終活で不動産をどうするか迷っている方へ。自宅・土地の確認方法から、残す・売る・貸すなどの選択肢、空き家対策、生前贈与、相続登記の注意点まで初心者向けに分かりやすく解説します。
「終活で自宅や土地はどうすればいいの?」「子どもが住まない家を残しても大丈夫?」と悩んでいませんか。不動産は預貯金と違って簡単に分けにくく、相続後に空き家や共有名義などの問題につながることもあります。だからこそ、元気なうちに所有している土地・建物や登記名義を確認し、今後どうするか考えておくことが大切です。この記事では、終活で不動産を整理するときの基本から、自宅や土地を残す・売る・貸すといった選択肢、空き家対策、生前贈与、相続登記、相談先まで初心者向けに分かりやすく解説します。

終活で不動産整理が必要な理由
終活では、預貯金や生命保険などと一緒に、自宅や土地などの不動産についても整理しておくことが大切です。
不動産は金額が大きくなりやすいうえ、簡単に分割したり移動したりできません。また、相続後に「誰が住むのか」「売却するのか」「空き家にならないか」といった問題が生じることもあります。
そのため、まずは自分が所有している不動産を確認し、元気なうちに今後どうするか考えておきましょう。
終活における不動産整理とは?
終活における不動産整理とは、単に自宅や土地を売却することではありません。
まずは、
- どのような土地・建物を所有しているか
- 不動産はどこにあるか
- 誰の名義になっているか
- 共有者がいるか
- 住宅ローンなどが残っているか
- 今後、自分や家族が利用する予定があるか
などを確認することから始めます。
そのうえで、自宅や土地を、
「住み続ける」「家族に残す」「売却する」「貸す」「活用する」
など、今後どうするのか考えていきます。
たとえば、「現在住んでいる自宅は住み続ける」「遠方にある使っていない土地は今後の処分方法を検討する」といったように、不動産ごとに分けて考えると整理しやすくなります。
終活での不動産整理は、**「処分すること」ではなく「現状を把握して将来の方針を考えること」**と理解しておきましょう。
不動産は預貯金のように簡単に分けられない
不動産が終活で重要になる理由の一つが、預貯金のように簡単には分けられないことです。
たとえば、3,000万円の預貯金であれば、相続の内容に応じて金額を分けることを検討できます。
しかし、3,000万円相当の自宅が1軒ある場合、
「長男に半分の部屋、長女に残り半分の部屋」
というように単純に分けることは現実的ではありません。
不動産では、
- 誰か一人が取得する
- 売却して代金を分ける
- 複数人の共有にする
などを検討することになります。
特に、自宅以外の財産が少ない場合には、「誰が家を取得するのか」が家族の話し合いで重要になることもあります。
そのため、終活では不動産の金額だけではなく、**「誰が利用するのか」「家族は残してほしいと思っているのか」**まで考えておくことが大切です。
家族が土地・建物の存在を知らないことがある
本人にとっては当たり前でも、家族がすべての不動産を把握しているとは限りません。
たとえば、
- 遠方にある土地
- 親から相続した山林
- 使っていない農地
- 昔購入した小さな土地
- 親族と共有している土地
などは、配偶者や子どもが詳しく知らない場合があります。
「自宅以外に不動産はないと思っていたのに、相続手続きの途中で別の土地が見つかった」ということを防ぐためにも、所有している不動産を一覧にしておくと安心です。
たとえば、次のような簡単な表から始められます。
| 不動産 | 所在地 | 名義 | 利用状況 |
|---|---|---|---|
| 自宅 | ○○市○○町 | 本人 | 居住中 |
| 土地 | △△市△△町 | 本人 | 未使用 |
| 実家土地 | □□町 | 兄弟と共有 | 空き家 |
最初から面積や評価額まで正確に書く必要はありません。
まずは、**「どこに、どんな不動産があるのか」**を家族が確認できる状態にすることが重要です。
空き家や使わない土地が負担になることがある
自宅や土地は、所有しているだけで終わりではありません。
特に将来自宅が空き家になった場合には、
- 建物の点検
- 草木の手入れ
- 修繕
- 防犯対策
- 固定資産税などの費用
- 遠方の場合の移動
などが必要になることがあります。
適切に管理されていない空き家をそのまま放置すると、建物の老朽化や周辺環境への影響につながることもあります。
そのため、
「子どもに家を残しておけば安心」
と考えるだけではなく、
「子どもは実際に住む予定があるのか」
「住まない場合、誰が管理するのか」
まで確認しておくことが大切です。
たとえば、子どもが遠方に自宅を持っていて実家へ戻る予定がない場合には、売却や賃貸なども選択肢として考えられます。
ただし、売却・賃貸のどちらがよいかは不動産の立地や状態、家族の事情によって異なりますので、一律に決める必要はありません。
元気なうちに今後の方針を考えることが大切
不動産については、本人の希望を家族が知らないまま相続を迎えると、判断に迷うことがあります。
たとえば、
「この家は残してほしいのか」
「売却しても構わないのか」
「土地を誰かに使ってほしいのか」
本人の考えが分からなければ、家族だけで判断しなければなりません。
終活では、元気なうちに、
- 自宅に住み続けたい
- 将来は住み替えたい
- 子どもが希望すれば残したい
- 誰も使わないなら売却してもよい
- 土地の管理について相談しておきたい
など、自分の希望を整理して家族と話しておきましょう。
ただし、終活を始めたからといって、すぐに自宅を売却したり名義を変更したりする必要はありません。
「まず現状確認 → 家族と相談 → 選択肢を比較 → 方針を決める」
という順番で進めると分かりやすいでしょう。
終活全体の財産をどのように整理すればよいか知りたい方は、**「終活で財産整理は何をする?預貯金・不動産・保険のまとめ方を解説」**も参考にしてください。
終活で最初に確認したい不動産の情報
不動産を「残す・売る・貸す」などの方針を決める前に、まず現在の状況を正確に把握しておきましょう。
確認しておきたい主な項目は次のとおりです。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 不動産の種類 | 自宅・土地・山林など |
| 所在地 | 市区町村・地番など |
| 登記名義 | 誰が所有者として登記されているか |
| 持分 | 共有の場合の割合 |
| 固定資産税 | 納税通知書・課税明細書など |
| 住宅ローン | 残高・借入先 |
| 抵当権 | 登記されているか |
| 関係書類 | 登記識別情報・契約書など |
一つずつ確認していきましょう。
所有している土地・建物をすべて確認する
最初に、自分が所有している土地・建物を書き出します。
自宅だけを確認して終わらせず、
- 自宅の土地
- 自宅の建物
- 貸している土地・建物
- 相続した実家
- 山林
- 農地
- 駐車場として利用している土地
- 共有している不動産
なども確認しましょう。
特に、親や祖父母から相続した不動産については、本人も詳しい所在地を覚えていないことがあります。
「昔、親から山を相続した気がする」といった場合も、そのままにせず確認しておくことが大切です。
不動産の所在地を確認する
不動産一覧を作るときは、所在地も記録しておきましょう。
ここで注意したいのは、普段使っている「住所」と、不動産登記で使われる「地番」が同じとは限らないことです。
そのため、終活用の一覧では、最初は普段の住所を書き、登記事項証明書や固定資産税関係の書類などを確認しながら必要な情報を追加するとよいでしょう。
たとえば、
自宅:○○県○○市○○町
土地:△△県△△市△△町・現在未使用
という簡単な記録でも、何も残していない状態より家族が確認しやすくなります。
登記名義と持分を確認する
次に重要なのが、登記名義です。
「自分の家だから、自分名義だろう」
と思い込まず、確認しておきましょう。
たとえば、
- 土地は夫名義、建物は妻名義
- 土地を夫婦2人で共有
- 親から相続した土地が親名義のまま
- 兄弟姉妹と共有している
といったケースがあります。
共有不動産では、それぞれの所有者に「持分」があります。
登記事項証明書を確認すると、所有権などの登記事項を確認できます。
特に相続した土地や建物については、名義変更が済んでいるか確認しておきましょう。
固定資産税関係の書類を確認する
毎年届く固定資産税の納税通知書や課税明細書も、不動産を整理する際の手掛かりになります。
書類から、
- 土地・建物の所在地
- 土地の地積
- 建物の種類
- 固定資産税評価額
などを確認できる場合があります。
終活では、これらの書類を年度ごとにバラバラに置くのではなく、
「不動産関係」
というファイルを一つ作り、最新の書類をまとめておくと分かりやすくなります。
ただし、固定資産税評価額と実際に不動産市場で売却できる価格は同じとは限りません。
売却を検討するときは、別途、不動産会社の査定などを利用して相場を確認する必要があります。
住宅ローンや抵当権の有無を確認する
自宅に住宅ローンが残っている場合は、
- 借入先
- ローン残高
- 返済期間
- 毎月の返済額
- 団体信用生命保険の加入状況
- 関係書類の保管場所
などを確認しておきましょう。
また、不動産の登記事項証明書では、抵当権などの権利関係を確認できます。
住宅ローンを完済していても、抵当権の抹消登記が済んでいるか確認しておくとよいでしょう。
将来、不動産を売却しようとしたときに、
「ローンは完済していると思っていたが、登記を確認すると抵当権が残っていた」
ということに気付く場合もあります。
分からない場合は、金融機関や法務局、司法書士などに確認するとよいでしょう。
共有名義の不動産がないか確認する
終活では、共有名義の不動産を特に確認しておきましょう。
たとえば、
父から相続した土地を兄・本人・妹の3人で共有している
といったケースです。
共有不動産では、自分一人だけで不動産全体を自由に売却できるわけではありません。
そのため、
- 誰と共有しているのか
- 自分の持分はいくらか
- 現在誰が利用しているのか
- 将来どうしたいのか
を確認しておくことが重要です。
共有者が多くなるほど、将来の売却や管理について話し合う相手も増える可能性があります。
終活では、共有状態を把握したうえで、必要に応じて家族や専門家へ相談しましょう。
不動産関係書類の保管場所を整理する
最後に、不動産関係の書類を整理します。
主なものとして、
- 登記識別情報通知
- 売買契約書
- 重要事項説明書
- 固定資産税関係書類
- 住宅ローン関係書類
- 測量図など
- 賃貸している場合の契約書
などがあります。
すべてを一つの場所にまとめられない場合でも、
「どの書類が、どこに保管されているか」
を一覧にしておけば家族が探しやすくなります。
たとえば、
| 書類 | 保管場所 |
|---|---|
| 登記識別情報通知 | 自宅の鍵付き書類ケース |
| 売買契約書 | 書斎の不動産ファイル |
| 固定資産税関係書類 | リビング収納の税金ファイル |
| 住宅ローン書類 | 書斎のローン関係ファイル |
といった簡単な一覧でも十分役立ちます。
なお、重要書類には個人情報が含まれるため、誰でも見られる場所に放置するのは避けましょう。
終活の不動産整理では、**「不動産を確認する」「名義・権利関係を確認する」「関係書類を整理する」**ところまで済ませておくと、その後に「残す・売る・貸す」などの選択肢を検討しやすくなります。
終活で自宅をどうする?主な選択肢
終活で自宅について考えるとき、「売った方がいいのか、それとも子どもに残した方がいいのか」と迷う方もいるでしょう。
しかし、すべての人に共通する正解はありません。
現在の生活、老後の住まい、家族の希望、住宅ローン、建物の状態などによって適した方法は変わります。
主な選択肢を整理すると、次のようになります。
| 選択肢 | メリット | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 住み続ける | 生活環境を変えずに済む | 維持管理・修繕・老後の生活 |
| 家族に残す | 家族が利用できる | 家族が本当に必要としているか |
| 売却する | 不動産を現金化できる | 売却価格・税金・次の住まい |
| 賃貸に出す | 家賃収入を得られる可能性 | 空室・修繕・管理 |
| 住み替える | 将来の生活に合った住環境を選べる | 資金・立地・生活のしやすさ |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
そのまま自宅に住み続ける
住み慣れた自宅にそのまま住み続けることも、もちろん選択肢の一つです。
終活を始めたからといって、自宅を売却しなければならないわけではありません。
たとえば、
- 住宅ローンを完済している
- 買い物や病院へ行きやすい
- 家族が近くに住んでいる
- 建物の状態が良い
- 本人が住み続けたい
という場合は、現在の自宅で暮らし続ける方法も考えられます。
一方、高齢になると、
「2階への階段がつらくなった」
「庭の手入れが難しくなった」
「車を運転しなくなると買い物へ行けない」
など、若い頃には問題にならなかったことが負担になる可能性があります。
そのため、家の広さだけではなく、段差、階段、交通、病院、買い物、修繕費なども含めて、将来も暮らしやすいか確認しておきましょう。
家族に残す
「自宅は子どもに残したい」と考える方もいるでしょう。
ただし、本人が残したいと思っていても、子どもがその家を必要としているとは限りません。
たとえば、子どもがすでに別の地域で家を購入している場合、
「実家を相続しても住む予定がない」
ということもあります。
自宅を残すことを考える場合は、
- 誰に残したいのか
- その家に住む予定があるのか
- 維持管理できるのか
- 他の相続人はどう考えているのか
- 固定資産税や修繕費を負担できるのか
などを確認しておきましょう。
「残してあげたい」だけで決めるのではなく、「受け取る家族がどうしたいか」も確認することが重要です。
元気なうちに売却する
自宅を元気なうちに売却する方法もあります。
売却すれば、不動産を現金化できるため、その後の住み替え費用や老後資金として活用できる可能性があります。
たとえば、
「夫婦2人には一戸建てが広すぎるため、売却して駅や病院に近い小さなマンションへ移る」
という選択です。
売却を検討するときは、
- 不動産の査定価格
- 住宅ローンの残高
- 売却にかかる費用
- 売却による税金
- 売却後の住まい
- 引っ越し費用
なども確認しましょう。
特に重要なのは、売却することだけを先に決めないことです。
「売った後、どこでどのように暮らすのか」まで考えてから進めましょう。
賃貸に出す
自宅を売却せず、賃貸住宅として貸す方法もあります。
うまく借り手が見つかれば、家賃収入を得ながら不動産を所有し続けることができます。
ただし、賃貸には、
- 入居者募集
- 建物の修繕
- 設備の故障対応
- 入退去への対応
- 空室
- 管理費用
- 税金
なども関係します。
たとえば月8万円で貸せたとしても、毎月必ず8万円がそのまま手元に残るとは限りません。
管理会社への費用や修繕費、税金なども考える必要があります。
高齢になってから自分で管理するのが難しくなる可能性もあるため、「誰が将来管理するのか」まで考えておくことが大切です。
住み替えを検討する
老後の生活を考えて、自宅から別の住まいへ移る方法もあります。
たとえば、
- 一戸建てからマンションへ移る
- 郊外から駅の近くへ移る
- 子どもの近くへ引っ越す
- 病院やスーパーに近い場所へ移る
- 高齢者向け住宅を検討する
といった選択肢があります。
住み替えでは住宅の価格だけではなく、
「車を運転しなくなっても生活できるか」
という視点も大切です。
買い物、医療機関、公共交通機関、家族との距離などを確認しておくと、将来の生活をイメージしやすくなります。
どの方法がよいか家族と話し合う
自宅については、本人だけで結論を出さず、できれば家族とも話し合っておきましょう。
たとえば、
本人:「子どもに実家を残したい」
子ども:「すでに自宅があるので住む予定はない」
というように、考え方が違うこともあります。
家族で話すときは、
- 本人は今後どこで暮らしたいか
- 家族は自宅を利用する予定があるか
- 誰が管理するのか
- 売却する可能性はあるか
- 空き家になる可能性はないか
を確認しておくとよいでしょう。
結論がすぐに出なくても問題ありません。
「自宅を今後どうするかについて家族で話した」こと自体が、終活の大切な準備になります。
終活で土地を整理するときの選択肢
終活では、自宅だけでなく所有している土地についても今後どうするか考えておきましょう。
特に、現在使っていない土地や遠方にある土地は、本人が元気なうちは問題がなくても、将来家族が管理することになる可能性があります。
土地の主な選択肢を比較すると、次のようになります。
| 選択肢 | 特徴 | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 所有を続ける | 将来利用できる | 管理・税金 |
| 相続してもらう | 家族へ引き継ぐ | 家族の意思・相続方法 |
| 売却する | 現金化できる | 売却可能性・価格・税金 |
| 活用・賃貸する | 収入につながる可能性 | 需要・費用・管理 |
| 生前贈与する | 生前に所有者を変更 | 贈与税・登記・その他の税負担 |
自分で所有し続ける
土地を無理に処分せず、そのまま所有する方法もあります。
たとえば、
- 自宅の隣にある土地
- 将来家族が利用する可能性がある土地
- 駐車場として利用している土地
などは、保有を続けることも選択肢です。
ただし、利用していない土地でも、
- 固定資産税など
- 草刈り
- 樹木の管理
- 境界や周辺環境の確認
などが必要になる場合があります。
「使っていないから何もする必要がない」と考えず、所有し続ける場合の費用や管理方法も確認しておきましょう。
家族に相続してもらう
土地を将来、子どもなど家族に相続してもらう方法もあります。
ただし、自宅と同じように、
「本人が残したい土地」と「家族が欲しい土地」が一致するとは限りません。
たとえば、遠方の山林を子どもに残したいと思っていても、子どもが、
「遠くて管理できない」
と考える可能性があります。
そのため、
- 誰に引き継いでもらいたいか
- 家族は土地を必要としているか
- 管理できる場所なのか
- 維持費はどの程度か
- 他の財産とのバランスはどうか
などを話し合っておきましょう。
「相続すれば何とかなる」と先送りせず、受け取る側の意向も確認しておくことが重要です。
売却する
利用する予定のない土地は、売却も選択肢になります。
売却できれば、土地を現金化でき、将来の管理負担を減らせる可能性があります。
ただし、すべての土地が希望する価格ですぐに売れるわけではありません。
売却を検討するときは、
- 周辺の取引相場
- 土地の形状
- 道路との接し方
- 境界
- 用途地域などの法規制
- 建物の有無
- 売却にかかる費用・税金
などを確認します。
たとえば、駅や住宅地に近い土地と、山間部にある利用しにくい土地では、売却のしやすさが大きく異なる可能性があります。
まずは不動産会社などへ相談し、**「いくらで売れるか」だけでなく「売却できる可能性があるか」**も確認するとよいでしょう。
活用・賃貸する
土地を手放さずに活用する方法もあります。
土地の立地や広さによっては、
- 駐車場
- 月極駐車場
- 貸地
- 賃貸住宅
- 店舗用地
などとして活用できる可能性があります。
ただし、
「土地活用をすれば必ず利益が出る」
わけではありません。
たとえば賃貸住宅を建てる場合には、建築費や借入金、修繕費、空室リスクなども考える必要があります。
土地活用を検討するときは、
「収入はいくら見込めるか」だけでなく、「初期費用・維持費・将来の管理まで含めて成り立つか」
を確認しましょう。
特に、多額の借入れを伴う土地活用は、複数の事業者や専門家から情報を集めて慎重に判断することが大切です。
生前贈与を検討する
元気なうちに土地を子どもなどへ贈与する「生前贈与」を検討する方もいます。
生前に所有者を変更できるため、本人の意思を反映しやすい面があります。
しかし、不動産を生前贈与すると、
- 贈与税
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 登記手続き
などが関係する場合があります。
また、生前贈与をすれば必ず相続より税金が安くなるとは限りません。
そのため、
「元気なうちに名義を子どもへ変えておけば安心」
という理由だけで進めないようにしましょう。
土地の価値や家族構成、他の財産などによって適切な方法は変わります。
贈与を検討する場合は、税務署や税理士、登記については司法書士などへ相談し、費用や税金を確認してから判断すると安心です。
使っていない土地ほど早めに方針を考える
終活で特に確認しておきたいのが、長期間使っていない土地です。
たとえば、
- 遠方の山林
- 親から相続した土地
- 昔購入した土地
- 空き家が建っている土地
- 何年も利用していない農地
などです。
こうした土地は、本人が内容を把握していても、家族が詳しく知らない場合があります。
まず、
①所在地を確認する
②登記名義を確認する
③現在の利用状況を確認する
④維持費や管理状況を確認する
⑤残す・売る・活用するなどの方針を考える
という順番で整理するとよいでしょう。
特に農地は、売買や転用などについて農地法上の手続きが必要になる場合があります。また、土地によって利用条件や規制が異なるため、一般の宅地と同じ感覚で判断しないことも大切です。
終活では、すぐに処分できるかどうかにかかわらず、「この土地を所有している」と家族が把握でき、将来どうしたいのか分かる状態にしておくことが第一歩です。
自宅・土地を家族に残す場合に確認したいこと
自宅や土地を家族に残したいと考えている場合は、単に「子どもに相続してもらう」と決めるだけでは十分とはいえません。
誰に残すのか、家族がその不動産を必要としているのか、ほかの相続人とのバランスはどうかなどを確認しておくことが大切です。
特に不動産は預貯金のように簡単に分けにくいため、元気なうちに家族と話し合っておきましょう。
誰に残したいのか考える
まず、自宅や土地を誰に残したいのか考えてみましょう。
たとえば、
- 配偶者に自宅を残したい
- 長男に実家を継いでもらいたい
- 子どもの一人に土地を使ってもらいたい
- 複数の子どもで相談して決めてほしい
など、希望は家庭によって異なります。
ただし、自分の希望だけで決めるのではなく、相続人となる家族の状況も考えることが大切です。
たとえば長男に実家を残したいと思っていても、長男が遠方に住んでいて戻る予定がない場合もあります。
まずは、
「誰に残したいのか」
「その人は本当に受け取りたいのか」
の両方を確認しておきましょう。
家族が本当に不動産を必要としているか確認する
本人にとって思い入れのある自宅でも、家族にとって同じ価値があるとは限りません。
たとえば、
「この家は子どもに残してあげたい」
と思っていても、子ども側は、
- すでに自宅を所有している
- 転勤先に定住している
- 実家へ戻る予定がない
- 維持管理が難しい
と考えている場合があります。
不動産を残す前に、
- 将来住む予定があるか
- 賃貸や売却を考えているか
- 固定資産税や修繕費を負担できるか
- 遠方でも管理できるか
を確認しておきましょう。
家族が「必要ない」と考えている場合には、元気なうちに売却や別の活用方法を検討する選択肢もあります。
複数の相続人がいる場合は注意する
子どもが複数いる場合は、不動産の扱いについて特に注意が必要です。
たとえば、
長男・長女の2人が相続人で、主な財産が自宅1軒だけ
という場合です。
預貯金なら金額を分けられますが、自宅は簡単には分割できません。
そのため、
- 一人が自宅を相続する
- 売却して代金を分ける
- 共有名義にする
- 一人が取得し、ほかの相続人へ金銭を支払う
などの方法を検討することになります。
共有名義にすると、将来の売却や管理で共有者同士の話し合いが必要になる場合があります。
そのため、
「とりあえず兄弟で半分ずつ」
と安易に決めず、将来の管理や処分まで考えておくことが大切です。
不動産以外の財産とのバランスも考える
自宅や土地を誰か一人に残す場合は、預貯金や生命保険など、ほかの財産とのバランスも確認しましょう。
たとえば、
- 長男:自宅3,000万円相当
- 長女:預貯金500万円
というように財産の差が大きくなると、相続時に家族が不公平だと感じる可能性があります。
そのため、
- 預貯金
- 生命保険
- 株式・投資信託
- 自動車
- その他の財産
も含めて、財産全体を確認しておきましょう。
相続では不動産だけを単独で考えるのではなく、財産全体のバランスを見ることが重要です。
遺言書を検討した方がよいケース
自宅や土地を「特定の家族に残したい」という希望がはっきりしている場合には、遺言書を検討する方法があります。
特に、
- 特定の子どもに自宅を残したい
- 再婚していて家族関係が複雑
- 子どもがいない
- 相続人が多い
- 不動産が複数ある
- 家族間の話し合いが難しくなりそう
といった場合には、遺言書を作成することで本人の意思を明確にできます。
ただし、遺言書には種類や作成方法があり、内容によっては相続人の権利なども関係します。
自己流で判断せず、必要に応じて弁護士、司法書士、公証役場などへ相談すると安心です。
終活で不動産を売却する場合のポイント
自宅や土地を家族が利用する予定がない場合は、元気なうちに売却する方法もあります。
売却すれば不動産を現金化できるため、老後資金や住み替え費用として使える可能性があります。
ただし、不動産は「売りたい」と思ったらすぐに売れるとは限りません。
売却前には、相場、住宅ローン、必要書類、税金、売却後の住まいなどを確認しておきましょう。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 相場 | 周辺の売却価格を確認 |
| 査定 | 複数社を比較する方法もある |
| 必要書類 | 登記・契約・本人確認書類など |
| 住宅ローン | 残高と抵当権を確認 |
| 住み替え | 売却後の住居を先に検討 |
| 税金 | 譲渡所得・特例の確認 |
まず不動産の相場を確認する
売却を考えたら、最初に現在の不動産相場を確認しましょう。
「昔3,000万円で購入したから、今も同じくらいで売れるだろう」
とは限りません。
不動産価格は、
- 所在地
- 駅までの距離
- 土地の広さ
- 建物の築年数
- 道路との接し方
- 周辺環境
などによって変わります。
まずは国土交通省の不動産取引価格情報などを参考に、近隣の取引事例を確認する方法があります。
そのうえで、不動産会社へ査定を依頼すると、現在の売却価格をイメージしやすくなります。
複数の不動産会社へ査定を依頼する方法もある
不動産会社によって査定額が異なることがあります。
そのため、一社だけで決めず、複数の会社へ査定を依頼して比較する方法もあります。
比較するときは、査定額だけを見るのではなく、
- 査定額の根拠
- 近隣の成約事例
- 販売方法
- 仲介手数料
- 担当者の説明
- 売却までの見込み
なども確認しましょう。
たとえば、
A社「3,500万円」
B社「3,100万円」
だった場合、高い査定額だけを理由にA社へ決めるのではなく、
「なぜその金額になるのか」
を説明してもらうことが大切です。
査定価格は、実際にその金額で売れることを保証するものではありません。
売却に必要な書類を確認する
不動産を売却するときは、さまざまな書類が必要になります。
主な書類として、
- 登記識別情報通知など
- 本人確認書類
- 固定資産税関係の書類
- 売買契約書
- 建築確認関係書類
- 測量図・境界関係書類
- マンションの場合は管理規約など
が挙げられます。
物件によって必要書類は異なるため、不動産会社へ早めに確認しておきましょう。
終活で不動産関係書類を整理しておけば、将来売却するときの準備もスムーズになります。
住宅ローンが残っている場合は確認する
住宅ローンが残っている自宅を売却する場合は、まずローン残高を確認しましょう。
一般的には、不動産の引き渡しまでに住宅ローンを完済し、抵当権を抹消できる状態にする必要があります。
たとえば、
- 売却予定価格:2,500万円
- 住宅ローン残高:2,000万円
であれば、売却代金からローンを返済できる可能性があります。
一方、
- 売却予定価格:1,800万円
- ローン残高:2,200万円
のように売却代金だけでは完済できない場合には、自己資金を用意するなど別の対応が必要になることがあります。
住宅ローンが残っている場合は、売却を決める前に金融機関や不動産会社へ確認しましょう。
売却後の住まいを先に考える
終活で自宅を売却するときに最も重要なのが、売却後の住まいです。
自宅を売ることだけを先に決めると、
「売れたけれど、次の家が決まっていない」
という状況になる可能性があります。
売却前に、
- 賃貸住宅へ移る
- マンションを購入する
- 子どもの近くへ移る
- 高齢者向け住宅を検討する
など、次の住まいを考えておきましょう。
また、
- 病院
- スーパー
- 公共交通機関
- 段差・階段
- 家族との距離
- 毎月の住居費
なども確認します。
特に高齢期の住み替えでは、**「今便利か」だけでなく「10年後も暮らしやすいか」**という視点が大切です。
売却による税金も確認する
土地や建物を売却して利益が出た場合、譲渡所得として所得税や住民税が関係します。
土地・建物の譲渡所得は、基本的に、
売却代金 −(取得費+譲渡費用)− 特別控除額
という考え方で計算します。
たとえば、
- 売却価格:3,000万円
- 購入時の取得費など:2,000万円
- 売却費用:150万円
だった場合、単純に「3,000万円すべてが利益」になるわけではありません。
また、自分が住んでいたマイホームを売却した場合には、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
ただし、特例には要件があり、すべての自宅売却で自動的に適用されるわけではありません。
そのため、
- 購入時の契約書
- 建築代金の資料
- 仲介手数料などの資料
- 売却費用の領収書
などは大切に保管しておきましょう。
取得費が分からない場合には、税務上の計算方法も定められています。
売却金額が大きい場合や税金の判断が難しい場合は、税務署や税理士へ相談すると安心です。
不動産を賃貸・活用する場合に考えておきたいこと
終活で自宅や土地をすぐに売却せず、賃貸に出したり活用したりする方法もあります。
うまく活用できれば、家賃収入などを得ながら不動産を所有し続けることができます。
ただし、賃貸経営には管理や修繕、空室、税金なども関係します。
そのため、
「貸せば毎月収入が入るから安心」
と収入面だけで判断せず、将来の管理まで含めて考えておきましょう。
| 確認項目 | 主な内容 |
|---|---|
| 家賃収入 | どの程度の収入を見込めるか |
| 管理 | 入居者対応・建物管理 |
| 修繕 | 設備交換・建物修理 |
| 空室 | 入居者がいない期間の可能性 |
| 税金・費用 | 固定資産税など |
| 高齢期の対応 | 自分で管理を続けられるか |
| 家族 | 将来管理を引き継げるか |
賃貸にすれば家賃収入を得られる可能性がある
自宅や土地を賃貸に出すと、家賃収入を得られる可能性があります。
たとえば、
「子どもの近くへ引っ越すことになったため、今まで住んでいた自宅を月8万円で貸す」
といった方法です。
ほかにも土地の条件によっては、
- 月極駐車場
- 貸地
- 賃貸住宅
- 店舗用地
などとして活用できる場合があります。
ただし、家賃収入がそのまま利益になるわけではありません。
国税庁では、土地や建物などの貸付けによる所得について、基本的に、
総収入金額-必要経費=不動産所得
として計算するとしています。必要経費には、貸付けに直接必要な固定資産税、損害保険料、減価償却費、修繕費などが含まれる場合があります。
そのため、賃貸を考えるときは、家賃だけでなく支出も含めて収支を確認しましょう。
管理や修繕が必要になる
建物を貸す場合は、所有しているだけではなく管理も必要です。
たとえば、
- 給湯器が故障した
- エアコンが動かなくなった
- 雨漏りが発生した
- 水道設備に不具合が出た
- 外壁や屋根の修繕が必要になった
といったことがあります。
入居者との連絡や契約更新、退去時の対応なども必要です。
自分で管理するのが難しい場合は、管理会社へ委託する方法もあります。
ただし、その場合は管理委託費などがかかります。
終活で賃貸を考えるなら、
「貸せるか」だけでなく「誰が管理するのか」
まで決めておくと安心です。
空室になる可能性も考える
賃貸物件は、いつでも入居者が見つかるとは限りません。
たとえば、
月8万円で貸せる物件でも、年間2か月空室になれば、その期間は家賃収入がありません。
一方で、
- 固定資産税
- 保険料
- 修繕費
- 管理費
などは発生する可能性があります。
そのため、
「満室状態が続くこと」を前提に収支を計算しないこと
が大切です。
特に築年数が古い家や交通の便が悪い場所では、入居者募集に時間がかかる場合があります。
賃貸を始める前に、不動産会社へ周辺の家賃相場や需要を確認しておくとよいでしょう。
固定資産税などの費用も確認する
不動産を所有している間は、さまざまな費用がかかります。
主なものとして、
- 固定資産税
- 損害保険料
- 修繕費
- 管理会社への管理費
- 建物の維持費
などがあります。
賃貸に使用している不動産に関係する固定資産税などは、一定の条件のもと不動産所得の必要経費になる場合があります。
ただし、税務上の扱いは実際の利用状況や費用の内容によって異なります。
「払った費用は全部経費になる」と考えず、分からない場合は税務署や税理士へ確認しましょう。
高齢になった後の管理方法を考えておく
今は自分で賃貸物件を管理できても、将来同じようにできるとは限りません。
たとえば、
- 入居者からの電話対応
- 修繕業者の手配
- 契約更新
- 家賃管理
- 確定申告
などが負担になる可能性があります。
そのため終活では、
「今管理できるか」ではなく「10年後にも管理できるか」
という視点も大切です。
将来が心配な場合は、
- 管理会社へ委託する
- 家族に相談する
- 元気なうちに売却する
などの選択肢を比較しておきましょう。
家族が管理を引き継げるか確認する
賃貸不動産を残す場合は、家族が将来管理を引き継げるか確認しておきましょう。
たとえば、
「アパートを子どもに残せば家賃収入が入るから安心」
と思っていても、子ども側は、
「遠方に住んでいるので管理できない」
と考えている場合があります。
家族と話し合うときは、
- 賃貸を続けたいか
- 管理会社を利用するか
- 将来売却したいか
- 修繕費を負担できるか
- 契約書などの保管場所を把握しているか
を確認しておきましょう。
収益がある不動産でも、管理という仕事も一緒に引き継ぐことになる点を忘れないようにしましょう。
空き家になる可能性がある自宅はどうする?
現在住んでいる自宅でも、将来、介護施設への入居や住み替え、相続などによって空き家になる可能性があります。
空き家になってから家族が慌てて対応するのではなく、元気なうちに、
「誰も住まなくなった場合にどうするか」
を考えておくことが大切です。
主な選択肢は次のとおりです。
| 方法 | 特徴 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 維持管理 | 将来使える状態を保つ | 管理する人・費用 |
| 売却 | 管理負担を減らせる | 相場・売却可能性 |
| 賃貸 | 家賃収入の可能性 | 修繕・空室・管理 |
| 解体 | 建物管理が不要になる | 解体費・土地利用 |
| 家族が利用 | 家を活用できる | 本当に住む予定があるか |
空き家を放置するとどんな問題がある?
空き家は、誰も住んでいないからといって放置してよいわけではありません。
国土交通省では、空き家を放置すると、
- 建物の倒壊
- 外壁・屋根材の落下
- 害虫やねずみの発生
- 悪臭
- 景観の悪化
- 不法侵入
- 樹木の越境
などにつながる可能性があると案内しています。
また、適切な管理が行われていない空き家は、状況によって「管理不全空家」や「特定空家」として市区町村から指導・勧告などの対象になることがあります。
そのため、
「誰も住んでいないからそのままでよい」
とは考えず、定期的に状態を確認することが大切です。
定期的な管理が必要になる
空き家を所有し続ける場合は、定期的な管理が必要です。
たとえば、
- 建物の外観確認
- 雨漏りの確認
- 換気
- 通水
- 郵便物の確認
- 庭木や雑草の手入れ
- 害虫・害獣の確認
- 防犯状況の確認
などです。
国土交通省が示す空き家管理の考え方でも、換気、通水、庭木の手入れなどが重要な管理項目として挙げられています。
遠方にある実家など、自分で定期的に行くのが難しい場合は、
- 親族に頼む
- 空き家管理サービスを利用する
- 地元の不動産会社などへ相談する
といった方法も考えられます。
売却・賃貸・解体などを検討する
将来利用する予定がない場合は、空き家を持ち続ける以外の方法も検討しましょう。
主な選択肢は、
売却・賃貸・解体・家族による利用
などです。
たとえば、
「子どもは遠方に住んでおり、実家へ戻る予定がない」
という場合は、売却を検討する方法があります。
一方、
「数年後に子どもが戻る可能性がある」
なら、一定期間管理しながら保有する考え方もあります。
建物の老朽化が進んでいる場合は、解体して土地として活用・売却する方法も考えられます。
ただし、解体には費用がかかり、固定資産税の取り扱いなどにも影響する場合があります。
そのため、
「古いからすぐ壊す」
と決めず、売却・賃貸・解体後の土地利用まで含めて比較しましょう。
家族が管理できるか確認する
空き家になる可能性がある自宅については、家族が管理できるか確認しておきましょう。
たとえば、
本人:「自宅はそのまま残したい」
子ども:「遠方に住んでいるため、年に何度も管理に行くのは難しい」
ということもあります。
家族と、
- 誰が管理するのか
- どのくらいの頻度で確認するか
- 修繕費を誰が負担するか
- 将来売却する可能性はあるか
- 家族の誰かが住む予定があるか
を話しておくとよいでしょう。
「家を残す」ということは、「管理する責任も残る」ということを意識しておくことが大切です。
自治体の空き家相談窓口を利用する方法もある
空き家について、
「売れるのか分からない」
「解体した方がいいのか判断できない」
「遠方なので管理できない」
といった場合は、自治体の空き家相談窓口を利用する方法もあります。
空家法では、市区町村が空き家対策を進める仕組みが整備されており、地域によっては空き家の相談や活用を支援する取り組みも行われています。
自治体によっては、
- 空き家バンク
- 売却・活用相談
- 管理相談
- 解体に関する相談
- 補助制度
などを設けている場合があります。
制度や補助内容は自治体によって異なるため、まずは自宅がある市区町村の公式サイトで「空き家相談」「空き家対策」などを確認するとよいでしょう。
終活では、空き家になってから考えるのではなく、「もし誰も住まなくなったらどうするか」まで決めておくことが、家族の負担を減らす準備につながります。
親から相続したままの土地・建物も確認する
終活で不動産を整理するときは、現在住んでいる自宅だけでなく、親や祖父母から相続した土地・建物についても確認しておきましょう。
特に注意したいのが、相続したにもかかわらず、登記名義が亡くなった親のままになっている不動産です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されています。昔の相続だから関係ないと思わず、名義変更が済んでいるか確認することが大切です。
登記名義が親のままになっていないか確認する
「父が亡くなった後、自分が実家を使っているから自分の不動産になっている」
と思っていても、登記上の名義が父親のままになっていることがあります。
たとえば、
- 20年前に父から実家を相続した
- 遺産分割について家族で話し合った
- 固定資産税も自分が支払っている
- しかし相続登記をしていない
というケースです。
終活で不動産を整理するときは、
「誰が使っているか」だけでなく「登記上、誰の名義になっているか」
を確認しましょう。
登記名義などは、登記事項証明書を取得して確認できます。
相続登記が必要な不動産を確認する
親から相続した不動産が複数ある場合は、自宅だけでなくすべて確認しましょう。
たとえば、
- 実家の土地
- 実家の建物
- 畑
- 山林
- 貸している土地
- 遠方にある土地
- 共有している土地
などです。
法務省によると、相続によって不動産を取得したことを知った相続人は、原則として、その取得を知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
「実家だけ登記して、山林は忘れていた」ということがないよう、不動産一覧表と登記情報を照らし合わせて確認しましょう。
昔の相続でも相続登記義務化の対象になる
ここは特に注意したいポイントです。
相続登記の義務化は2024年4月1日に始まりましたが、それ以前に発生した相続で、相続登記が済んでいない不動産も対象です。
2024年4月1日より前に相続で不動産を取得したことを知っていたケースでは、原則として2027年3月31日までに相続登記をする必要があります。
たとえば、
2010年に父が亡くなり、自宅を相続したものの登記名義は父のまま
という場合でも、
「昔の相続だから義務化とは関係ない」
とはいえません。
終活を機会に、昔相続した土地・建物についても登記状況を確認しておきましょう。
共有者や相続人が多い場合は早めに確認する
相続登記を長期間行わないまま次の相続が発生すると、関係する相続人が増えることがあります。
たとえば、
祖父名義の土地
↓
祖父が死亡
↓
父・叔父・叔母が相続人
↓
父も死亡
↓
父の子どもたちも関係する
というように、世代が進むほど関係者が増える可能性があります。
相続人が増えると、
- 戸籍などの確認
- 相続人同士の連絡
- 遺産分割の話し合い
- 必要書類の収集
などが複雑になることがあります。
特に、
「祖父名義の土地が残っている」
「誰が相続したのか分からない」
という不動産がある場合は、早めに状況を確認しましょう。
必要書類が分からない場合は法務局などに確認する
相続登記では、相続の状況によって必要書類が異なります。
たとえば、
- 遺言書がある
- 遺産分割協議をした
- 法定相続分で登記する
といったケースによって準備する書類が変わります。
一般的には、
- 戸籍関係書類
- 住民票関係書類
- 遺産分割協議書
- 遺言書
- 固定資産評価に関する書類
などが関係しますが、すべてのケースで同じ書類が必要になるわけではありません。
「自分の場合は何が必要なのか分からない」というときは、不動産を管轄する法務局や司法書士などへ確認するとよいでしょう。
相続登記の具体的な手続きや必要書類については、**「相続登記のやり方完全ガイド|ケース別の必要書類と申請書の書き方を解説」**で詳しく解説しています。
終活で不動産を生前贈与するときの注意点
終活では、
「亡くなった後に相続させるより、元気なうちに自宅や土地を子どもへ渡しておいた方がよいのでは?」
と考える方もいるでしょう。
生前贈与は選択肢の一つですが、不動産の場合は贈与税だけでなく、登記やその他の税負担も関係します。
そのため、税金だけを見て急いで名義変更するのではなく、相続との違いも確認してから判断することが大切です。
| 確認項目 | 主なポイント |
|---|---|
| 贈与税 | 不動産の価額によって課税される場合がある |
| 課税方法 | 暦年課税・相続時精算課税など |
| 登記 | 所有権移転登記が必要 |
| 登録免許税 | 登記に伴って確認が必要 |
| 不動産取得税 | 贈与による取得で関係する場合がある |
| 相続との比較 | 税金・家族構成などを含めて判断 |
| 相談先 | 税務署・税理士・司法書士など |
生前贈与とは?
生前贈与とは、本人が生きている間に、自分の財産をほかの人へ無償で渡すことです。
たとえば、
父が所有する土地を、生きているうちに長男へ贈与する
といったケースです。
不動産を生前贈与すれば、本人の意思で誰に渡すか決められるという面があります。
一方で、一度所有権を移すと、その不動産は原則として贈与を受けた人の財産になります。
そのため、
「とりあえず子ども名義にしておこう」
と軽く考えるのではなく、
- 本当に今渡す必要があるか
- 自分が今後利用しないのか
- 家族は納得しているか
- 税金や費用はいくらになるか
まで確認しておきましょう。
贈与税がかかる場合がある
個人から不動産などの財産を贈与された場合、贈与を受けた人に贈与税がかかることがあります。
贈与税には、主に暦年課税と相続時精算課税があります。
暦年課税では、原則として1年間に受けた贈与財産の合計額から110万円の基礎控除額を差し引いて贈与税を計算します。
一方、相続時精算課税についても、2024年1月1日以後の贈与には年110万円の基礎控除が設けられていますが、暦年課税とは仕組みが異なります。
そのため、
「110万円までならどんな贈与でも同じ」
という理解は避けましょう。
特に不動産は価額が大きくなることが多いため、贈与する前に税額や制度を確認することが重要です。
不動産取得税や登記にかかる費用も確認する
不動産の生前贈与では、贈与税だけを確認すればよいわけではありません。
所有者を親から子どもへ変更するための所有権移転登記が必要になり、登録免許税などの費用も関係します。
また、贈与によって不動産を取得した場合には、不動産取得税が関係することもあります。
そのほか、
- 司法書士へ依頼する場合の報酬
- 必要書類の取得費
- 不動産の評価に関係する資料
などの費用が発生することもあります。
つまり、
「贈与税が少なければ生前贈与の方が安い」
とは単純に判断できません。
実際に贈与する前に、必要となる税金・登記費用などをまとめて確認しましょう。
贈与と相続のどちらがよいか単純比較しない
「生前贈与と相続では、どちらが得ですか?」
という疑問を持つ方も多いでしょう。
しかし、一律にどちらが有利とはいえません。
判断するときは、
- 不動産の価額
- 本人の年齢
- 家族構成
- 相続人の人数
- 預貯金などほかの財産
- 今後誰が不動産を利用するか
- 贈与税・相続税
- 登記などにかかる費用
を総合的に確認する必要があります。
また、相続時精算課税を選択した場合、一定の贈与財産は将来、贈与者が亡くなったときの相続税計算にも関係します。
そのため、「生前に渡せば相続とは完全に切り離せる」と考えないことも重要です。
税金だけを理由に急いで名義変更しない
終活では、
「相続税が心配だから今のうちに子どもの名義へ変えておこう」
と考えることがあります。
しかし、自宅を贈与してしまうと、所有者は贈与を受けた子どもへ変わります。
たとえば、今後も自分がその家に住み続ける予定なのに、節税だけを目的として名義を変更すると、将来の売却や家族関係などで想定外の問題が生じる可能性があります。
生前贈与を考える場合は、
①なぜ贈与するのか
②誰に贈与するのか
③自分は今後その不動産を使うのか
④税金・費用はいくらか
⑤相続した場合とどう違うのか
を確認しましょう。
終活では、名義変更を急ぐことより、自分と家族にとって適切な方法を選ぶことが大切です。
必要に応じて税理士などへ相談する
不動産の生前贈与は、税金と登記の両方が関係するため、自分だけでは判断が難しいことがあります。
たとえば、
- 高額な土地を子どもへ贈与したい
- 自宅を配偶者へ贈与したい
- 相続時精算課税を利用したい
- 相続税対策として贈与を考えている
- 不動産が複数ある
- 相続と贈与のどちらがよいか分からない
といった場合です。
主な相談先として、
- 贈与税・相続税 → 税務署・税理士
- 不動産登記 → 法務局・司法書士
- 相続トラブルなど法律問題 → 弁護士
などがあります。
最初からすべてを専門家へ任せる必要はありません。
まず自分の不動産と家族構成を整理し、判断できない部分を専門家へ相談するという進め方でもよいでしょう。
終活で不動産整理するときに注意したいこと
終活で自宅や土地を整理するときは、「早く決めた方が安心」と焦って処分や名義変更を進めないことが大切です。
不動産は金額が大きく、売却や贈与をすると簡単には元の状態へ戻せない場合があります。
特に、
- 老後の住まい
- 家族の希望
- 相続
- 税金
- 共有名義
- 売却契約
などが関係するため、必要な情報を確認してから判断しましょう。
| 注意点 | 確認したいこと |
|---|---|
| 自宅の処分 | 家族の希望も確認する |
| 売却 | 売却後の住まいを確保する |
| 不動産価値 | 金額だけで判断しない |
| 共有名義 | 将来の管理・売却を考える |
| 税金 | 相続税・贈与税などを確認 |
| 業者選び | 勧誘や契約内容を確認 |
| 契約 | 理解できないまま署名しない |
家族に相談せず自宅を処分しない
自宅は本人の財産ですが、終活では家族とも話し合ってから処分を検討すると安心です。
たとえば、
本人は、
「子どもは誰も住まないから売却しよう」
と思っていても、子ども側は、
「将来、実家へ戻りたい」
と考えている可能性があります。
逆に、
本人:「子どもに家を残したい」
家族:「遠方なので管理できない」
という場合もあります。
自宅を売却する前に、
- 家族が利用する予定はないか
- 本人は今後どこで暮らすのか
- 家族に残したいという希望はあるか
- 売却以外の方法はないか
を確認しておきましょう。
ただし、家族に相談することと、本人の意思を無視することは別です。
本人の希望を基本にしながら、将来関係する家族とも情報を共有することが大切です。
老後の住まいを確保してから売却を考える
自宅を売却するとまとまった資金を得られる可能性がありますが、売却後には別の住まいが必要になります。
たとえば、
「自宅を3,000万円で売却できた」
としても、その後に、
- マンション購入費
- 賃貸住宅の家賃
- 引っ越し費用
- 高齢者向け住宅の費用
などが必要になります。
そのため、自宅を売る前に、
「売却後、どこでどのように暮らすのか」
を具体的に考えておきましょう。
確認したいポイントは、
- 家賃・管理費を払い続けられるか
- 病院やスーパーへ行きやすいか
- 公共交通機関があるか
- 階段や段差が少ないか
- 家族との距離は適切か
などです。
老後の不動産整理では、売却価格よりもその後の生活を安定して続けられることを優先しましょう。
不動産の価値だけで判断しない
不動産を整理するときは、査定価格だけで残す・売るを決めないことも重要です。
たとえば、
Aの土地:査定額2,000万円
Bの自宅:査定額1,500万円
だったとしても、金額だけを見て「Aを残した方が得」とは限りません。
不動産には、
- 利便性
- 管理のしやすさ
- 修繕費
- 固定資産税
- 将来の利用予定
- 家族の希望
- 売却しやすさ
なども関係します。
特に自宅については、資産価値だけではなく**「本人が安心して暮らせる場所か」**という視点も大切です。
終活では、不動産を単なる金額として見るのではなく、暮らしや家族との関係も含めて考えましょう。
共有名義を安易に増やさない
相続や生前贈与で、
「兄弟2人で半分ずつ共有すれば公平なのでは?」
と考えることがあります。
しかし、共有不動産では、売却や大きな変更をするときに共有者との話し合いが必要になる場合があります。
たとえば、
兄:「土地を売りたい」
妹:「将来子どもに使わせたいので売りたくない」
となれば、方針が一致しないこともあります。
共有名義を検討するときは、
- 誰が管理するのか
- 固定資産税などをどう負担するのか
- 将来売却するときどうするのか
- 次の相続が発生したらどうなるのか
まで考えておきましょう。
「平等に分けたいから共有にする」だけで決めないことが重要です。
相続税・贈与税などを自己判断だけで進めない
終活では、
「今のうちに土地を子どもへ贈与した方が税金が安いのでは?」
と考えることがあります。
しかし、税金は財産額や家族構成、利用する制度によって変わります。
国税庁では、相続税・贈与税について申告方法や各種制度、判定のための情報を案内しています。
特に、
- 自宅を生前贈与する
- 高額な土地を子どもへ移す
- 相続時精算課税を利用する
- 相続税対策を目的に財産を移す
といった場合は、自己判断だけで進めない方が安心です。
税金だけを減らそうとして名義を変更すると、別の税負担や登記費用などが発生することもあります。
分からない場合は税務署や税理士へ相談しましょう。
悪質な不動産業者や勧誘に注意する
終活で不動産売却を検討している高齢者を狙った勧誘にも注意が必要です。
たとえば、
- 「今日契約すれば高く売れます」
- 「今すぐ売らないと価値が下がります」
- 「この土地は必ず値上がりします」
- 「無料査定だから」と強く契約を迫る
といった場合は、その場ですぐ契約しないようにしましょう。
不動産売却では金額が大きいため、
- 会社名を確認する
- 宅地建物取引業者であるか確認する
- 査定額の理由を聞く
- 複数社を比較する
- 契約内容を家族などにも見てもらう
といった対策が有効です。
不安を感じる勧誘を受けた場合は、自治体の消費生活センターなどに相談する方法もあります。
契約内容を理解してから署名・契約する
不動産売却では、媒介契約や売買契約などさまざまな契約が関係します。
契約書を渡されても、
「専門用語が多くてよく分からないけれど、業者が大丈夫と言っているから署名しよう」
と進めないようにしましょう。
契約前には、
- 売却価格
- 仲介手数料
- 契約期間
- 解約条件
- 違約金
- 引き渡し時期
- 売主が負う責任
などを確認します。
分からないところがあれば、
「この項目はどういう意味ですか?」
と質問して構いません。
説明を受けても理解できない場合は、その場で署名せず、家族や専門家へ相談してから判断しましょう。
不動産契約では、「理解してから契約する」ことが基本です。
終活の不動産整理は誰に相談すればいい?
終活で不動産を整理していると、
「売却は誰に聞けばいい?」
「相続登記はどこへ相談する?」
「税金については誰に聞けばいい?」
と迷うことがあります。
不動産整理は内容によって相談先が異なります。
主な相談先を整理すると、次のとおりです。
| 相談内容 | 主な相談先 |
|---|---|
| 不動産売却・査定 | 不動産会社 |
| 相続登記・不動産登記 | 司法書士・法務局 |
| 相続トラブル・法律問題 | 弁護士 |
| 相続税・贈与税 | 税理士・税務署 |
| 空き家 | 市区町村などの相談窓口 |
| どこへ相談するか不明 | 自治体の相談窓口など |
売却・査定は不動産会社
「自宅はいくらくらいで売れるのか知りたい」
「使っていない土地を売却したい」
という場合は、不動産会社が主な相談先になります。
不動産会社では、
- 売却価格の査定
- 周辺相場の説明
- 販売活動
- 購入希望者との調整
- 売買契約の手続き
などを行います。
ただし、査定額は会社によって違うことがあります。
そのため、1社の査定額だけで判断せず、複数社へ相談して比較する方法もあります。
査定額を見るときは、
「金額が一番高い会社」ではなく、「なぜその査定額になるのか説明できる会社」
を選ぶことも大切です。
相続登記などの登記手続きは司法書士
親から相続した土地・建物の名義変更など、登記手続きについて相談したい場合は司法書士が主な専門家です。
たとえば、
- 親名義の土地を自分名義へ変更したい
- 相続登記の必要書類が分からない
- 遺産分割後の登記をしたい
- 抵当権抹消の登記を確認したい
といった相談です。
また、法務局でも相続登記制度や手続きに関する案内を確認できます。
相続登記については、自分で申請することもできますが、
「相続人が多い」
「昔の相続で戸籍が複雑」
「不動産が複数ある」
という場合は、司法書士へ相談すると進めやすいでしょう。
相続・家族間の法律問題は弁護士
相続人同士で意見が合わないなど、法律上の争いがある場合は弁護士が主な相談先です。
たとえば、
- 誰が自宅を相続するかでもめている
- 遺産分割協議がまとまらない
- 遺言書の内容をめぐって争いがある
- 相続人同士の連絡が難しい
- 不動産を勝手に処分された
といったケースです。
司法書士や税理士にも相続関連の相談はできますが、相続人同士の紛争や法的な交渉が必要な場合には弁護士へ相談すると覚えておくと分かりやすいでしょう。
トラブルが起きてから相談するだけでなく、
「将来もめそうなので、今のうちに準備したい」
という段階で相談する方法もあります。
相続税・贈与税は税理士や税務署
相続税や贈与税について確認したい場合は、税務署や税理士が相談先になります。
国税庁は、相続税の仕組み、申告方法、申告要否判定に関する情報を公開しており、相続税・贈与税の制度は毎年の税制改正などで変わる可能性があります。
たとえば、
- 自宅を子どもへ生前贈与したい
- 相続税がかかるか知りたい
- 不動産の評価方法が分からない
- 相続時精算課税を利用したい
- 土地を売却した場合の税金を知りたい
といった相談です。
税務署では一般的な制度や申告について確認できます。
一方、
「自分の財産状況でどの方法が適しているか詳しく検討したい」
という場合は、税理士へ相談する方法があります。
空き家問題は自治体の相談窓口も確認する
「親の家が空き家になっている」
「遠方なので管理できない」
といった場合は、不動産会社だけでなく、市区町村の空き家相談窓口も確認してみましょう。
自治体によっては、
- 空き家バンク
- 売却・活用相談
- 解体相談
- 管理相談
- 改修・解体などの補助制度
を設けている場合があります。
ただし、制度や補助金の条件は自治体ごとに異なります。
たとえば同じ県内でも、市町村によって利用できる制度が違うことがあります。
自宅や実家がある自治体の公式サイトで、
「○○市 空き家相談」
などと確認するとよいでしょう。
相談内容に合わせて専門家を選ぶ
不動産整理では、
「全部、不動産会社に相談すればいい」
というわけではありません。
相談内容によって専門分野が違います。
たとえば、
自宅を売りたい
→ 不動産会社
相続登記をしたい
→ 司法書士・法務局
兄弟でもめている
→ 弁護士
相続税が心配
→ 税理士・税務署
というように分けると分かりやすいでしょう。
また、一つの問題に複数の専門家が関係する場合もあります。
たとえば、
「父から相続した土地を売却したい」
場合は、
- 相続登記を確認する
- 必要なら司法書士へ相談する
- 不動産会社へ売却を相談する
- 売却による税金を税務署や税理士へ確認する
という流れになることもあります。
終活の不動産整理では、何に困っているのかを整理してから相談先を選ぶことが大切です。
「誰に相談すればいいか分からない」という場合は、自治体の無料相談や法務局などの公的な窓口から確認していく方法もあります。
終活の不動産整理についてよくある質問
終活で自宅や土地について考え始めると、
「自宅は売った方がいいの?」
「親名義の土地はどうすればいい?」
「子どもへ生前贈与した方が得なの?」
など、さまざまな疑問が出てきます。
ここでは、終活の不動産整理で特に多い疑問について分かりやすく確認していきましょう。
終活で自宅は売った方がいいですか?
終活を始めたからといって、必ず自宅を売却する必要はありません。
自宅をどうするかは、
- 本人が今後も住み続けたいか
- 建物を維持管理できるか
- 老後も生活しやすい場所か
- 家族が将来利用する予定があるか
- 売却後の住まいが確保できるか
などを考えて判断しましょう。
たとえば、病院やスーパーが近く、家族も近所に住んでいるのであれば、住み慣れた自宅に住み続ける方法もあります。
一方、
「一人暮らしには家が広すぎる」
「車を運転できなくなると生活が難しい」
という場合は、売却して便利な地域へ住み替えることも選択肢です。
「終活=自宅を売却すること」ではなく、将来も安心して暮らせる方法を考えることが大切です。
子どもが住まない実家はどうすればいいですか?
子どもが実家へ住む予定がない場合は、将来空き家になる可能性があります。
その場合は、
- 売却する
- 賃貸に出す
- 家族が別の用途で利用する
- 一定期間管理する
- 建物の状態によっては解体を検討する
などの方法があります。
たとえば、子ども全員が遠方に住み、誰も戻る予定がないのであれば、元気なうちに売却について調べておく方法があります。
一方、
「数年後には子どもが戻る可能性がある」
場合には、定期的に管理しながら保有する選択肢も考えられます。
重要なのは、誰も住まない家を何となく残し続けないことです。
固定資産税、修繕、草木の管理、防犯なども含めて、誰が管理するのか決めておきましょう。
土地の価値が分からない場合はどうすればいいですか?
土地の価値が分からない場合は、まず所在地や面積などの基本情報を確認しましょう。
そのうえで、
- 周辺の不動産取引価格
- 固定資産税評価額
- 不動産会社の査定
などを参考にします。
ここで注意したいのは、固定資産税評価額と実際の売却価格は同じではないことです。
たとえば、固定資産税関係の書類に1,000万円と記載されていても、「1,000万円で売却できる」という意味ではありません。
売却を考えている場合は、複数の不動産会社へ査定を依頼し、
- 査定額
- 査定の根拠
- 周辺の成約事例
- 売却できる可能性
などを比較するとよいでしょう。
親名義のままの土地はそのままでも大丈夫ですか?
相続した土地・建物について、親名義のままになっている場合は確認が必要です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。
原則として、不動産を相続によって取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
また、義務化より前に発生した相続で、相続登記をしていない不動産も対象です。
たとえば、
「15年前に父から土地を相続したが、登記名義は父のまま」
という場合も、そのまま放置しないようにしましょう。
昔の相続についても期限が関係する場合がありますので、登記事項証明書などで名義を確認し、必要に応じて法務局や司法書士へ相談してください。
相続登記について詳しく知りたい方は、**「相続登記のやり方完全ガイド|ケース別の必要書類と申請書の書き方を解説」**も参考にしてください。
住宅ローンが残っていても自宅を売却できますか?
住宅ローンが残っていても、自宅を売却できる場合があります。
ただし、一般的には売却時に住宅ローンを完済し、設定されている抵当権を抹消できるようにする必要があります。
たとえば、
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 自宅の売却価格 | 2,800万円 |
| 住宅ローン残高 | 2,000万円 |
であれば、売却代金からローンを完済できる可能性があります。
反対に、
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 自宅の売却価格 | 1,800万円 |
| 住宅ローン残高 | 2,200万円 |
の場合は、売却代金だけではローンを完済できません。
このような場合には自己資金など別の対応が必要になる可能性があります。
そのため、
- 現在のローン残高
- 自宅の査定価格
- 抵当権
- 売却にかかる費用
を確認し、金融機関や不動産会社へ相談してから進めましょう。
自宅を子どもに生前贈与した方がいいですか?
「元気なうちに子どもの名義にした方が安心」とは一概にはいえません。
自宅を生前贈与すると、
- 贈与税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 登記関係の費用
などが関係する可能性があります。
また、一度贈与すると、不動産の所有者は贈与を受けた子どもへ移ります。
そのため、
「相続より生前贈与の方が税金が安そうだから」
という理由だけで名義を変更しないことが大切です。
現在の財産額や家族構成、今後の居住予定なども含めて、生前贈与と相続のどちらが自分たちに合っているか検討しましょう。
税金について判断が難しい場合は、税務署や税理士へ相談すると安心です。
共有名義の土地は一人で売却できますか?
共有名義の土地全体を、共有者の一人だけの判断で自由に売却することは通常できません。
たとえば、
- 兄:持分2分の1
- 妹:持分2分の1
の土地全体を売却する場合には、兄だけで「土地全部を売ります」と決めることはできず、共有者との合意が必要になります。
一方、自分自身の共有持分については別の問題となります。
ただし、持分だけの売却は買い手が限られたり、その後の権利関係が複雑になったりする可能性があります。
終活では、
- 誰と共有しているか
- 自分の持分はいくらか
- 共有者は将来どうしたいか
- 売却・利用・相続をどう考えるか
を早めに話し合っておきましょう。
共有関係が複雑な場合は、司法書士や弁護士などへ相談する方法もあります。
不動産整理は何歳から始めるのがおすすめですか?
終活の不動産整理に「○歳から」という決まりはありません。
60代・70代からでも遅くありませんし、50代から始めても問題ありません。
年齢よりも、
「自分で書類を確認し、家族と話し合い、判断できるうちに始めること」
が大切です。
特に、
- 自宅以外にも土地がある
- 親名義の不動産が残っている
- 共有名義の土地がある
- 住宅ローンが残っている
- 子どもが実家へ戻る予定がない
- 将来住み替えを考えている
という場合は、早めに整理を始めるとよいでしょう。
まずは、自宅や土地を売ったり贈与したりする必要はありません。
所有している不動産を書き出すことから始めれば十分です。
終活の不動産整理は自宅・土地の現状確認から始めよう
終活で不動産を整理するときに、最初から「売る」「贈与する」と決める必要はありません。
まず、自分がどのような自宅・土地を所有しているのか確認し、登記名義、住宅ローン、共有状況、利用状況などを整理することから始めましょう。
そのうえで、本人の希望と家族の考えを確認しながら、残す・売る・貸す・活用するといった方法を比較していくことが大切です。
今日覚えておきたい重要ポイント3つ
この記事で特に覚えておきたいポイントは、次の3つです。
- ① まず所有している自宅・土地と登記名義を確認する
- ② 売却・相続・賃貸・生前贈与などを家族と相談して検討する
- ③ 相続登記・税金・法律問題など判断が難しい場合は専門家へ相談する
終活の不動産整理は、急いで処分することが目的ではありません。
本人と家族が後から困らない状態を作っておくことが大きな目的です。
自宅・土地の整理方法早見表
不動産を今後どうするか迷ったときは、次の表を参考にしてください。
| 整理方法 | 向いているケース | 主な確認ポイント |
|---|---|---|
| 住み続ける | 今後も自宅で暮らしたい | 修繕・生活環境・管理 |
| 家族に残す | 家族が利用する予定がある | 相続人・家族の希望 |
| 売却する | 将来利用する予定がない | 査定・税金・住み替え |
| 賃貸する | 賃貸需要が期待できる | 空室・修繕・管理 |
| 土地活用 | 立地など活用条件が合う | 初期費用・収益・管理 |
| 生前贈与 | 生前に所有者を移したい | 贈与税・登記・取得税 |
| 空き家として管理 | 将来利用する可能性がある | 管理する人・維持費 |
| 解体を検討 | 建物の老朽化が進んでいる | 解体費・税金・土地利用 |
一つの方法だけで判断せず、現在の暮らし・家族の希望・費用・税金・将来の管理を総合的に考えましょう。
終活の不動産整理チェックリスト
自宅や土地について、次の項目を順番に確認してみましょう。
□ 所有している土地・建物をすべて確認した
□ 不動産の所在地を確認した
□ 登記名義を確認した
□ 共有名義の不動産を確認した
□ 自分の持分を確認した
□ 固定資産税関係の書類を確認した
□ 住宅ローン残高を確認した
□ 抵当権の有無を確認した
□ 不動産関係書類の保管場所を整理した
□ 家族が自宅・土地の存在を把握している
□ 自宅を将来どうするか考えた
□ 子どもが実家を利用する予定を確認した
□ 空き家になる可能性を確認した
□ 誰が将来管理するか考えた
□ 親名義のままの土地がないか確認した
□ 必要な相続登記が済んでいるか確認した
□ 生前贈与を急いで行っていない
□ 不動産の相場や査定額を必要に応じて確認した
□ 相続税・贈与税など不明点を専門家へ確認した
□ 本人と家族の希望を話し合った
すべて一度に確認する必要はありません。
まずは、
「どこに、どのような不動産を持っているか」
を書き出すところから始めましょう。
次に読むおすすめ終活・相続関連記事
不動産整理とあわせて、終活全体の財産についても確認しておくと、より整理しやすくなります。
「終活で財産整理は何をする?預貯金・不動産・保険のまとめ方を解説」
預貯金・不動産・生命保険・株式など、終活で確認しておきたい財産全体の整理方法を解説しています。
また、親名義のままになっている土地・建物がある方は、次の記事も参考にしてください。
「相続登記のやり方完全ガイド|ケース別の必要書類と申請書の書き方を解説」
相続登記の期限、必要書類、申請方法などをケース別に詳しく解説しています。
終活の基本から確認したい方は、
「終活とは?何から始める?初心者向けにやることをわかりやすく解説」
もあわせて読むと、終活全体の流れを整理しやすくなります。
※まだ公開していない関連記事は、公開後に内部リンクを追加すれば大丈夫です。
本記事は、法務省・国税庁・国土交通省など公的機関の情報を参考に作成しています。相続登記や税制は変更される場合があるため、最新情報も確認してください。
参考元:
- 法務省「相続登記の義務化・不動産登記制度」
- 国税庁「相続税・贈与税・不動産の譲渡所得」
- 国土交通省「空き家対策・不動産取引」
- 法務局「相続登記・登記事項証明書」
まとめ
終活で不動産を整理するときは、まず自宅や土地の所在地、登記名義、共有状況、住宅ローンなどを確認することから始めましょう。そのうえで、住み続ける、家族に残す、売却する、賃貸・活用するなど、今後の方針を家族と話し合うことが大切です。空き家になる可能性がある自宅や、相続したままの土地も忘れずに確認しましょう。生前贈与や税金、相続登記など判断が難しい場合は、専門家や公的な相談窓口も活用し、自分と家族に合った方法を検討してください。




