擬餌ハリを使ったイイダコ釣りは伝統的な釣法で、最近はタコエギや小型スッテの使用で注目を集めています。この記事では、この方法の最新のテクニックについて解説します。
イイダコの特徴~釣り
イイダコは、北海道南部から南の沿岸に生息する小型タコは、冬から早春にかけての産卵期に「飯ダコ」と呼ばれます。これは、胴に飯粒のような卵を持つためで、地域によっては「子持ちダコ」「カイダコ」「イシダコ」とも呼ばれます。
産卵期のイイダコは、その卵の味わいから食材として特に人気があります。しかし、一般的な釣りシーズンは秋から初冬にかけてで、この時期には卵を持たないイイダコが多く釣れますが、産卵前のイイダコは身が柔らかく、好まれることもあります。
イイダコの釣りは、遊漁船を使ったテンヤ釣りも人気ですが、特に西日本では岸からの投げ釣りが主流です。近年では投げ釣りに適した擬餌ハリが豊富にあり、従来のテンヤ、スッテ、タコジグに加え、イイダコ専用のタコエギやルアーも市販されています。
擬餌ハリを使った投げ釣りの人気は、その簡単さにあります。必要なのは竿、リール、釣り糸、擬餌ハリだけで、すぐに釣りが始められます。砂浜や堤防が主な釣り場で、ファミリーフィッシングに最適です。
初心者でも十分楽しめ、熟練すればイイダコ特有の細かなアタリを楽しむこともできます。投げ釣りは、初心者からベテランまで魅了する釣法です。
イイダコが居着くところ
イイダコは移動性が高く、浅瀬をエサを求めて移動します。このため、岸からの投げ釣りでは、イイダコが接岸するのを待つスタイルが一般的です。
良い釣り場は、イイダコが好むエサが豊富な場所です。アサリ、ゴカイ、小型の甲殻類などを多く含む干潟のある砂浜や漁港が適しています。泥が混じった砂泥底は、エサ生物が豊富で特に良い釣り場とされます。特に干潟は多様な生物が生息する「生き物のゆりかご」とも称されます。
海底の地形や障害物の有無も釣果に影響します。平坦な海底ではイイダコの滞留が短いことが多いですが、起伏や沈み根がある場所ではイイダコが一時的に留まりやすく、釣りやすくなります。ただし、岩礁帯や沈み根が多いと根掛かりのリスクが高まります。イイダコ釣りは主に日中に行われますが、夜釣りも可能です。夜の場合、漁港などの常夜灯の下の干潟エリアが狙い目で、イイダコは暗くなると灯りの下で活発にエサを捕食します。
投げ釣りフィールド
【砂浜】
イイダコの投げ釣りで、もっとも代表的なポイントが砂浜です。きれいな砂地底よりも、干潟にあるような砂泥地底の砂地が特に有望。二枚貝を捕食するイイダコは、天然アサリが棲息するような干潟に、頻繁に回遊してきます。
【護岸】
石済みの護岸のみならず、消波ブロック、埠頭などのコンクリート護岸も好釣り場になります。足場の形態がどんなものであっても、沖が砂泥地底であれば問題ない。しかも、足元から水深があるので、遠投しなくても釣果が望めます。
【漁港】
堤防が起きに伸びる漁港は、足元から水深があるだけでなく、堤防に当たって潮がヨレやすいので、イイダコがよく回遊してきます。シーズン中盤以降は、イイダコが漁港の中まで入り込んでくることがあり、港内も有望なポイントになる。
【沖堤防】
イイダコは、沖から徐々に接岸してくるので、実勢ある岸釣りポイントの沖にある堤防は有望だ。沖にある分、早い時期から釣り始める。イイダコ狙いで沖堤防に渡る少ないので、岸釣りよりも釣果を期待できます。
イイダコ釣りの仕掛け
イイダコの投げ釣り専用の竿はないので、一般的な投げ竿やシーバス用ルアーロッド、エギングロッドを使用します。イイダコ用の擬餌バリのウエイトは、最大でも40gなので、オモリ負荷15号程度の投げ竿や、適合ルアーウエイト35g程度のシーバスロッドであれば対応できます。いずれの場合も、遠投に有利な3m(9~10フィート)前後のものを選びましょう。
擬餌バリを操作する釣りなので、竿は少しでも軽い方が望ましい。6号以下の軽い疑似バリを使用するのであれば、適合ルアーウエイト15g程度のシーバスロッドがお勧めです。さらに軽量な小型のタコエギやスッテを使用するなら、3号エギ対応のエギングロッドもいいです。軽量の擬餌バリでは広範囲を探ることができないが、高感度の竿先がイイダコの微細なアタリを伝えてくれるというメリットがあります。
リールは、中型のスピニングリールが標準。竿とのバランスが取れていれば、ルアー用でも投げ釣り用でも構いませんが、回転がスムーズなものの方が、微細なアタリを感知しやすい。
ミチイトは、ナイロンの3~4号を100m程巻いておきます。15号のテンビン仕掛けや60gクラスの遠投用タコジグなど、重めの仕掛けをキャストする場合は、チカライト(ミチイトと同等の号数4~12号・12m)を結節します。
最近は、ミチイトにPEを使用する人も多い。投げ竿やシーバスロッドの使用なら1.5号が標準です。強度は十分で、感度が高く、飛距離もナイロン仕様の時よりも2割増しくらいになります。ただし、PEを使用する場合は、4号程度のフロロンカーボンリーダーを1m程接続しておくといいです。こうすることで、ミチイトにイトが絡むなどのトラブルが少なくなります。
また、エギングロッドで3号クラスの軽量疑似バリやタコエギを使用する場合は、0.8号程度の極細PEを使用するのも手です。さらに感度がアップして、あたりが伝わりやすくなる。この場合も、リーダーに3号のフロロンカーボンラインを接続しておく。
疑似バリの接続は、リーダーやナイロンのミチイトに直接結ぶのもいいですが、スナップサルカンをミチイトの先に結んでおくと、疑似バリの交換がスムーズになります。
擬餌バリ種類、使い分け
イイダコ用の擬餌バリは種類が豊富で、最終的には好みに応じて使いやすいものを選ぶことが重要です。ウエイトは重要な要素で、遠投や潮流が速いエリアでは30g以上の重い擬餌バリが適していますが、潮流の弱い漁港内などでは軽量なタコエギやプラスッテが良いです。
カラーはピンク、ホワイト、イエローが効果的で、水色に合わせて目立つ色を選ぶと良いです。根掛かりのリスクが少ないにも関わらず、ウエイトやカラーが異なる擬餌バリを複数用意し、ハリ先が鈍った場合は研いで鋭くするか新しいものに交換することも必要です。
「テンヤ」
一般的に「イイダコテンヤ」とよばれるのがこれです。マダコ用ものと形状は同じですが、小型でオモリは10号前後、全重量は40g程度。外付けのオモリから沈むので、ハリ先は常にうえに向いており、根が掛かりはほとんどなく釣りやすい。
「布巻きスッテ」
これは釣具店のオリジナルで、全長8cm前後でツツイカ用の布巻きスッテを、ナイロンラインで10~15号のオモリに接続したものです。オモリは使用竿に応じて交換可能。スッテは沈むものでもいいですが、浮くタイプの方が根が掛かりは少ない。
「タコエギ」
もともとはマダイ用のものですが、2.5~3号のサイズはイイダコにも適用できます。タコエギは大きなハリが上向きにセットされているので、根が掛かりが少なく、イイダコの乗りもよい。遠投仕様に中通しオモリを通すのもいいです。
「タコジグ」
左は船釣り用のイイダコジグ(40g)。下向きのハリ数本ペンチで切り、半傘にすればズル引きしやすくなります。右はライトタイプのキャスティング用。ウエイトが10g(約3号)なので、エギングロッドに対応する。
「プラスッテ」
オモリは舟形、もしくはナス型の3~6号を使い、スナップと一緒にセットします。仕掛けそのものは軽いので、イイダコの小さなアタリもわかりやすい。
「ルアー」
形状は、ブラックバス用のスピナーベイトと同じ形状をした、タコ釣り用のルアー。ズル引きすると垂直立ちして金属ブレードが回転します。ウエイトは、20gと35gあります。マダコ用ですが、イイダコ釣りにも使えます。
※イイダコは、一般的には疑似エサがメインですが、カレイやハゼなど狙っていてゴカイなどのエサにし食いついてくることもあります。
イイダコが釣れるポイント
イイダコ釣りのポイント選びで最も重要なのは底質です。「砂泥地底」がイイダコのエサである二枚貝やゴカイ類に適しており、潮通しや水深よりも優先されるべきです。過去に釣果があった場所を初めに試すと良いでしょう。
また、潮流の速さに合わせた釣りのタイミングが重要で、特に潮が適度に動く時間帯が最適です。潮流が速い時は潮止まりを、潮流が遅い時は潮が動く時間帯を狙います。さらに、潮の動きに合わせて潮通しの良いポイントか悪いポイントを選ぶことが釣果に影響します。水深が深い場所、特に沈み根や海底の起伏がある場所はイイダコの滞留率が高いです。堤防も水深があるため釣果が期待できますが、浅場での釣りは一時的な回遊であるため、あまり執着する必要はありません。
「底質」
砂泥地底にはアサリなどの二枚貝やイシゴカイなどが生息しやすく、エサを求めるイイダコがよく回遊してきます。春~夏には潮干狩り場になるエリアなどは要チェック。ただし、河口域の干潟は塩分濃度が低いため、イイダコは好みません。
「水深」
イイダコは水深1mの浅場でもヒットしますが、深場から回遊してくるので、ある程度の水深があった方が安定して釣れます。堤防などが沖に突き出ているところは、遠投性能に劣るライトタックルでも攻略しやすいです。
「海底の地形変化」
特に砂泥地底では、変化があるところすべてが好ポイントになります。具体的には、砂浜のカケアガリやサンドバー(砂州)のほか、人工的に深く掘られている漁港内やミオ筋が狙い目となります。
「潮の流れの変化」
潮の流れが変化するところはエサ生物が集まりやすく、イイダコのエサ場となりやすい。潮目が出るところや反転流が起きるところは目視できるので、ポイント選びの判断材料になります。
「障害物の有無」
イイダコは、マダコ同様に暗がりの穴ぐらを好みます。砂泥地底の海底でも、沈み根が点在するところは歩留まりがいいです。また、漁港内の桟橋など、影を作り出すところも見逃せません。エサ場に動き出す前は、こうしたところに居着いていることが多いです。
「時間帯と天候」
潮がほどよく動く時間帯なら、上げ潮下げ潮関係なく、日中でもよく釣れます。ただ、イイダコは元来夜行性なので、特に早朝や夕方がねらい目となります。天候は食いに影響しませんが、風雨による泥濁りが強くなると、途端にアタリが遠くなります。
イイダコ釣りのコツとアワセのタイミング
イイダコに擬餌バリを気づかせる方法
イイダコは視覚を使ってエサを捕食するため、海底でゆっくり動かされる疑似バリに反応します。リトリーブの目的はイイダコに疑似バリをアピールすることで、ロングキャストし着底地点から足元まで丁寧に引くことが重要です。これにより、多くのイイダコの視界に入りヒット率が高まります。基本的な釣り方は「引き釣り」で、海底で疑似バリを引きずります。リトリーブはエサが這っているようなイメージで行い、方法は超スローで引き続ける「ズル引き」と時々止める「ゴー&ストップ」の二つです。
ズル引きは海底の起伏が分かりやすく、リーリングに慣れた人に適しています。ゴー&ストップはロッドを使ったアクションに慣れたルアー釣り愛好者向けで、短い間を置くことで食い渋るイイダコも釣ることが可能です。タコエギや小型スッテなどの軽量疑似バリなら、竿先を大きくあおってジャンプ察せることも可能。強くアピールさせるには効果的なアクションです。ジャンプの直後に少し間を取るとアタリが出やすいです。
アタリの取り方
イイダコが擬餌バリに興味を示すと、上から覆いかぶさるように接近し、アタリは伝わりにくいことが多いです。擬餌バリを引き続ける際、引き抵抗が微妙に増したことを感じることがアタリの基本です。しかし、ゴー&ストップのように一時停止すると釣り糸がたるんでアタリを感じにくくなるので、その後のリトリーブで重みが感じられたらイイダコが抱きついていると考えます。
ライトなタックルや小型の擬餌バリを使用すると、イイダコが抱きついた瞬間のアタリを感じやすくなります。小型の擬餌バリはイイダコが抱きつくと揺れ、手元に「コンッ」「グンッ」といった瞬間的なアタリが伝わりやすくなります。
微細なアタリを取りやすくするには、違和感を感じたときにリトリーブを止めて、竿先が少し曲がる程度にラインを軽く張っておく方法が有効です。グイグイッと竿先が引かれるようなアタリが出ます。
アワセのタイミングと堤防まわりの攻略法
即アワセが基本
イイダコが擬餌バリを偽物と感じるとすぐに離れてしまうため、アタリを感じたら即座にアワセを行う必要があります。
アワセは、釣り糸のたるみを取り、ロッドを大きく力強く振ることで、均一な力でハリ掛かりをさせることが重要です。
フッキングすると重量感が手元に伝わり、イイダコを海底から引き離すためにさらに竿を後方に振ります。
巻き取りは一定速度でリーリングし、水面で跳ねないように浮かせながら行うことが望ましいです。
取り込み時は、ミチイトのテンションを保ちつつ、一気に引き抜きます。砂浜での取り込みは波に乗せて行うと良いです。取り込んだ後は、イイダコの胴の根元を掴んでハリを外し、クチバシに触れないように注意する必要があります。釣ったイイダコは、ネット付きのバケツに海水と一緒に入れておくと安全です。これにより脱走の心配がなく、釣りに集中できます。
堤防まわりの攻略法
漁港の堤防はイイダコ釣りに適しており、砂浜より水温の変化が少なくシーズン終盤まで狙えます。防波堤の外側だけでなく、港内や出入り口も良いポイントです。
潮の動きが複雑で海底に起伏があるため、イイダコが滞留しやすいが、警戒心も強いため丁寧に探ることが必要です。ライトタックルと軽量の擬餌バリを使うと効果的です。
堤防先端やコーナー付近は水深があり、イイダコが足元に集まりやすいので、20m以内の短距離で扇状に探ります。探る範囲が狭いため、ズル引きやゴー&ストップで緻密にチェックします。潮が動かない港内や障害物や影のある場所も狙い目で、テクトロが有効ですが、海底に擬餌バリを這わせることが重要です。夜釣りも効果的で、漁港の常夜灯下は特に良いポイントです。
捌き方と調理法
捌き方
料理
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まとめ
イイダコ釣りを紹介しました。イイダコは北海道南部から九州南部まで広く分布し、特に秋から冬にかけて釣り期に入ります。イイダコ釣りは、イイダコ特有の微細なアタリを感じ取って数を伸ばす楽しみを味わうことができますので初心者からベテランまで夢中になれます。
参考・参考元、参考文献:日本の魚釣り、さかな釣り検索