保険会社
- 保険商品名
- 契約者
- 被保険者
- 保険金受取人
- 証券番号
- 書類の保管場所
です。
特に長く契約している保険では、家族構成が変わっていても昔の内容のままになっている場合があります。
一度、現在の契約内容を確認しておきましょう。
年金関係では、
- 基礎年金番号通知書
- 年金証書
- 年金額改定通知書
- 年金振込通知書
- その他の年金関係書類
などがあります。
なお、2022年4月以降は年金手帳に代わり、基礎年金番号通知書が交付される仕組みになっています。
古い年金手帳を持っている方もいるため、無理に処分せず、基礎年金番号が確認できる書類として整理しておきましょう。
ローン・借入金などの契約書
終活では、プラスの財産だけでなく、住宅ローンや借金などの負債に関係する書類も重要です。
確認したいものには、
- 住宅ローン契約書
- 自動車ローン
- カードローン
- その他の借入契約書
- 返済予定表
などがあります。
一覧には、
| 確認項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 借入先 | ○○銀行 |
| 種類 | 住宅ローン |
| 残高 | ○年○月時点 |
| 毎月返済額 | ○万円 |
| 契約書 | 書斎ファイル |
というように記録すると分かりやすくなります。
「借金のことは家族に知られたくない」と感じる場合でも、相続時には負債も重要な情報になります。
少なくとも、必要なときに借入先や契約内容を確認できる状態にはしておきましょう。
遺言書など相続に関係する書類
遺言書を作成している場合は、その存在を分かるようにしておくことも重要です。
たとえば、
- 自筆証書遺言書
- 公正証書遺言
- 法務局に保管した自筆証書遺言書に関する情報
- 相続に関係する契約・資料
などです。
自筆証書遺言書については、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用する方法もあります。
重要なのは、せっかく遺言書を作っても、相続開始後にその存在が分からない状態にしないことです。
ただし、遺言書を自宅で保管する場合、内容を書き換えられたり紛失したりしないよう保管方法にも注意が必要です。
重要書類の保管場所を家族が確認できるようにする
重要書類は、ただ集めるだけでは十分ではありません。
本人しか保管場所を知らない場合、家族が必要な書類を探すのに時間がかかります。
おすすめなのは「重要書類一覧」を作る方法です。
たとえば、
| 書類 | 保管場所 |
|---|---|
| 通帳 | 書斎の引き出し |
| 保険証券 | 青いファイル |
| 年金書類 | リビングの書類棚 |
| 不動産書類 | 金庫 |
| ローン契約書 | 書斎ファイル |
| 遺言書関連 | ○○に保管 |
というようにまとめます。
ただし、一覧表に、
- 暗証番号
- 金庫の番号
- ネット銀行のパスワード
まで直接書いて誰でも見られる状態にするのは避けましょう。
終活では、**「家族が存在や保管場所を確認できること」と「第三者から守ること」**の両方が必要です。
H2-6|終活でスマホ・パソコンなどのデジタル情報を整理する
スマートフォンやパソコンの普及によって、終活では「デジタル終活」も重要になっています。
国民生活センターでは、故人のスマートフォンを開けずネット銀行が分からなかったり、サブスクのIDやパスワードが分からず解約できなかったりする相談事例を紹介しています。
紙の通帳や契約書だけでは見つからない財産や契約もあるため、スマートフォンやパソコンの中身も整理しておきましょう。
スマホ・パソコンの中身を整理する
まずは、自分がスマートフォンやパソコンで何を利用しているのか確認します。
主なものは、
- 写真・動画
- メール
- 連絡先
- 銀行アプリ
- 証券アプリ
- SNS
- 通販アプリ
- 電子マネー
- サブスク
- クラウドサービス
などです。
不要なアプリや古いデータが大量にある場合は、少しずつ整理してもよいでしょう。
ただし、大切な写真や契約情報まで一緒に削除しないよう注意してください。
最初は、
「金融」「SNS」「買い物」「写真」
というように分類するだけでも、全体像が見えやすくなります。
H3|ネット銀行・ネット証券を確認する
ネット銀行やネット証券は、紙の通帳がないことも多いため、家族が存在に気づきにくい財産の一つです。
確認しておきたいのは、
- ネット銀行名
- ネット証券会社名
- 口座を持っていること
- 登録しているメールアドレス
- 関連書類の有無
などです。
たとえば、
「○○ネット銀行に口座あり」
「△△証券を利用」
という情報だけでも残しておくと、家族が財産を調べる際の手掛かりになります。
国民生活センターも、ネット上の資産は本人以外が実態を把握しにくく、相続手続きに時間がかかる場合があると注意しています。
ネット銀行やネット証券は、「残高」だけでなく「口座の存在」そのものを記録しておくことが大切です。
SNS・メール・ネットサービスを一覧にする
SNSやメールについても、利用しているサービスを整理します。
たとえば、
- LINE
- X
- Gmailなどのメール
- ネット通販
- クラウドストレージ
- オンライン会員サービス
などです。
一覧表に、
| サービス | 主な用途 | 今後の希望 |
|---|---|---|
| Gmail | メール | 家族が必要情報を確認 |
| X | SNS | 必要に応じて対応 |
| Amazonなど | 通販 | 契約確認 |
| クラウド | 写真保存 | 家族へ残す |
といった形で整理すると分かりやすくなります。
サービスによって、死亡後のアカウント対応やデータの取り扱いは異なります。
そのため、重要なサービスについては各事業者の最新ルールも確認しておきましょう。
サブスクなど毎月支払っているサービスを確認する
忘れやすいのが、毎月自動で料金が発生するサブスクリプションです。
たとえば、
- 動画配信
- 音楽配信
- 電子書籍
- オンラインストレージ
- セキュリティソフト
- アプリの有料サービス
- 定期購入
などがあります。
国民生活センターでは、故人のサブスク契約についてID・パスワードが分からず、すぐに解約できなかった事例も紹介しています。
そこで、
- サービス名
- 月額・年額
- 支払い方法
- 更新時期
- 解約方法を確認できる場所
を一覧にしておきましょう。
たとえば月1,000円程度でも、複数契約していれば年間では大きな金額になることがあります。
終活を機会に、現在使っていないサブスクを解約するのもよいでしょう。
写真や大切なデータを整理する
スマートフォンには家族写真や旅行写真、動画など、大切な思い出が残っていることがあります。
一方、本人しかパスワードを知らなければ、家族がそのデータを確認できない場合があります。
そこで、
- 残したい写真
- 家族に渡したい写真
- 大切な動画
- 必要な文書
- 不要なデータ
を少しずつ整理しましょう。
たとえば、
「家族写真」フォルダー
「旅行写真」フォルダー
のように分類するだけでも、後で確認しやすくなります。
特に残したいデータは、外部ストレージやクラウドなどへバックアップする方法もあります。
ただし、バックアップ先についても、家族がその存在を知らなければ見つけられないため、保管場所やサービス名を記録しておくとよいでしょう。
ID・パスワードの保管方法に注意する
デジタル終活で特に注意したいのが、ID・パスワードの管理です。
国民生活センターは、スマートフォンやパソコンのパスワードが分からない場合、第三者によるロック解除が困難になると注意しています。
一方で、
- スマホの裏にパスコードを貼る
- パソコンの横にパスワード一覧を置く
- 通帳とネット銀行のパスワードを一緒に保管する
といった方法は、防犯上の危険があります。
そのため、
「家族が必要になったときに確認できる仕組み」と「普段は第三者から守れる仕組み」
の両方を考えましょう。
たとえば、
- 利用サービス一覧はエンディングノートに記録
- 秘密情報は別の安全な方法で管理
- スマートフォン等の承継・アクセス機能がある場合は利用を検討
- 信頼できる家族に情報の確認方法だけ伝えておく
といった方法があります。
国民生活センターも、ネット上の資産やサブスクのサービス名・ID・パスワードを整理することや、エンディングノート、アカウントにアクセスできる人を指定できるサービスの活用を案内しています。
デジタル終活では、単純にパスワードを書き残すことだけを考えるのではなく、安全性を保ちながら家族が必要な情報へたどり着ける状態を作ることが重要です。
終活で家や持ち物を整理する
終活で家や持ち物を整理するときは、単に「物を減らすこと」だけを目標にする必要はありません。
大切なのは、これからも使う物、家族に残したい物、処分してよい物を分けて、暮らしやすい環境に整えることです。
最初から家全体を片付けようとすると負担が大きくなるため、場所や種類を決めて少しずつ進めるとよいでしょう。
まずは次のように分けると整理しやすくなります。
| 分類 | 内容の例 |
|---|---|
| 残す | 現在使っている物・大切な物 |
| 家族へ渡す | 写真・記念品・形見など |
| 売却する | 貴金属・骨董品など |
| 処分する | 壊れた物・不要品 |
| 保留する | すぐ判断できない思い出の品 |
まず不要な物と残したい物を分ける
持ち物整理では、最初から「捨てる・捨てない」の2択にすると迷いやすくなります。
そこで、
- これから使う物
- 家族に残したい物
- 売却できそうな物
- 処分する物
- 今は判断できない物
に分けてみましょう。
たとえば衣類であれば、
「1年以上着ていない」
「サイズが合わない」
「傷みが激しい」
といった物は処分候補にできます。
一方、毎年使う礼服や季節用品まで無理に処分する必要はありません。
重要なのは、自分がこれから使うかどうかを基準に考えることです。
思い出の品は無理に捨てなくてもよい
終活というと、「できるだけ物を減らさなければならない」と考えてしまうことがあります。
しかし、家族写真、手紙、旅行のお土産、子どもの作品など、思い出の品まで無理に処分する必要はありません。
迷った物については、
「保留箱」
を一つ作って入れておく方法があります。
たとえば、
- 家族写真
- 昔のアルバム
- 手紙
- 記念品
- 趣味の作品
などです。
半年後や1年後にもう一度確認すると、「やはり残したい」「今回は処分してもよい」と判断しやすくなることがあります。
写真や書類が大量にある場合は、必要なものをデジタル化して保存する方法もあります。
終活の片付けは、物を減らす競争ではありません。自分にとって大切な物を見つける作業でもあると考えると取り組みやすくなります。
貴金属・骨董品など価値のある物を確認する
持ち物の中には、本人しか価値を知らないものが含まれていることがあります。
たとえば、
- 貴金属
- 宝石
- 腕時計
- 骨董品
- 絵画
- 古銭
- 切手
- 趣味のコレクション
などです。
家族から見れば普通の置物でも、実際には価値のある骨董品だったということも考えられます。
そのため、価値がありそうな物については、
- 品物の名称
- 購入した場所
- 購入時期
- 鑑定書や保証書
- 保管場所
などを整理しておくとよいでしょう。
たとえば、
「この腕時計には保証書がある」
「この絵画は○○で購入した」
という情報だけでも、家族が判断するときの参考になります。
高価な品物については、処分する前に専門店などで査定を受ける方法もあります。
家族に残したい物を決めておく
終活では、家族に残したい物についても考えておきましょう。
たとえば、
- 指輪
- 腕時計
- 家族写真
- 趣味の道具
- 食器
- 記念品
などがあります。
「この時計は長男に」
「このアルバムは家族で保管してほしい」
という希望がある場合は、エンディングノートなどに書いておく方法があります。
ただし、高額な財産や相続に関係する物については、エンディングノートに書くだけで希望どおりの法的効果が生じるとは限りません。
財産として重要な物については、必要に応じて遺言や相続について確認しましょう。
家族に残したい物は、**「誰に渡したいか」だけでなく「なぜ残したいのか」**も書いておくと、思いが伝わりやすくなります。
一度に片付けず場所を決めて少しずつ進める
家全体を一度に片付けようとすると、体力的にも精神的にも負担になります。
そこでおすすめなのが、場所を小さく区切る方法です。
たとえば、
1日目:机の引き出し1段
2日目:洗面所の棚1段
3日目:衣類10着
4日目:本棚1段
という程度でも構いません。
さらに、
- 1回30分まで
- ゴミ袋1袋分まで
- 今日は衣類だけ
と決める方法もあります。
終活の片付けは長期間かかっても問題ありません。
無理をせず、生活に支障が出ない範囲で続けることが大切です。
終活で介護・医療について準備しておくこと
終活では、財産や持ち物だけでなく、将来の介護や医療について自分の考えを整理しておくことも大切です。
ただし、介護や医療について「今すぐすべて決めなければならない」ということではありません。
厚生労働省では「人生会議(ACP)」として、自分が大切にしていることや望む生き方、もしものときにどのような医療・ケアを望むのかについて、家族や信頼できる人、医療・介護の関係者などと前もって考え、話し合うことを案内しています。
まずは「自分はどんな暮らしを大切にしたいのか」から考えてみましょう。
介護が必要になったときの希望を考える
将来、介護が必要になったときにどのような生活を希望するのかを考えてみましょう。
たとえば、
- できるだけ自宅で暮らしたい
- 家族に負担をかけすぎたくない
- 必要なら訪問介護を利用したい
- 状況によっては介護施設も検討したい
- 趣味や外出をできるだけ続けたい
などです。
大切なのは、
「どの介護サービスを使うか」だけでなく「どのように暮らしたいか」
を考えることです。
たとえば、
「自宅で暮らすことにこだわるより、家族に大きな負担がかかる場合は施設も検討したい」
という考えも一つの希望です。
現在の希望をエンディングノートなどに書いておけば、後から家族と話すきっかけにもなります。
自宅と介護施設について考えておく
介護が必要になった場合、自宅で生活を続ける方法と、介護施設などを利用する方法があります。
どちらがよいかは、
- 介護の必要度
- 本人の希望
- 自宅の環境
- 家族の状況
- 利用できる介護サービス
- 費用
などによって変わります。
たとえば、自宅で暮らしたい場合でも、
- 階段が多い
- 浴室に段差がある
- 一人暮らし
- 家族が遠方
といった事情があれば、住宅改修や介護サービスの利用などを検討する場合があります。
一方、施設を検討する場合も、元気なうちから具体的な施設を一つに決めておく必要はありません。
まずは、
「自宅を希望するのか」「必要なら施設も考えられるのか」
という程度でも、自分の考えを整理しておくとよいでしょう。
医療について大切にしたいことを整理する
医療について考えるときは、「どの治療を受けるか」だけに注目しないことも大切です。
厚生労働省の「人生会議」では、
- 何を大切にしたいか
- どのような生活を送りたいか
- どこで過ごしたいか
- 誰と過ごしたいか
- どのような医療・ケアを望むか
などについて話し合うことが案内されています。
たとえば、
「できるだけ家族と会話できる時間を大切にしたい」
「痛みや苦しさをできるだけ和らげてほしい」
「可能なら住み慣れた場所で過ごしたい」
といった希望もあります。
医療には病状や医学的な判断が関係するため、本人だけで治療方法を決めておくというより、自分が何を大切にしたいのかを伝えておくことが重要です。
自分で意思表示できない場合について考える
事故や急病、病気の進行などによって、自分で意思を伝えられなくなる可能性は誰にでもあります。
そのような場合に備えて、
- 自分が大切にしていること
- 医療・ケアについての考え
- 誰に自分の考えを伝えてほしいか
- 誰に相談してほしいか
を考えておくとよいでしょう。
厚生労働省も、本人が自分の言葉で意思を伝えられない場合があるからこそ、日頃から家族や信頼できる人と話し合っておくことが大切だと案内しています。
たとえば、
「自分で話せなくなったときは、妻と長女に相談してほしい」
というように、信頼できる人を考えておく方法があります。
ただし、その人にすべての判断を丸投げするという意味ではありません。
本人の意思を基本としながら、実際の医療・ケアについては医療・ケアチームと十分に話し合い、医学的な妥当性・適切性も踏まえて慎重に判断されます。
家族や信頼できる人と話しておく
介護や医療については、エンディングノートに書くだけで終わらせず、家族や信頼できる人と話しておきましょう。
話す相手は必ずしも家族だけである必要はありません。
厚生労働省の「人生会議」でも、家族に限らず、信頼できる友人など大切な人と話し合うことが示されています。
たとえば、
「もし介護が必要になったら、できれば自宅で暮らしたいと思っている」
「状況によっては施設も考えている」
という日常的な会話から始めてもよいでしょう。
話し合う内容としては、
- どのような生活を大切にしたいか
- 介護についての希望
- 医療・ケアについての考え
- もしものとき誰に相談してほしいか
- どこで過ごしたいか
などがあります。
そして重要なのは、一度話した内容を絶対に変えてはいけないわけではないことです。
厚生労働省も、人の気持ちは変わることがあるため、その都度、何度でも繰り返し話し合うことが大切だとしています。
「以前は自宅を希望していたけれど、今は施設もよいと思っている」
というように考えが変われば、その時点で家族へ伝え直せばよいのです。
終活での介護・医療の準備は、一つの正解を決めることではありません。
自分が大切にしたいことを考え、それを周囲の人と共有しておくことから始めましょう。
終活で葬儀・お墓について決めておきたいこと
終活では、葬儀やお墓について自分の希望を整理しておくことも大切です。
葬儀の形式や規模、お墓や納骨について何も伝えていないと、いざというときに家族が「本人はどうしてほしかったのだろう」と悩むことがあります。
ただし、葬儀やお墓について細かいところまですべて決める必要はありません。
まずは、次のような基本的な希望から考えてみましょう。
| 確認すること | 内容の例 |
|---|---|
| 葬儀 | 一般葬・家族中心など |
| 参列者 | 連絡してほしい親族・友人 |
| 遺影 | 使用してほしい写真 |
| お墓 | 現在のお墓・墓地の確認 |
| 納骨 | お墓・納骨堂など |
| 家族への共有 | エンディングノート・話し合い |
希望する葬儀の形式を考える
まず、どのような葬儀を希望するのか考えてみましょう。
葬儀にはさまざまな形式があります。
たとえば、
- 一般葬
- 家族葬
- 一日葬
- 火葬式・直葬
などです。
「親族や友人にも参列してほしい」
「できるだけ家族中心の小規模な葬儀にしてほしい」
など、大まかな希望だけでも構いません。
宗教や宗派について希望がある場合は、それについても確認しておきましょう。
また、葬儀費用について心配している場合は、複数の葬儀社から資料を取り寄せ、どの程度の費用が必要になるのか調べておく方法もあります。
葬儀の形式や費用は地域や葬儀社、内容によって異なるため、終活の段階では一つに決めつけず、自分がどのような葬儀を希望しているかを整理することから始めましょう。
葬儀に呼んでほしい人を整理する
家族が困りやすいことの一つが、「誰に亡くなったことを知らせればよいのか」という問題です。
本人しか知らない友人や知人がいる場合、家族が連絡できない可能性があります。
そこで、
- 親族
- 友人
- 元同僚
- 趣味の仲間
- 近所の親しい人
など、連絡してほしい人を一覧にしておきましょう。
たとえば、
| 氏名 | 関係 | 連絡先 |
|---|---|---|
| ○○さん | 学生時代の友人 | 電話番号など |
| △△さん | 元同僚 | 電話番号など |
| □□さん | 趣味仲間 | 電話番号など |
という形です。
「葬儀に必ず呼んでほしい人」と「亡くなったことだけ知らせてほしい人」を分けてもよいでしょう。
連絡先が変わる場合もあるため、定期的に見直してください。
遺影に使いたい写真を準備する
遺影についても、自分が気に入っている写真があれば候補を決めておくことができます。
遺影だからといって、必ずしも証明写真のような正面写真でなければならないわけではありません。
たとえば、
- 家族旅行で撮った写真
- 趣味を楽しんでいる写真
- 自然な笑顔の写真
- 最近撮影した写真
などから選んでもよいでしょう。
候補を2~3枚用意して、
「遺影候補」
と分かるようにしておくと家族が探しやすくなります。
デジタル写真の場合は、
「スマートフォンの写真の中にある」
だけでは探すのが難しいことがあります。
専用フォルダーを作ったり、家族に保存場所を伝えたりしておくとよいでしょう。
お墓・納骨方法について確認する
お墓については、まず現在の状況を確認しましょう。
たとえば、
- 先祖代々のお墓がある
- 自分で購入した墓地がある
- 納骨堂を利用する予定
- 永代供養を検討している
- 墓じまいを検討している
など、人によって状況が異なります。
確認しておきたいのは、
- 墓地・霊園の名称
- 所在地
- 管理者の連絡先
- 墓地使用に関する書類
- 誰がお墓を管理しているか
- 納骨についての希望
などです。
たとえば、
「先祖代々のお墓が○○霊園にある」
という情報だけでも、家族には重要な手掛かりになります。
お墓や納骨は家族や親族にも関係するため、本人だけで結論を出すのではなく、関係する家族とも相談しておくとよいでしょう。
家族に希望を伝えておく
葬儀やお墓について希望を考えても、本人しか知らなければ家族がその希望を確認できません。
そのため、
- エンディングノートに書く
- 家族と話す
- 関係書類の保管場所を伝える
といった方法で共有しておきましょう。
たとえば、
「葬儀は家族中心でよいと思っている」
「遺影はこの写真を使ってほしい」
「お墓については○○霊園へ問い合わせてほしい」
という程度でも構いません。
また、葬儀やお墓についての考えは年齢や家族構成によって変わることがあります。
一度伝えたから終わりではなく、考えが変わった場合は家族にも伝え直しましょう。
終活で遺言・相続について準備しておくこと
終活では、財産を整理するだけでなく、その財産を将来どのように引き継ぐのかについて考えておくことも大切です。
相続には法律上のルールがあるため、「家族だから何となく分かるだろう」と考えるのではなく、法定相続人、相続財産、負債、遺言書、不動産などを確認しておきましょう。
まずは次の順番で整理すると分かりやすくなります。
| 順番 | 確認すること |
|---|---|
| ① | 法定相続人 |
| ② | 相続財産・負債 |
| ③ | 財産についての希望 |
| ④ | 遺言書の必要性 |
| ⑤ | エンディングノートとの違い |
| ⑥ | 不動産と相続登記 |
誰が法定相続人になるのか確認する
相続では、まず誰が法定相続人になるのかを確認することが重要です。
基本的には、亡くなった方の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外については次のような順位があります。
| 順位 | 法定相続人 |
|---|---|
| 常に | 配偶者 |
| 第1順位 | 子 |
| 第2順位 | 父母などの直系尊属 |
| 第3順位 | 兄弟姉妹 |
上の順位の相続人がいる場合は、原則として下の順位の人は相続人になりません。
たとえば、夫が亡くなり妻と子どもがいる場合は、基本的に妻と子どもが相続人になります。
一方、子どもがいない場合には、親や兄弟姉妹などが相続に関係する可能性があります。
また、子どもや兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、代襲相続が関係することもあります。
家族構成によって相続人は変わるため、終活では家系図のように家族関係を書き出しておくと確認しやすくなります。
相続財産と負債を整理する
次に、相続の対象になり得る財産を整理しましょう。
代表的なものには、
- 預貯金
- 土地・建物
- 株式
- 投資信託
- 自動車
- 貴金属など
があります。
一方で、住宅ローンや借入金などの債務も確認が必要です。
そのため、終活では、
プラスの財産
だけでなく、
マイナスの財産・債務
も一緒に整理しておきましょう。
たとえば、
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 預貯金 | ○○銀行 |
| 不動産 | 自宅・○○市の土地 |
| 金融資産 | ○○証券 |
| 生命保険 | ○○生命 |
| 負債 | ○○銀行住宅ローン |
| その他 | 自動車・貴金属など |
という財産一覧表を作っておくと、全体像を把握しやすくなります。
財産を誰に残したいか考える
財産の全体像が分かったら、「自分は財産をどのように残したいのか」を考えてみましょう。
たとえば、
「自宅は同居している長男に残したい」
「預貯金は子どもたちへ公平に残したい」
など、希望があるかもしれません。
ただし、本人の希望だけで自由に決めれば、必ずそのとおりになるとは限りません。
法定相続人、遺留分、財産の内容、遺言書の方式など、法律上確認しなければならないことがあります。
特に、
- 不動産が多い
- 相続人が多い
- 特定の人へ財産を残したい
- 相続人以外へ財産を渡したい
- 家族関係が複雑
といった場合は、早めに専門家へ相談することも検討しましょう。
遺言書が必要か検討する
すべての人が必ず遺言書を作らなければならないわけではありません。
しかし、財産の承継について具体的な希望がある場合には、遺言書を検討する意味があります。
たとえば、
- 特定の相続人に不動産を残したい
- 相続人以外の人へ財産を遺したい
- 子どもがいない
- 不動産など分割しにくい財産がある
- 相続をめぐる家族の争いをできるだけ防ぎたい
といった場合です。
遺言には法律上の方式があり、自筆証書遺言などを作成する場合も一定の要件を守る必要があります。
また、自筆証書遺言については、法務局で保管してもらえる「自筆証書遺言書保管制度」もあります。
遺言書を作る場合は、自己流だけで判断せず、最新の制度や要件を確認しましょう。
エンディングノートと遺言書の違いを理解する
エンディングノートと遺言書は、似ているように見えて役割が異なります。
| 比較 | エンディングノート | 遺言書 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 情報・希望を家族へ伝える | 財産承継などの意思を残す |
| 書き方 | 基本的に自由 | 法律上の方式がある |
| 介護・医療の希望 | 書きやすい | 主な目的ではない |
| 葬儀・お墓 | 希望を書ける | 主な目的ではない |
| 財産承継の法的効力 | 原則として期待できない | 適法なら法的効力を持つ |
たとえばエンディングノートに、
「自宅は長男に相続してほしい」
と書いただけでは、一般に適法な遺言書と同じ法的効力が生じるわけではありません。
そのため、
エンディングノート=情報や希望を整理する
遺言書=財産承継などについて法的な意思を残す
と分けて考えると分かりやすいでしょう。
両方を目的に応じて使い分けることが大切です。
不動産がある場合は相続登記について知っておく
土地や建物を所有している方は、相続登記についても知っておきましょう。
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、相続によって取得した不動産の名義を相続人へ変更するための登記手続きです。
2024年4月1日から相続登記の申請は義務化されています。
基本的には、相続によって不動産を取得した相続人は、
「自分のために相続が始まったこと」と「その不動産の所有権を取得したこと」を知った日から3年以内
に相続登記を申請する必要があります。
また、2024年4月1日より前に発生した相続であっても、相続登記が済んでいない不動産は義務化の対象になる場合があります。
そのため終活では、
- 所有している土地・建物
- 現在の登記名義
- 不動産関係書類
- 将来誰に引き継いでほしいか
などを確認しておきましょう。
不動産の所有者が亡くなっても、登記簿上の名義が自動的に相続人へ変更されるわけではありません。
不動産がある方は、相続登記について事前に知っておくだけでも、家族が将来手続きをするときの助けになります。
【関連記事】
相続登記のやり方完全ガイド|ケース別の必要書類と申請書の書き方を解説
相続登記に必要な書類、遺産分割による申請、登録免許税、申請書の書き方などを詳しく確認したい方はこちらの記事を参考にしてください。
家族構成別に確認したい終活のやること
終活でやる基本的なことは共通していますが、家族構成によって優先したい準備は変わります。
たとえば、一人暮らしなら緊急時の連絡先、夫婦二人暮らしならお互いが管理している財産や契約、子どもがいない場合なら法定相続人などを早めに確認しておくと安心です。
家族構成別の主なポイントを確認してみましょう。
| 家族構成 | 特に確認したいこと |
|---|---|
| 一人暮らし | 緊急連絡先・支援してくれる人 |
| 夫婦二人 | お互いの財産・契約・希望 |
| 子どもあり | 財産・介護・相続などの情報共有 |
| 子どもなし | 法定相続人・遺言・将来の支援 |
| 家族が遠方 | 緊急時の連絡方法・重要情報の共有 |
一人暮らしの場合
一人暮らしの方は、「自分に何かあったとき、最初に誰へ連絡してもらうか」を決めておくことが重要です。
たとえば、
- 緊急連絡先
- 親族や親しい友人
- かかりつけ医
- 利用している介護サービス
- 財産や重要書類の保管場所
- ペットがいる場合の預け先
などを整理しておきましょう。
特に、スマートフォンの中にしか連絡先がない状態は注意が必要です。
本人がスマートフォンを操作できない場合に備え、紙のエンディングノートなどにも、
「緊急時は最初に○○さんへ連絡」
と記録しておく方法があります。
また、介護が必要になったときの相談先についても確認しておくと安心です。高齢者の介護・生活に関する相談については、市区町村や地域包括支援センターなどがあります。
一人暮らしだからこそ、「困ったときに誰につながればよいのか」を見える形にしておくことが大切です。
夫婦二人暮らしの場合
夫婦二人暮らしでは、「夫婦だからお互いのことは分かっている」と思いがちですが、実際には片方しか知らない情報がある場合があります。
たとえば、
「銀行や投資は夫が管理」
「保険や公共料金は妻が管理」
という家庭もあるでしょう。
終活では、
- それぞれの銀行口座
- 証券口座
- 生命保険
- 年金関係
- 不動産
- 住宅ローン
- 公共料金などの契約
- スマホ・ネットサービス
- 重要書類の保管場所
などをお互いが確認できるようにしておくと安心です。
ただし、すべての暗証番号やパスワードを共有するという意味ではありません。
まずは、
「どこに何があるのか」
を夫婦で把握するところから始めましょう。
介護や医療、葬儀、お墓についても、元気なうちにお互いの考えを話しておくと、いざというときの判断に役立ちます。
子どもがいる場合
子どもがいる場合は、将来必要になりそうな情報を少しずつ伝えておきましょう。
たとえば、
- 利用している金融機関
- 所有している不動産
- 生命保険
- 借入金
- 重要書類の保管場所
- 介護・医療についての希望
- 葬儀・お墓についての希望
などです。
預金残高まで細かく伝えることに抵抗がある場合は、
「○○銀行と△△銀行を利用している」
「不動産関係の書類は書斎にある」
といった情報だけでも構いません。
また、子どもが複数いる場合は、
「長男だけが全部知っている」
という状態についても一度考えてみましょう。
家族の事情によっては、必要な情報を共有しておいた方が、将来の手続きが進めやすくなることがあります。
一方、財産の分け方について具体的な希望がある場合は、子どもへ口頭で伝えるだけではなく、遺言書など正式な方法が必要か確認しましょう。
子どもがいない場合
子どもがいない場合は、法定相続人が誰になるのかを確認しておくことが特に重要です。
配偶者がいる場合でも、「配偶者がすべて相続する」とは限りません。
子どもがいなければ、家族構成によって、
- 配偶者と父母などの直系尊属
- 配偶者と兄弟姉妹
などが相続人になるケースがあります。
また、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子である甥・姪が代襲相続人になる場合もあります。
そのため、
- 誰が法定相続人になるのか
- 誰に財産を残したいのか
- 遺言書を作成した方がよいか
- 不動産をどうするか
- 将来誰に相談したいか
- 葬儀やお墓を誰にお願いしたいか
などを確認しておきましょう。
特定の人へ財産を残したい場合などは、自己判断だけで進めず、遺言制度について確認することが大切です。
家族が遠方に住んでいる場合
子どもや兄弟姉妹などの家族が遠方に住んでいる場合は、距離があることを前提に終活を考えましょう。
たとえば、
「自分は東京、子どもは大阪」
という場合、急な入院などがあっても、家族がすぐ来られない可能性があります。
そこで、
- 緊急時に最初に連絡する人
- 近くに住む親族・友人
- かかりつけ医
- 重要書類の保管場所
- 利用している介護サービス
- 自宅の管理に関する情報
などを整理しておきましょう。
家族には、
「重要書類は自宅の○○にある」
「保険は○○生命に加入している」
というように、必要な情報へたどり着ける手掛かりを伝えておくと安心です。
家族が遠方だからこそ、「何か起きてから探す」のではなく「必要な情報を事前に確認できる状態」にしておくことが大切です。
終活を進めるときに注意したいこと
終活では、財産、持ち物、デジタル情報など多くのものを整理します。
しかし、急いで進めると、必要な書類まで捨てたり、個人情報の管理が不十分になったりすることがあります。
終活を安心して進めるために、次の点には特に注意しましょう。
| 注意点 | 対策 |
|---|---|
| 一度に全部やる | 小さく分けて進める |
| 書類を大量処分 | 内容を確認してから処分 |
| 財産を誰にも伝えない | 存在・保管場所を整理 |
| パスワードをそのまま残す | 安全な方法で管理 |
| 高額サービスを即決 | 契約内容・解約条件を確認 |
| 遺言・相続を自己判断 | 公的情報・専門家を活用 |
| 作ったまま放置 | 定期的に更新 |
最初から完璧を目指さない
終活には「ここまでやれば100点」という明確なゴールがあるわけではありません。
最初から、
「財産を全部整理しよう」
「家中を片付けよう」
「葬儀も相続も全部決めよう」
とすると、負担が大きくなります。
そこで、
今日は銀行口座を1つ確認する
明日は書類ファイルを1冊確認する
という程度から始めましょう。
終活は短期間で完成させるより、無理なく続けることが大切です。
大切な書類を誤って処分しない
終活で家を整理すると、大量の書類が出てくることがあります。
その中には、
- 不動産の登記関係書類
- 保険証券
- 年金関係書類
- ローン契約書
- 税金関係書類
- 遺言書
などが含まれている可能性があります。
古そうだからという理由だけで処分するのは避けましょう。
迷った場合は、
「保管」
「処分」
「確認してから判断」
の3つに分ける方法がおすすめです。
特に不動産、税金、相続、遺言などに関係する書類は、必要性を確認してから処分しましょう。
財産情報を誰にも分からない状態にしない
財産について家族に詳しく話したくない方もいるでしょう。
預金残高などをすべて公開する必要はありませんが、財産の存在まで誰にも分からない状態は避けたいところです。
たとえば、
- ○○銀行に口座あり
- △△証券に証券口座あり
- ○○市に土地あり
- ○○生命に加入
といった情報を整理しておくだけでも、将来家族が財産を調べる手掛かりになります。
エンディングノートなどを活用して、「財産額」より先に「財産の所在」を整理するとよいでしょう。
暗証番号やパスワードを無防備に残さない
デジタル終活では、暗証番号やパスワードの扱いに注意が必要です。
国民生活センターも、スマートフォンやパソコンのロック解除ができない、ネット上の資産を把握できない、サブスクを解約できないといったデジタル遺品に関するトラブルを紹介しています。
一方、
- 通帳に暗証番号を書く
- スマホに解除番号を貼る
- パソコン横にパスワード一覧を置く
といった方法では、第三者に悪用される危険があります。
そのため、
利用しているサービスの情報
と
秘密にすべき認証情報
を分けて管理しましょう。
「家族が必要なときに確認できること」と「普段は第三者から守られていること」の両方を考える必要があります。
高額な終活サービスは内容を確認してから契約する
終活では、
- 葬儀
- お墓
- 遺品整理
- 身元保証
- 高齢者向け生活支援
- 死後の手続き
など、さまざまな民間サービスを利用する場合があります。
便利なサービスがある一方、契約内容や料金体系が複雑なケースには注意が必要です。
契約する前に、
- 具体的に何をしてくれるのか
- 総額はいくらか
- 追加料金はあるか
- 解約できるか
- 返金条件はどうなっているか
- 自分が支払えなくなった場合はどうなるか
- 事業者がサービスを継続できなくなった場合はどうなるか
などを確認しましょう。
特に高額な契約は、その場で急いで決めず、家族や信頼できる人に相談してから判断する方法もあります。
契約トラブルで困った場合は、消費生活センターなどへ相談できます。
遺言・相続は必要に応じて専門家へ相談する
遺言や相続には法律上のルールがあります。
インターネットの記事だけを見て、
「自分の場合もこれで大丈夫」
と判断するのは注意が必要です。
たとえば、
- 相続人が多い
- 前婚の子どもがいる
- 子どもがいない
- 不動産が複数ある
- 相続人以外へ財産を残したい
- 相続人同士で意見が分かれそう
- 相続税が気になる
といった場合は、専門家へ相談することも検討しましょう。
相談内容によって、
- 弁護士
- 司法書士
- 税理士
- 公証役場
- 法務局
など、適切な相談先は異なります。
なお、法務局では登記や自筆証書遺言書保管制度などの手続きを案内していますが、個別の遺産分割や遺言内容について法律判断をしてもらえるわけではありません。
「どこへ相談すればよいか」を整理してから利用するとよいでしょう。
終活の内容は定期的に見直す
終活は、一度整理したら永久にそのままでよいわけではありません。
生活環境は変化します。
たとえば、
- 銀行口座を解約した
- 保険を変更した
- 不動産を売却した
- 引っ越した
- スマートフォンを買い替えた
- 家族構成が変わった
- 介護・医療について考えが変わった
といった場合は、終活の内容も更新しましょう。
見直しを忘れないためには、
「毎年誕生日に終活ノートを確認する」
「毎年1月に財産一覧表を更新する」
など、自分なりのルールを決める方法があります。
特に確認したいのは、
□ 財産に変更はないか
□ 重要書類の場所は変わっていないか
□ 緊急連絡先は最新か
□ 保険契約に変更はないか
□ デジタルサービスに変更はないか
□ 介護・医療について希望は変わっていないか
□ 葬儀・お墓について考えは変わっていないか
□ 遺言書を見直す必要はないか
という項目です。
終活は一度で完成させるものではなく、自分の暮らしや家族の変化に合わせて育てていく準備と考えると、無理なく続けやすくなります。
終活でやることについてよくある質問
終活を始めようと思っても、「何から始めればいい?」「遺言書は必要?」など、さまざまな疑問が出てくるものです。
ここでは、終活をこれから始める方が迷いやすいポイントをQ&A形式で分かりやすく整理します。
終活で最初にやることは何ですか?
最初におすすめなのは、自分や家族に関する基本情報と財産の所在を書き出すことです。
たとえば、
- 緊急連絡先
- 利用している銀行
- 生命保険
- 所有している不動産
- 重要書類の保管場所
などを紙やエンディングノートに書いてみましょう。
最初から金額や細かい契約内容まで調べなくても構いません。
まず、
「○○銀行に口座がある」
「不動産関係の書類は書斎にある」
という程度から始めれば十分です。
終活は、簡単なことから一つずつ進める方が続けやすくなります。
終活は何歳から始めればいいですか?
終活を始める年齢に決まりはありません。
60代や70代になってから始めても遅くありませんし、もっと若いうちから財産やデジタル情報を整理しても構いません。
むしろ、
- 自分で判断できる
- 家の整理ができる
- 家族と話し合える
元気な時期に始めた方が、ゆっくり準備できます。
たとえば60代なら財産や持ち物の整理、70代なら介護・医療や重要書類の確認を優先するなど、自分の生活状況に合わせて考えましょう。
「○歳になったから始める」というより、「そろそろ整理しておこう」と思ったときが始めどきと考えるとよいでしょう。
終活は一人でもできますか?
はい。財産一覧の作成や持ち物整理、エンディングノートなど、一人でできることはたくさんあります。
たとえば、
- 銀行口座を書き出す
- 保険証券を確認する
- 不要な衣類を整理する
- 写真を整理する
- エンディングノートを書く
などは、自分のペースで進められます。
ただし、
- 介護・医療についての希望
- 葬儀・お墓
- 財産の保管場所
- 緊急時の連絡
- 遺言・相続
などは、必要に応じて家族や信頼できる人と話しておくことも大切です。
特に医療・ケアについては、厚生労働省も「人生会議(ACP)」として、家族や信頼できる人、医療・ケアチームなどと前もって考え、話し合うことを案内しています。
終活にはどのくらい時間がかかりますか?
終活に「何日で終わる」という決まった期間はありません。
整理する財産や持ち物、家族構成などによって大きく変わります。
たとえば、
| 作業 | 目安となる進め方の例 |
|---|---|
| 緊急連絡先 | 30分程度から |
| 銀行口座確認 | 1日1~2口座 |
| 重要書類 | ファイル1冊ずつ |
| 持ち物整理 | 1回30分程度 |
| エンディングノート | 数回に分ける |
| 家族との話し合い | 必要に応じて繰り返す |
というように、小さく分けて進めると負担を抑えられます。
1か月で終わらなくても問題ありません。
むしろ、生活や考え方が変われば内容を見直す必要があるため、終活は一度で完成させるより定期的に続けるものと考えるとよいでしょう。
終活にはお金がかかりますか?
終活そのものは、必ずしもお金をかける必要はありません。
たとえば、
- 財産を書き出す
- 家族と話す
- 持ち物を整理する
- エンディングノートを書く
といったことは、ほとんど費用をかけずにできます。
一方、
- 葬儀の事前相談
- 墓じまい
- 不用品処分
- 専門家への相談
- 遺言書作成
- 各種終活サービス
などを利用すると費用が発生する場合があります。
サービスを利用するときは、料金だけでなく、
- 何が料金に含まれているか
- 追加費用
- 解約条件
- 返金条件
なども確認しましょう。
「終活には高額な費用が必要」と決めつけず、まず無料でできる整理から始めるのがおすすめです。
エンディングノートは必要ですか?
エンディングノートは必ず作らなければならないものではありません。
ただし、終活の情報を一か所にまとめられるため、初心者には使いやすい方法です。
たとえば、
- 緊急連絡先
- 財産情報
- 重要書類の保管場所
- 介護・医療の希望
- 葬儀・お墓の希望
- 家族へのメッセージ
などを書けます。
市販のエンディングノートを購入しなくても、普通のノートに項目を作って書いても構いません。
ただし、エンディングノートは遺言書と同じものではありません。
財産を誰にどのように承継させるかなど、法的な効力が必要な場合には遺言書を別に検討しましょう。
遺言書は必ず作った方がいいですか?
すべての人が必ず遺言書を作らなければならないわけではありません。
しかし、
- 不動産がある
- 相続人が多い
- 特定の人に財産を残したい
- 子どもがいない
- 相続人以外へ財産を残したい
- 家族間のトラブルをできるだけ避けたい
といった場合は、遺言書を検討する意味があります。
遺言書には法律上の方式があります。
自筆証書遺言については、法務局で保管する「自筆証書遺言書保管制度」もあります。
自分の場合に遺言書が必要か分からないときは、法務省・法務局などの公的情報を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
家族にはどこまで伝えておけばいいですか?
すべての財産額や暗証番号まで家族に伝える必要はありません。
まずは、必要な情報へたどり着ける状態を目指しましょう。
最低限、次のような情報があると確認しやすくなります。
- 緊急連絡先
- 利用している銀行
- 証券会社
- 生命保険会社
- 所有している不動産
- 借入金の有無
- 重要書類の保管場所
- 介護・医療についての考え
- 葬儀・お墓についての希望
一方、
- キャッシュカードの暗証番号
- スマホのパスコード
- ネット銀行のパスワード
などを誰でも見られる場所に残すのは避けましょう。
国民生活センターも、デジタル終活ではネット上の資産やサブスクなどを整理しておくことを案内していますが、情報の安全な管理も重要です。
**「存在や確認方法は伝える」「秘密情報は安全に管理する」**という考え方が基本です。
終活でやることを整理してできることから始めよう
終活でやることは、エンディングノート、財産整理、重要書類、デジタル情報、持ち物、介護・医療、葬儀・お墓、遺言・相続など幅広くあります。
しかし、最初からすべてを完璧に終わらせる必要はありません。
まずは緊急連絡先や利用している銀行を書き出すなど、簡単にできることから始めましょう。
情報や希望を整理し、必要なことを家族や信頼できる人と共有しながら、生活の変化に合わせて定期的に見直すことが大切です。
今日覚えておきたい重要ポイント3つ
今回の記事で特に覚えておきたいポイントは、次の3つです。
- 終活は財産だけでなく、介護・医療・持ち物・デジタル情報なども含めて考える
- すべてを一度に進めず、簡単な項目から順番に整理する
- 家族が必要な情報へたどり着けるようにし、定期的に内容を見直す
迷った場合は、
「今、家族に何か聞かれたら困る情報はないか」
と考えてみると、何から始めればよいか見つけやすくなります。
終活でやること・おすすめ順番早見表
終活初心者の方は、次の順番を目安にすると進めやすくなります。
| 順番 | やること | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 1 | 家族・緊急連絡先 | 誰に連絡するか |
| 2 | 財産整理 | 銀行・保険・不動産 |
| 3 | 重要書類 | 何がどこにあるか |
| 4 | エンディングノート | 自分の情報・希望 |
| 5 | 持ち物整理 | 残す・処分・保留 |
| 6 | 介護・医療 | どのように暮らしたいか |
| 7 | 葬儀・お墓 | 希望や関係先 |
| 8 | 遺言・相続 | 相続人・財産・不動産 |
この順番は法律で決められたものではありません。
たとえば、不動産が多い方なら財産整理を先に進めてもよく、一人暮らしなら緊急連絡先を最優先にしてもよいでしょう。
自分の生活や家族構成に合わせて順番を入れ替えてください。
終活準備チェックリスト
最後に、現在どこまで準備できているか確認してみましょう。
□ 緊急連絡先をまとめた
□ 家族・親族の連絡先を整理した
□ 銀行口座を一覧にした
□ 不動産を確認した
□ 生命保険を確認した
□ 年金関係の情報を整理した
□ 株式・投資信託などを確認した
□ 住宅ローン・借金を確認した
□ 重要書類の保管場所を確認した
□ スマホ・パソコンの情報を整理した
□ ネット銀行・ネット証券を確認した
□ サブスクを確認した
□ 家や持ち物を整理し始めた
□ 介護について希望を考えた
□ 医療・ケアについて家族と話した
□ 葬儀について希望を考えた
□ お墓・納骨について確認した
□ 法定相続人を確認した
□ 遺言書が必要か考えた
□ 不動産の相続登記について確認した
□ エンディングノートを定期的に見直す予定を決めた
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、今日できそうな項目を1つだけ選んで取り組むことが、終活を始める第一歩です。
次に読むおすすめ終活・相続関連記事
終活で財産を整理すると、不動産の相続について気になる方もいるでしょう。
不動産を相続した場合には、相続登記が必要になります。
相続登記の必要書類、申請書の書き方、遺産分割による相続などについて詳しく確認したい方は、次の記事を参考にしてください。
関連記事:相続登記のやり方完全ガイド|ケース別の必要書類と申請書の書き方を解説
終活は、一度ですべて決めるものではありません。
これから記事を読みながら、エンディングノート、財産整理、介護、葬儀、遺言・相続など、自分に必要な項目を一つずつ整理していきましょう。
本記事は、終活・相続・遺言・介護などについて、公的機関が公開する情報を参考に作成しています。制度や手続きは変更される場合があるため、最新情報をご確認ください。
参考元:
- 厚生労働省「人生会議(ACP)」
- 法務省・法務局「相続・遺言に関する情報」
- 国民生活センター「デジタル終活に関する注意喚起」
- 日本年金機構「年金に関する情報」
まとめ
終活でやることは、エンディングノートの作成、預貯金や不動産などの財産整理、重要書類の確認、デジタル情報や持ち物の整理、介護・医療、葬儀・お墓、遺言・相続への準備など幅広くあります。しかし、最初からすべて終わらせる必要はありません。まずは家族や緊急連絡先をまとめ、財産や重要書類を書き出すなど、簡単なことから始めましょう。自分の希望を整理し、必要な情報を家族と共有しながら定期的に見直すことが、無理なく終活を続けるポイントです。

