チヌは季節により、釣り場は大きく変わります。春は「乗っ込み」と呼ばれ、産卵のために浅場に入り、そのまま夏~秋を沿岸部で過ごし、「落ち」と呼ばれる晩秋~冬に水温の安定した深場へと移動します。近年、温暖化の影響により冬でも浅場に大型のチヌが残ることもあります。
今回、フィールドごとでチヌを攻略する方法を紹介します。
棲息地、釣り期
棲息地は、水深50m以浅の沿岸域に棲息するため、タイ科の魚には珍しく、陸の磯や堤防から狙う釣り方が多いです。
釣り期は、ほぼ周年釣れベストシーズンは3~5月と10月~11月。堤防の落とし込みでは真夏が最盛期となります。
クロダイの適水温は13~23℃とされており、南北に長い日本列島では乗っ込み時期に半年のずれがあるといわれています。たとえば、太平洋側の釣り場なら暖流に面した西日本から乗っ込みシーズンが開幕し、徐々に釣れるエリアが北上していきます。なかでも、沖に開けたエリアほど釣れ初めが早いです。
時合い
多くの魚は、上げ潮や下げ潮によって潮が流れているときほど活性が高いです。クロダイは下げ潮時に食いが立つ傾向が強いといわれますので、下げ潮時を集中して狙いたい。そして、このタイミングと朝夕のまずめが重なる「大潮後の中潮」が理想です。
まずめ
精選版 日本国語大辞典「まずめ」の解説
まずめ
〘名〙 日の出、日没寸前の薄明るい状態。多く、釣りでいう。まずみ。「朝まずめ」「夕まずめ」
[補注]太陽が水平線に近づき「間を詰める」から「まづ(ず)め」とする説がある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報デジタル大辞泉「まずめ」の解説
まずめ
日の出・日の入りの前後。釣りにもっともよい時間。「朝まずめ」「夕まずめ」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例出典: kotobank.jp
潮の動きはこちらをご覧ください。
理想的な海底
沈み根がある時、回遊してきたクロダイは、必ず流れが当たる側「潮表」に定位します。海藻が2~3本生えているだけの小さな根でもクロダイの立派な着き場になります。
ポイントに入ってきたクロダイは、根や海藻の塊、カケアガリなどで、必ず「潮表」に定位して流れてくるエサを待っています。
もっとも理想的な釣り座は、沖に向かって続くU字型の溝がある場所の正面です。左右どちらからでも流れる潮でも、両サイドのカケアガリが「潮表」になて一日中釣れることができます。
※メジナは岸から沖に向かって流れる潮が釣りやすいですが、潮表を釣るクロダイでは水深の浅い側に向かって流れる潮の方が釣果は上がります。
クロダイは浮いて食べることもある
一般的な堤防や小磯のような水深15m以内のポイントでは90パーセントが底タナ狙いで間違いないです。
底の潮が冷たい場合や急激なカケアガリ周辺では、メジナよりも上の中層で食べることもあります。また、瀬戸内海などの海藻が多いエリアでは、海藻の上っ面に定位しているクロダイが、潮が流れだすとそのままのタナで食べることも珍しくないです。沖磯や沖堤防でも底釣りが基本ですが、食旺盛な3~6月には中層に浮いていることもあります。
クロダイの釣り方についてこちらも参考にしてみて下さい
ポイントごとの攻略方法
『砂地の浅場』
フラットな砂底では、小さな粒根など魚が留まる場所を重点的に狙います。変化のないフラットな所ではクロダイの警戒心が強いので、ハリスは90~150cm程大きく海底に這わせた方がアタリが出やすいです。時には、着く場にコマセを打ったあとから仕掛けを流し込む釣り方が効果的なこともあります。
内湾の小堤防のポイント
- 水深が5m以内
- 砂地の浅場に転々と小さな粒根
- 海藻が生えている
一見すると釣れないように思えますが、コマセをしっかり利かせて攻めれば結果が出るポイントです。さらに、濁りがあれば、水深1~2mの浅場でもポイントになります。
コマセの撒き方は、ウキにかぶせるように撒くのが基本です。ハリを這わせているときはコマセを打った潮上側に仕掛けを投入し、仕掛けがしっかりなじんでからコマセが溜まるポイントに流し込むようにしたらアタリが出やすい。
【取り込みについて】
ハリ掛かりしたクロダイを暴れさせると場荒れするので、魚を走らせたい方向とは逆の方にサオを倒しポイントから離すことが大切。
『水深があるカケアガリ』
急深のカケアガリでは、春~夏は手前の浅場、秋はカケアガリの肩~斜面全域、冬は最深部と1年を通じてクロダイを狙えます。特に、カケアガリ斜面は、可能性があるタナをすべてチェックしましょう。また、クロダイの活性が高い時はイラストのAの中層も要チェックです。
【季節によりポイントを変える】
手前が浅く、最深部が15m以上あるような急深のカケアガリは、厳寒期に越冬するクロダイも狙える最高のポイントです。ただ、水深の変化が激しいだけに、狙いどころが絞りにくいというマイナス面もあります。
魚の移動が激しくなる春から初夏の乗っ込み、秋から初冬にあたる落ちの時期は注意が必要です。乗っ込み時は、低水温に強い大型から先に浅場に入り、落ちの時期には大型から先に深場に入ります。今一つサイズが伸びない時は、狙う水深を変えてみると大型がヒットする確率が高くなります。
厳寒期に入ると、アタリが非常に小さくなることは珍しくありません。そのような時は仕掛けの飛距離と安定性からウキのボディを大きめに交換し、トップの目盛りは小さいものに交換しておくとアタリが取りやすいです。遠矢ウキなら「超遠投ー小」の大型ボディに目盛りの細かな「チヌ SP400」のトップの組み合わせがいいようです。ご入用でしたら遠矢ウキの公式サイトでお尋ねください。
【カケアガリ=壁】
沖磯ではカケアガリというより壁のような急深の地形があります。このような地形ではメジナ釣りには不向きですが、クロダイ釣りにはベストポジションです。
カケアガリのポイントでは、コマセをやや沖寄りに打ち、斜面に沿ってコマセを効かせ、仕掛けをサオ下に入れ、ハリスを斜面に沿って這わせるのがセオリーです。
潮の流れが速い場所では高活性のクロダイがコマセを追っているせいか、水深が深い地点の上ダナでエサを食ってくることもあります。
『海底の根が荒い場所での攻略方法』
海底の根が荒い場所では、水深とともに根の高さを計って、ウキ下を海底の根頭に合わせるのがセオリー。海底の落差が激しいほど、タナの浮き沈みが激しいので細かく探ってみることが大切です。また、潮の流れが速い場所で極端に大きな高根があれば、その頂点のラインが狙いダナになることもあります。
コマセでポイントを作ってアタリを出していくウキフカセの場合、比重の重いコマセをフルに活用できる釣り方のほうが、釣りやすく数も伸びます。
中層が狙いダナになる場合、標準のコマセでは撒き方を変えないとコマセが早く沈み過ぎて効力が弱まる可能性があります。上級者でしたらヒシャクでコマセをまとめる力加減を変えて、投入するときにひしゃくを捻って水面である程度砕けるようにコントロールができますが、初級~中級者のかたには難しいと思います。
初級~中級者のかたに知っておいてほしいのが、比較的比重が軽く、粘りを弱めてくれる「オカラダンゴ」をブレンドする方法です。
中層にコマセを効かせるパターンでは、水面で砕けた粒がパチンコ玉くらいになって流れていくのが目安。サオ2本分(11m)よりも食うタナが高ければ、標準のコマセにオカラダンゴを1袋加えてコマセの比重を変えてやりましょう。
※釣り場でのチェックですが、最初にタナ取りオモリのゴム管にハリ先を隠して、釣り座周辺の水深の変化や根の形状がどうなっているか細かくチェックします。また、潮の流れる向きや角度もつかむことができます。
『深場の2枚潮の攻略方法』
2枚潮の時、Aの位置にコマセと仕掛けを投入すると、仕掛けは表層の流れによって、たちまちラインから外れてしまいます。そこでコマセはAに、仕掛けはBに振り込み、Cの位置でコマセと付けエサを同調させるテクニックが必要になります。
2枚潮は水深5m以上の場所で、風によって表層の流れが発生したときや、水温や塩分濃度が違う流れがぶつかりあうことで発生する現象です。
2枚潮の動画です。
捌き方・料理
【捌き方】
【料理】
引用・参考元:さかな・釣り検索、日本の魚釣り、さかな大図鑑、チヌ必釣法
まとめ
フィールドごとにチヌを攻略、を紹介しました。チヌ(クロダイ)は非常に警戒心の強い魚という事は釣り人であれば、耳にしたことがあると思います。この警戒心の強い魚をどのように誘って、どのような仕掛けで釣るか、毎回悩まされるかと思います。このサイトで攻略法を書いていますが、行かれる釣り場に応用できると思いますので参考にしてみて下さい。