猫の尿石症とはどんな病気?頻尿・血尿・排尿時の痛みなどの症状から、原因、尿石の種類、検査・治療法、食事や水分管理、再発予防、すぐに受診すべき危険な症状までわかりやすく解説します。
「何度もトイレに行く」「少ししか尿が出ない」「尿に血が混じっている」――愛猫にこのような変化がみられたら、尿石症などの尿路トラブルが隠れているかもしれません。猫の尿石症は、尿の中に結晶や結石ができる病気で、膀胱炎を伴ったり、尿道が詰まったりすることもあります。特に尿が出ない状態は緊急性が高いため注意が必要です。この記事では、猫の尿石症でみられる症状や原因、尿石の種類、検査・治療法、食事と水分管理、再発予防まで、飼い主さんに知っておいてほしいポイントをわかりやすく解説します。

猫の尿石症とはどんな病気?
猫の尿石症とは、尿の中に含まれるミネラル成分などが結晶化し、尿路に結石(尿石)ができる病気です。結石ができる場所や大きさによって症状は異なり、膀胱や尿道だけでなく、腎臓や尿管にできる場合もあります。
特に膀胱や尿道に問題が起こると、頻尿、血尿、排尿時の痛みなどがみられることがあります。また、尿道が結石や栓子などで塞がり尿が出なくなる尿道閉塞は緊急性の高い状態です。
まずは、尿石症と猫の下部尿路疾患(FLUTD)との関係を整理しておきましょう。日本獣医腎泌尿器学会誌でも、FLUTDの原因として結石性疾患などが挙げられています。
猫の尿石症の基本早見表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 尿石症 | 尿路に結晶や結石が生じる病気 |
| 主な発生場所 | 腎臓・尿管・膀胱・尿道 |
| 主な症状 | 頻尿・血尿・排尿困難・排尿時の痛みなど |
| 下部尿路 | 主に膀胱・尿道 |
| FLUTD | 猫の下部尿路に起こる病気・症状の総称 |
| 特に注意する状態 | 尿道が閉塞して尿が出ない状態 |
尿の中に結晶や結石ができる病気
尿には、体内から排出されるさまざまな成分が含まれています。
これらの成分が一定の条件で結晶化し、さらに集まって大きくなると**尿石(結石)**を形成することがあります。
猫で代表的な尿石には、
- ストルバイト
- シュウ酸カルシウム
などがあります。
ただし、「尿に結晶がある=必ず大きな結石がある」わけではありません。 結晶尿と実際の尿石は区別して考える必要があります。
また、尿石の種類によって適切な治療や食事管理が異なるため、自己判断で療法食などを選ぶのではなく、尿検査や画像検査などによって状態を確認することが重要です。
結石ができる場所によって症状が異なる
「猫の尿石症」というと膀胱結石を思い浮かべるかもしれませんが、結石は尿が作られて排出されるまでのさまざまな場所にできる可能性があります。
腎臓 → 尿管 → 膀胱 → 尿道
という尿の通り道のどこにできるかによって、症状や緊急性も変わります。
| 結石ができる場所 | 起こる可能性がある問題 |
|---|---|
| 腎臓 | 腎結石、腎機能への影響など |
| 尿管 | 尿の流れが妨げられる、尿管閉塞など |
| 膀胱 | 血尿・頻尿・排尿時の痛みなど |
| 尿道 | 排尿困難・尿道閉塞など |
特に尿管結石では、目立った排尿症状が出ない場合もあります。麻布大学附属動物病院の症例を検討した国内研究でも、猫の尿管結石では非特異的な症状や無症候性の血尿などが報告されており、複数の画像検査を組み合わせることの重要性が示されています。
猫の下部尿路疾患(FLUTD)との関係
**FLUTD(Feline Lower Urinary Tract Disease:猫下部尿路疾患)**は、一つの特定の病気の名前ではありません。
膀胱や尿道といった下部尿路に起こるさまざまな病気や症状をまとめた呼び方です。
たとえば、
- 尿石症
- 猫特発性膀胱炎(FIC)
- 尿道閉塞
- 細菌性尿路感染症
- 腫瘍
- 解剖学的異常
などが下部尿路症状の原因となる可能性があります。日本獣医腎泌尿器学会誌でも、FLUTDでは原因を鑑別し、尿道閉塞がある場合には閉塞解除を優先する診療の流れが示されています。
そのため、
「血尿があるから尿石症」
「何度もトイレへ行くから膀胱炎」
と症状だけで決めつけることはできません。
似た症状でも原因が異なるため、動物病院で原因を調べることが大切です。
膀胱炎を併発することもある
尿石が膀胱内にあると、膀胱の粘膜が刺激され、血尿や頻尿、排尿時の痛みなどの下部尿路症状がみられることがあります。
一方で、猫の膀胱炎には**尿石が原因ではない特発性膀胱炎(FIC)**もあります。
国内の獣医学資料でも、猫特発性膀胱炎では、
- 血尿
- 頻尿
- 排尿困難
- 排尿時の痛み
- トイレ以外での排尿
などが代表的な症状として示されています。
つまり、尿石症と膀胱炎は症状がよく似ています。
尿石症=膀胱炎ではありませんが、両者が関係している場合もあるため、尿検査や画像検査などで原因を調べる必要があります。
なお、膀胱炎については後半の**H2-10「猫の尿石症と膀胱炎の違い・関係」**で詳しく説明するため、ここでは内部リンクを入れず、H2-10から既存の膀胱炎記事へリンクすれば十分です。
オス猫は尿道閉塞に特に注意が必要
尿石症や下部尿路疾患で特に注意したいのが、尿道閉塞です。
オス猫は尿道が細く長いという体の構造上、結石や尿道栓子などによって尿道が詰まり、尿が出なくなることがあります。
たとえば、
- 何度もトイレへ行く
- 排尿姿勢を取るのに尿が出ない
- 少量しか尿が出ない
- 排尿時に鳴く
- 陰部を頻繁になめる
- 落ち着きがなくなる
といった様子がみられたら注意してください。
日本獣医腎泌尿器学会誌でも、FLUTDで尿道閉塞がある場合は閉塞の解除を優先する診療方針が示されています。さらに2026年の国内報告でも、猫の尿道閉塞に対するカテーテルによる閉塞解除が検討されています。
何度も排尿姿勢を取っているのに尿が出ていない場合は、翌日まで様子を見ず、すぐに動物病院へ連絡してください。
猫の尿石症でみられる初期症状
猫の尿石症では、最初からぐったりするような症状が出るとは限りません。
むしろ初期には、
「最近トイレに行く回数が増えた」
「猫砂の尿の塊が小さくなった」
など、日常生活のちょっとした変化として現れる場合があります。
特に猫は体調不良を外から判断しにくいこともあるため、毎日のトイレ掃除は排尿状態を確認する健康チェックの機会にもなります。
尿石症で注意したい初期症状
| 症状 | 飼い主さんが気づきやすい変化 |
|---|---|
| 頻尿 | トイレへ行く回数が増える |
| 尿量低下 | 猫砂の尿の塊が小さくなる |
| 排尿痛 | 排尿中に鳴く・落ち着かない |
| 不適切な排尿 | トイレ以外で尿をする |
| 陰部をなめる | 以前より頻繁になめる |
| 血尿 | 尿が赤・ピンク色に見える |
| 軽度の症状 | 普段通りに見える場合もある |
何度もトイレに行く
尿石によって膀胱や尿道が刺激されると、**何度もトイレへ行く「頻尿」**がみられることがあります。
たとえば、普段は1日に数回だった猫が、
「トイレから出た直後に、またトイレへ戻る」
といった行動を繰り返す場合です。
猫砂を掃除するときは回数だけでなく、実際に尿が出ているかも確認しましょう。
何度もトイレへ行っているのに尿がほとんど確認できない場合は、尿道閉塞の可能性もあるため注意が必要です。
1回に出る尿の量が少なくなる
トイレの回数が増える一方で、1回あたりの尿量が少なくなることがあります。
固まる猫砂を使っている場合、
いつも:大きな尿の塊
↓
最近:小さな尿の塊が何個もある
という変化として気づくことがあります。
ただし、「少量の尿が何度も出ている」のか「ほとんど尿が出ていない」のかは大きな違いがあります。
尿がまったく出ない、または極端に少ない状態では緊急性が高くなるため、早急に受診してください。
排尿するときに痛そうにする・鳴く
尿石や炎症によって膀胱・尿道が刺激されると、排尿時に痛みや不快感を示すことがあります。
具体的には、
- トイレで鳴く
- 長時間排尿姿勢を取る
- 何度もいきむ
- 排尿中に落ち着かない
- トイレへ入ったり出たりする
といった行動です。
国内の獣医学資料でも、疼痛性排尿困難は猫の下部尿路疾患でみられる代表的な症状として挙げられています。
普段静かに排尿していた猫が突然鳴くようになった場合は、見逃さないようにしましょう。
トイレ以外の場所で排尿する
これまできちんとトイレを使っていた猫が、突然、
- 布団
- ソファ
- カーペット
- 洗面所
- 浴室
などで排尿することがあります。
飼い主さんからすると「粗相をした」「トイレを嫌がっている」と思うかもしれません。
しかし、下部尿路疾患ではトイレ以外の場所で排尿すること自体が症状として現れる場合があります。
急に粗相が始まった場合は叱るのではなく、尿の量や色、排尿回数なども確認しましょう。
陰部を頻繁になめる
尿道や膀胱に違和感がある猫では、陰部周辺を気にして頻繁になめることがあります。
もちろん猫は普段から毛づくろいをするため、少しなめただけで尿石症とは判断できません。
注意したいのは、
「以前より明らかに回数が増えた」
という変化です。
頻尿、血尿、排尿時の痛みなども同時にみられる場合は、尿路の異常を疑って動物病院へ相談しましょう。
尿に血が混じることがある
尿石や膀胱の炎症などによって、血尿がみられることがあります。
猫砂やペットシーツに、
- ピンク色
- 赤色
- 赤茶色
などの尿が付着している場合は注意してください。
ただし、血尿は尿石症だけで起こる症状ではありません。猫特発性膀胱炎など、ほかの下部尿路疾患でもみられます。
そのため、血尿を見つけたら「尿石症だ」と自己判断するのではなく、動物病院で原因を調べてもらうことが重要です。
初期は症状に気づきにくいこともある
尿石症は、結石のできた場所や大きさなどによって、症状の現れ方が異なります。
特に上部尿路の結石では、分かりやすい排尿症状が出ない場合があります。国内の猫の尿管結石症例を調べた研究でも、非特異的な症状や無症候性の血尿などが報告されています。
家庭で早期発見につなげるには、
- トイレへ行く回数
- 1回の尿量
- 尿の色
- 排尿時の様子
- 猫砂の尿の塊の大きさ
- 食欲・元気
- 飲水量
などを日頃から観察しておくことが大切です。
特に**「いつもと違う」ことが重要なサイン**です。トイレ掃除のときに尿の量や色を確認する習慣をつけておくと、小さな変化にも気づきやすくなります。
重要ポイント
- 尿石症は尿路に結晶や結石が生じる病気
- ストルバイトやシュウ酸カルシウムなど複数の尿石がある
- 腎臓・尿管・膀胱・尿道など、できる場所によって症状が異なる
- 頻尿・血尿・排尿痛・少量排尿などは重要なサイン
- 急な粗相も下部尿路疾患の症状である可能性がある
- 症状だけで尿石症と膀胱炎などを区別することは難しい
- 何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない場合は緊急性が高い
猫の尿石症が悪化するとみられる症状
猫の尿石症が進行すると、初期にみられた頻尿や少量排尿だけでなく、血尿や強い排尿痛、食欲低下、嘔吐、元気消失などがみられることがあります。
特に注意しなければならないのが、結石や尿道栓子などによって尿道が塞がる尿道閉塞です。尿が排出できなくなると体内の状態が急速に悪化する可能性があるため、緊急の対応が必要です。
「何度もトイレへ行っているから尿は出ているだろう」と考えず、実際にどのくらい尿が出ているかまで確認することが大切です。
尿石症が悪化したときの症状早見表
| 症状 | 飼い主さんが気づきやすい変化 | 緊急性 |
|---|---|---|
| 血尿 | 尿がピンク・赤色になる | 早めに相談 |
| 排尿痛 | 排尿時に鳴く・強くいきむ | 早めに相談 |
| 尿量低下 | 猫砂の尿の塊が小さい | 注意 |
| 食欲・元気低下 | 食べない・動かない | 早めに相談 |
| 嘔吐・ぐったり | 吐く・反応が弱い | 早急に受診 |
| 尿が出ない | 排尿姿勢でも尿が確認できない | 緊急受診 |
血尿や排尿時の痛みが強くなる
尿石によって膀胱や尿道の粘膜が刺激されると、血尿や排尿時の痛みがみられることがあります。
たとえば、
- 猫砂に赤やピンク色の尿が付く
- ペットシーツに血が混じった尿が残る
- 排尿するときに鳴く
- トイレの中で長時間いきむ
- 排尿後も落ち着かない
といった変化です。
ただし、血尿や排尿痛は尿石症だけに特有の症状ではありません。猫特発性膀胱炎などでも似た症状がみられます。
日本獣医腎泌尿器学会誌でも、猫下部尿路疾患(FLUTD)の代表的な症状として血尿、頻尿、排尿困難などが示されています。
症状だけで原因を決めつけず、尿検査や画像検査などで確認してもらいましょう。
尿が少量しか出なくなる
尿石症が進行すると、トイレへ行く回数は増えているのに、1回あたりの尿量が少ない状態になることがあります。
固まる猫砂なら、
以前:ある程度大きな尿の塊ができていた
現在:小さな塊が何個もできる
といった変化が目安になります。
ただし、「少量ずつ出ている状態」と「ほとんど出ていない状態」は区別が必要です。
何度も排尿姿勢を取っているのに猫砂がほとんど濡れていない場合は、尿道閉塞なども考えられます。
食欲や元気がなくなる
尿路の痛みや不快感が強くなると、食欲や元気が低下することがあります。
たとえば、
- 好きなフードを残す
- おやつにも反応しない
- 遊ばなくなった
- 隠れたまま出てこない
- いつもより長時間寝ている
といった変化です。
「トイレの異常」と「食欲・元気の低下」が同時にみられる場合は、単なる好き嫌いや一時的な体調変化と考えず、早めに動物病院へ相談しましょう。
嘔吐やぐったりすることがある
尿道閉塞などによって尿を正常に排出できなくなると、状態が悪化して嘔吐や著しい元気消失などの全身症状が現れることがあります。
注意したいのは、
- 何度も吐く
- 食事を取らない
- 水を飲まない
- ぐったりしている
- 呼びかけへの反応が弱い
- トイレへ行くのに尿が出ていない
といった状態です。
ここまで症状が出ている場合は、自宅で水を飲ませるなどの方法だけで対応しようとせず、速やかに動物病院へ連絡してください。
尿道が詰まると尿が出なくなる
尿石症で最も注意したい状態の一つが尿道閉塞です。
結石そのものだけでなく、結晶、粘液、炎症によって生じた物質などが関係して尿道が塞がることがあります。
特にオス猫は尿道が細く長いため、閉塞に注意が必要です。
次のような行動がみられたら要注意です。
- 何度もトイレへ行く
- 排尿姿勢を長く続ける
- 強くいきむ
- 痛そうに鳴く
- 陰部を繰り返しなめる
- 尿がほとんど、またはまったく出ない
尿が出ない状態は「そのうち出るだろう」と様子を見る症状ではありません。
尿が出ない状態は命に関わることがある
尿道が完全に閉塞すると、尿を体外へ排出できなくなります。
その結果、腎機能への影響や電解質異常などが起こり、高カリウム血症など生命に関わる状態へ進行する可能性があります。
そのため、
「何度もトイレへ行く+尿が出ていない」
という状態を確認した場合は、すぐに動物病院へ連絡してください。
特に、
尿が出ない+嘔吐+ぐったり
という組み合わせは緊急性が高いと考えましょう。
緊急時の対応
- 尿が出るまで自宅で様子を見ない
- お腹や膀胱を強く押さない
- 自己判断で薬を与えない
- 無理に大量の水を飲ませない
- 速やかに動物病院へ連絡する
猫の尿石症にはどんな種類がある?
猫の尿石はすべて同じ成分でできているわけではありません。
代表的なのが、ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)とシュウ酸カルシウムです。このほかにも、尿酸塩など異なる成分からできる尿石があります。
重要なのは、尿石の種類によって治療方法や食事管理が異なることです。
「尿石症だからこのフード」と自己判断するのではなく、獣医師による検査を受けて種類や状態に合った治療を行うことが大切です。
猫でみられる主な尿石の違い
| 尿石の種類 | 特徴 | 食事による溶解 |
|---|---|---|
| ストルバイト | 猫で代表的な尿石の一つ | 条件によって可能 |
| シュウ酸カルシウム | 猫で代表的な尿石の一つ | 基本的に溶解できない |
| 尿酸塩など | 比較的少ない | 種類によって異なる |
ストルバイト結石
ストルバイトは、マグネシウム・アンモニウム・リン酸などから構成される尿石です。
猫でみられる代表的な尿石の一つで、膀胱などに形成されることがあります。
ストルバイト尿石の特徴の一つは、獣医師の診断のもとで適切な療法食による溶解治療が可能な場合があることです。
ただし、
「ストルバイトらしいから尿を酸性にすればいい」
と自己判断するのは避けましょう。
尿の状態や結石の位置、大きさ、尿道閉塞の有無などによって治療方針が変わるためです。
シュウ酸カルシウム結石
シュウ酸カルシウムも猫でよくみられる尿石の一つです。
ストルバイトとの大きな違いとして、現在のところ療法食によって既に形成されたシュウ酸カルシウム尿石を溶かすことは基本的にできません。
そのため、結石の場所や大きさ、症状によっては外科的な摘出などが検討されます。
また、治療後は再発を防ぐために、
- 水分摂取
- 食事管理
- 尿の状態
- 定期的な尿検査
- 必要に応じた画像検査
などを管理していくことが重要です。
その他の種類の尿石
猫ではストルバイトとシュウ酸カルシウム以外の尿石がみられることもあります。
たとえば、
- 尿酸塩
- シスチン
- その他の複合的な尿石
などです。
尿石の成分によって、形成される背景や適切な治療・予防方法が異なることがあります。
そのため、取り出した尿石を分析できる場合には、成分分析によって種類を確認することが再発予防にも役立ちます。
尿石の種類によって治療方法が異なる
尿石症で非常に重要なのが、すべての尿石を同じ方法で治療できるわけではないという点です。
たとえば、
| 状態 | 主な治療の考え方 |
|---|---|
| ストルバイト尿石 | 条件により療法食で溶解を目指す |
| シュウ酸カルシウム尿石 | 溶解できないため摘出などを検討 |
| 尿道閉塞 | まず閉塞解除が必要 |
| その他の尿石 | 種類・原因に応じて治療 |
| 再発しやすい場合 | 食事・水分・定期検査などで管理 |
同じ「尿石症」という診断でも、結石の成分や場所、猫の健康状態によって治療方法は変わります。
このため、インターネットで見つけた食事療法を自己判断で始めないことも大切です。
見た目だけでは尿石の種類を判断できない
猫砂に小さな結晶のようなものが見えたとしても、それだけで「ストルバイトだ」「シュウ酸カルシウムだ」と判断することはできません。
また、尿検査で結晶が確認されても、その結晶と実際に存在する尿石の成分が必ず一致するとは限りません。
動物病院では、
- 尿検査
- 尿pH
- X線検査
- 超音波検査
- 結石の成分分析
などを組み合わせて判断します。
特に摘出・排出された結石を分析できれば、尿石の種類をより正確に確認し、その後の食事管理や再発予防を考える重要な情報になります。
したがって、飼い主さんが見た目だけで尿石の種類を判断して療法食を選ぶのは避けましょう。
重要ポイント
- 尿石症が悪化すると血尿・排尿痛・食欲低下などがみられる
- 嘔吐やぐったりなど全身症状が出た場合は注意する
- 尿がまったく出ない状態は緊急性が高い
- オス猫は尿道閉塞に特に注意する
- 猫の代表的な尿石はストルバイトとシュウ酸カルシウム
- ストルバイトは条件によって療法食で溶解できる場合がある
- シュウ酸カルシウムは基本的に食事で溶かすことができない
- 尿石の種類によって治療・食事・再発予防が異なる
- 尿石の種類を飼い主さんが見た目だけで判断しない
猫が尿石症になる主な原因とリスク要因
猫の尿石症は、「この一つが原因」という単純な病気ではありません。 尿の濃さやpH、飲水量、食事、年齢、性別、体質、生活環境など、複数の要因が関係して尿中の成分が結晶化し、尿石が形成されることがあります。
特に重要なのは、尿中のミネラルなどが結晶化しやすい状態になることです。日本ペット栄養学会誌でも、飲水量が少なく尿量が減って尿が濃くなると、尿中物質が過飽和になりやすく、結石形成に関係すると説明されています。
そのため、「ドライフードを食べているから尿石症になった」など、一つの原因だけで判断しないことが大切です。
猫の尿石症に関係する主な要因
| 要因 | 尿石との関係 |
|---|---|
| 尿が濃い | 尿中成分が高濃度になりやすい |
| 尿pH | 結晶化しやすい条件に関係する |
| 飲水量 | 少ないと尿量が減る場合がある |
| 食事 | ミネラルや栄養バランスなどが関係 |
| 肥満・活動量 | 下部尿路疾患のリスク要因になる場合がある |
| 年齢・性別 | 尿石の種類や尿道閉塞リスクなどに関係 |
| 体質 | 尿の性状や代謝などに個体差がある |
| 生活環境 | 水分摂取や排尿行動などに影響することがある |
尿の濃さやpHなどが関係する
尿石ができるかどうかを考えるうえで重要なのが、**尿の濃さとpH(酸性・アルカリ性の程度)**です。
尿中には、マグネシウム、リン、カルシウム、シュウ酸など、尿石の材料となり得る成分があります。
飲水量や尿量が少なく尿が濃縮されると、これらの成分の濃度が高まり、結晶形成につながる条件が整いやすくなります。
また、尿石の種類によって形成されやすい尿pHの条件も異なります。
たとえば、
- ストルバイト:アルカリ側で形成されやすい
- シュウ酸カルシウム:より酸性側で形成リスクが高まる場合がある
とされています。
そのため、「尿石予防には尿を酸性にすればよい」と単純に考えるのは適切ではありません。過度な尿の酸性化は、別の種類の尿石形成リスクに影響する可能性があります。
飲水量が少ないことが影響する場合
猫はもともと水をたくさん飲む動物ではありません。
しかし、飲水量が少なく尿量も減ると尿が濃くなり、尿中のミネラルなどが高濃度になる可能性があります。
たとえば、
水分摂取が少ない
↓
尿量が少なくなる
↓
尿が濃くなる
↓
尿中成分が過飽和になりやすくなる
↓
結晶・尿石形成の条件につながる
という関係が考えられます。日本ペット栄養学会誌でも、飲水量が少なく濃い尿になることが尿石形成に関係すると説明されています。
ただし、「水を飲まないことだけが尿石症の原因」ではありません。
水分摂取は尿石予防を考えるうえで重要な一要素と考えましょう。
食事やミネラルバランスが関係する場合
食事も尿石形成に関係する重要な要素です。
食事に含まれる、
- マグネシウム
- リン
- カルシウム
- ナトリウム
- たんぱく質
などは、尿中成分や尿pH、水分摂取などに影響します。実際に国内の猫を対象とした研究でも、食事内容によって飲水量、尿量、尿pHなどが変化することが報告されています。
ただし、ここで注意したいのが、特定のミネラルを自己判断で極端に減らさないことです。
カルシウムやマグネシウムなどは猫の体に必要な栄養素でもあります。
また、尿石の種類によって食事管理が異なるため、尿石症と診断された猫では獣医師に相談して適切な療法食を選びましょう。
肥満や運動不足がリスクになることもある
肥満や活動量の低下なども、猫の下部尿路疾患と関連する生活要因として考えられています。
たとえば、運動量が少ない猫では、
- 水を飲みに行く回数が少ない
- トイレへ行く頻度が変わる
- 体重が増加する
- 室内で過ごす時間が長い
など、複数の生活要因が重なることがあります。
ただし、「太っているから必ず尿石症になる」「運動不足だけが尿石症の原因」という意味ではありません。
予防では、適正体重を保ち、遊びや上下運動などを取り入れながら健康的な生活環境を整えることが大切です。
年齢・性別などによってリスクが異なる
猫の尿石症は、年齢や性別によっても特徴が異なります。
特に注意したいのがオス猫の尿道閉塞です。
オス猫はメス猫より尿道が細く長いため、結石や尿道栓子などが詰まった場合に尿が出なくなる危険があります。
一方、年齢によっても形成されやすい尿石の種類や背景が変わる可能性があります。日本ペット栄養学会の2025年の解説でも、ライフステージによって尿pHや尿石形成リスクを考慮した栄養管理が必要であることが示されています。
そのため、
「若い猫だから大丈夫」
「メス猫だから尿石症にならない」
とは考えないようにしましょう。
体質や生活環境など複数の要因が関係する
尿石症は、食事や水分だけでは説明できない場合があります。
日本ペット栄養学会誌でも、尿石は尿の飽和度やpHといった食事に関連する条件だけで発生するわけではないことが指摘されています。
猫によって、
- 尿の性状
- 代謝
- 水の飲み方
- 排尿習慣
- 食事
- 運動量
- 年齢
- 体質
などは異なります。
したがって尿石症を予防するときは、特定の一つの原因を取り除くだけでなく、食事・水分・体重・トイレ・生活環境を総合的に管理することが大切です。
猫の尿石症はどのように検査・診断する?
頻尿や血尿があっても、それだけで尿石症と診断することはできません。
膀胱炎や尿道炎などでも似た症状がみられるため、動物病院では問診・尿検査・X線検査・超音波検査などを組み合わせて原因を調べます。
また、結石を取り出せた場合には成分分析を行い、その結果を今後の治療や再発予防に役立てることもあります。尿石の正確な診断と種類に応じた治療・予防の重要性は、尿路結石に関する獣医学的なコンセンサスでも示されています。
猫の尿石症で行われる主な検査
| 検査 | 主に確認すること |
|---|---|
| 問診 | 排尿・飲水・食事・症状の経過 |
| 尿検査 | 結晶・血液・pH・尿の濃さなど |
| 超音波検査 | 膀胱・腎臓・尿路などの状態 |
| X線検査 | 結石の有無・位置・大きさなど |
| 血液検査 | 腎機能・電解質など |
| 尿石分析 | 結石の成分 |
問診で排尿の状態や食事・飲水量を確認する
診察では、まず飼い主さんから日頃の様子を聞き取ります。
獣医師へ伝えたいのは、
- いつから症状が始まったか
- トイレへ行く回数
- 1回の尿量
- 血尿の有無
- 排尿時に痛がるか
- 水を飲む量
- 普段食べているフード
- おやつやサプリメント
- 過去に尿石症になったことがあるか
などです。
たとえば「頻尿があります」だけでなく、
「昨日から10分おきくらいにトイレへ行き、尿の塊が普段よりかなり小さい」
と具体的に伝えると、状態を把握する材料になります。
スマートフォンで猫砂の尿や排尿時の様子を記録しておくのも役立つことがあります。
尿検査で結晶・血液・pHなどを調べる
尿石症の診断で重要なのが尿検査です。
尿検査では、
- 尿の濃さ(尿比重)
- 尿pH
- 血液の混入
- たんぱく質
- 結晶
- 細胞
- 細菌の有無
などを確認します。
尿中に結晶が確認されれば、尿石形成を考える材料になります。
ただし、尿に結晶があることと、実際に尿路内に結石があることは同じではありません。
また、尿中の結晶だけから実際の尿石成分を完全に決めることもできないため、画像検査などと組み合わせて判断します。
超音波検査で膀胱や尿路を確認する
超音波検査(エコー検査)は、体の外側から超音波を当てて膀胱や腎臓などの状態を確認する検査です。
尿石症では、
- 膀胱内の結石
- 膀胱壁の状態
- 尿路の異常
- 腎臓の状態
などを確認するために利用されます。
特にX線検査だけでは確認しにくい病変を調べるうえでも役立ちます。
尿管結石についても、北里大学の総説では猫で重要な疾患として取り上げられており、尿管閉塞が急性腎障害につながることがあります。
X線検査で結石を確認する
X線検査(レントゲン検査)では、尿路に結石がないかを確認します。
結石の種類によってX線への写り方は異なりますが、確認できる場合には、
- 結石の位置
- 大きさ
- 数
- 分布
などを調べることができます。
ただし、すべての尿石が同じようにはっきり写るわけではありません。
そのため、X線検査だけで判断せず、超音波検査や尿検査などを組み合わせることがあります。
必要に応じて血液検査を行う
尿石症では、必要に応じて血液検査も行います。
特に尿道や尿管が閉塞して尿の流れが悪くなっている場合には、
- 腎機能に関係する数値
- 電解質
- 脱水状態
- 全身状態
などを確認することが重要になります。
たとえば尿道閉塞が続くと、カリウムなどの電解質に異常が生じる可能性があります。
そのため、「尿石があるか」だけでなく、尿石によって体全体へどの程度影響が出ているかを調べる目的でも血液検査が行われます。
取り出した結石を分析することもある
自然に排出された尿石や、治療によって取り出した結石がある場合は、尿石分析を行うことがあります。
分析することで、
- ストルバイト
- シュウ酸カルシウム
- 尿酸塩
- その他の成分
- 複数成分からなる尿石
などを確認できます。
尿石の成分が分かれば、その後の食事療法や再発予防を考える重要な情報になります。
実際に、猫の尿石には複数の成分が存在し、長年にわたり尿石分析データが蓄積されています。
「見た目が白いからストルバイトだろう」といった判断はできません。
尿石が採取できた場合は、獣医師と相談して成分分析を検討しましょう。
重要ポイント
- 猫の尿石症は一つの原因だけで発症するわけではない
- 尿の濃さ・pH・水分摂取・食事など複数の要因が関係する
- 飲水量が少なく尿が濃くなることは尿石形成に関係する場合がある
- 特定のミネラルだけを自己判断で極端に制限しない
- 頻尿や血尿だけでは尿石症と診断できない
- 尿検査・X線・超音波などを組み合わせて診断する
- 尿道・尿管閉塞が疑われる場合は血液検査も重要になる
- 取り出した尿石の成分分析は治療や再発予防に役立つ
猫の尿石症の治療法
猫の尿石症は、尿石の種類・できている場所・症状の強さ・尿道閉塞の有無によって治療方法が変わります。
たとえば、ストルバイト尿石では食事療法で溶解を目指せる場合がありますが、シュウ酸カルシウム尿石は基本的に食事だけで溶かすことはできません。また、尿道が詰まって尿が出ない場合は、尿石の種類を詳しく調べる前に閉塞を解除する緊急処置が必要です。
そのため、「尿石症=この薬・このフード」と一律に考えず、検査結果に合わせて治療を進めることが大切です。
猫の尿石症の治療早見表
| 状態 | 主な治療の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| ストルバイト尿石 | 療法食で溶解を目指す場合がある | 獣医師の管理下で行う |
| シュウ酸カルシウム尿石 | 摘出などを検討 | 食事だけでは溶かせない |
| 尿道閉塞 | 緊急処置で閉塞解除 | 命に関わる場合がある |
| 膀胱炎・痛み | 鎮痛など症状に応じて治療 | 原因も同時に確認 |
| 治療後 | 尿検査・画像検査など | 再発予防が重要 |
尿石の種類や症状によって治療方法が異なる
尿石症の治療で最も重要なのは、どの種類の尿石が、どこに、どの程度あるのかを確認することです。
たとえば、
- ストルバイト尿石
- シュウ酸カルシウム尿石
- 尿酸塩などその他の尿石
では、治療方法が異なります。
さらに、
- 膀胱内にあるのか
- 尿道に詰まっているのか
- 尿管にあるのか
- 血尿や痛みが強いのか
によっても対応が変わります。
そのため、尿検査やX線検査、超音波検査などで状態を確認してから治療方針を決めます。
ストルバイト結石では食事療法を行うことがある
ストルバイト尿石では、条件が合えば専用の療法食によって尿石を溶解する治療が行われることがあります。
療法食は、尿のpHやミネラルバランスなどを調整し、ストルバイトが溶けやすい尿環境を作るよう設計されています。
ただし、
「ストルバイトらしいから市販の尿路ケアフードを買う」
という自己判断は避けましょう。
本当にストルバイト尿石なのか、尿道閉塞がないか、ほかの病気がないかを確認してから始める必要があります。
また、療法食は一般食とは目的が異なるため、獣医師の指示に従って使用することが大切です。
溶かせない尿石では摘出が必要になる場合がある
シュウ酸カルシウム尿石のように、食事療法では溶かせない尿石もあります。
この場合、尿石の場所や大きさ、症状によって、
- 外科手術
- カテーテルを利用した処置
- 低侵襲な方法による除去
などが検討されることがあります。
たとえば、膀胱内に比較的大きな尿石があり、頻繁に血尿や排尿痛を繰り返している場合は、摘出が必要になることがあります。
重要なのは、「尿石がある=必ず手術」ではないという点です。結石の種類・位置・大きさ・猫の状態によって治療方法は変わります。
尿道閉塞では緊急処置が必要になる
尿道が完全に塞がり、尿が出ない場合は緊急治療が必要です。
このときは、
- 尿道カテーテルなどで閉塞を解除する
- 必要に応じて点滴を行う
- 電解質異常や腎機能を確認する
- 痛みを抑える
- 状態によって入院管理を行う
といった対応が行われます。
尿道閉塞では、
尿が出ない
↓
老廃物や電解質の異常が起こる
↓
全身状態が悪化する
可能性があります。
特にオス猫で、何度も排尿姿勢を取っているのに尿が出ない場合は、翌日まで様子を見ずに動物病院へ連絡してください。
痛みや膀胱炎などに対する治療を行う
尿石が膀胱や尿道を刺激すると、炎症や痛みを伴うことがあります。
その場合は、尿石そのものへの治療だけでなく、
- 痛みを抑える治療
- 膀胱炎への対応
- 脱水への補液
- 必要に応じた感染症の治療
などを行います。
ただし、抗菌薬はすべての尿石症や膀胱炎に必要なわけではありません。
細菌感染が確認された場合など、必要性を獣医師が判断します。
治療後も定期的な尿検査が重要
尿石症は、一度治療したら終わりではありません。
再発する可能性があるため、治療後の経過観察が重要です。
定期的に、
- 尿pH
- 尿比重
- 結晶の有無
- 血尿
- 必要に応じてX線・超音波
などを確認します。
また家庭でも、
- 尿の回数
- 猫砂の塊の大きさ
- 血尿
- 排尿時の痛み
- 飲水量
を観察しましょう。
尿石症の猫の食事と水分管理
尿石症の再発予防や治療では、食事と水分管理が非常に重要です。
ただし、尿石には複数の種類があり、適切な食事もそれぞれ異なります。特にストルバイトとシュウ酸カルシウムでは食事管理の考え方が違うため、自己判断でフードを選ばないことが大切です。
食事・水分管理の早見表
| 管理項目 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 療法食 | 獣医師の指示に従う |
| 尿石の種類 | 種類に合った管理をする |
| ミネラル | 自己判断で極端に制限しない |
| 水分 | 新鮮な水を複数用意 |
| ウェットフード | 水分摂取の補助になる |
| おやつ | 与えすぎに注意 |
| フード変更 | 勝手に中止・変更しない |
療法食は獣医師の指示に従って選ぶ
尿石症では、獣医師から尿路用療法食を勧められることがあります。
療法食は、
- 尿pH
- ミネラルバランス
- 尿量
- 尿石の種類
などを考えて設計されています。
ただし、「尿路ケア」と書いてある市販フードと、治療目的の療法食は同じではありません。
尿石の種類が分からないまま自己判断で療法食を始めるのは避けましょう。
尿石の種類に合った食事管理が重要
尿石症の食事管理は、尿石の種類に合わせることが基本です。
たとえば、
- ストルバイト尿石:条件によって療法食で溶解を目指す
- シュウ酸カルシウム尿石:溶解できないため、再発予防を重視
という違いがあります。
つまり、
「尿石症だから同じフード」
ではありません。
検査結果をもとに、その猫に合った食事を選びます。
自己判断でミネラルを制限しない
尿石の材料にミネラルが関係すると聞くと、「マグネシウムやカルシウムを減らせばよい」と思うかもしれません。
しかし、これらは猫の体に必要な栄養素でもあります。
極端に制限すると、栄養バランスを崩す可能性があります。
また、尿石の種類によって必要な管理が異なるため、特定の成分だけを自己判断で制限しないことが大切です。
新鮮な水を複数の場所に用意する
尿石症の再発予防では、水分摂取を増やし、尿を薄めることが重要な対策の一つです。
家庭では、
- リビング
- 寝室
- 猫がよく過ごす場所
など複数の場所に水を置きましょう。
また、
- 毎日水を交換する
- 水皿を清潔にする
- 猫が好む器を使う
- 給水器も試す
などの工夫もできます。
ウェットフードで水分を補う方法もある
ウェットフードは水分含有量が高いため、食事から水分を摂取する方法として役立ちます。
水皿からあまり飲まない猫でも、ウェットフードなら自然に水分を取れる場合があります。
ただし、尿石症の猫では、どのウェットフードでもよいわけではありません。
療法食を指示されている場合は、同じ治療目的のウェットタイプについて獣医師へ相談しましょう。
愛猫がなかなか水を飲んでくれない場合は、「猫が水を飲まないのはなぜ?飲水量を増やす方法と注意点を解説」で、水飲み場や器、ウェットフードなど飲水量を増やす工夫を詳しく紹介しています。
人間の食べ物やおやつの与えすぎに注意する
療法食を食べている猫に、
- 人間用の魚
- 味付け肉
- チーズ
- 加工食品
- 猫用おやつ
などを頻繁に与えると、せっかく調整された栄養バランスに影響する場合があります。
特に療法食で尿石の溶解や再発予防をしている場合は、療法食以外のものをどの程度与えてよいか獣医師に確認すると安心です。
療法食を自己判断で中止・変更しない
症状がなくなると、
「もう治ったから普通のフードでいいだろう」
と思うかもしれません。
しかし、見た目の症状がなくても尿の状態が完全に安定しているとは限りません。
自己判断で、
- 療法食をやめる
- 別の療法食へ変える
- 一般食へ戻す
- サプリメントを追加する
のは避けましょう。
治療後の尿検査などを受け、いつまで療法食を続けるか、どの食事へ切り替えるかを獣医師と相談してください。
重要ポイント
- 尿石症は種類・場所・症状で治療が異なる
- ストルバイト尿石は療法食で溶解できる場合がある
- シュウ酸カルシウム尿石など溶かせない尿石もある
- 尿道閉塞は緊急処置が必要
- 痛みや膀胱炎などへの治療も行う
- 治療後も尿検査などの経過観察が重要
- 療法食は自己判断で選ばない
- 水分摂取を増やすことは再発予防で重要
- 療法食中はおやつや人間の食べ物にも注意する
- フードを勝手に中止・変更しない
猫の尿石症を予防・再発防止するためにできること
猫の尿石症は、一度治療しても再発することがあります。そのため、治療が終わった後も、水分摂取・食事・体重・トイレ環境・排尿状態などを継続して管理することが大切です。
ただし、尿石にはストルバイトやシュウ酸カルシウムなど複数の種類があり、予防方法も一律ではありません。日本獣医腎泌尿器学会誌に掲載されているACVIMコンセンサスでも、尿石の種類に応じた治療と再発予防が重要とされています。
尿石症の予防・再発防止早見表
| 対策 | ポイント |
|---|---|
| 水分摂取 | 水を飲みやすい環境を整える |
| 食事 | 尿石の種類や健康状態に合わせる |
| 体重管理 | 適正体重を維持する |
| トイレ | 清潔で使いやすい環境を作る |
| ストレス対策 | 安心して過ごせる場所を作る |
| 排尿観察 | 回数・量・色などを確認する |
| 定期検査 | 再発歴があれば獣医師と相談して継続する |
十分な水分を摂れる環境を作る
尿石症の予防・再発防止では、十分な水分を摂取して尿量を確保することが大切です。
尿量が増えることで尿が薄まり、尿中の結石形成成分の濃度を下げることにつながります。尿路結石の再発予防において尿濃度を下げることの重要性は、専門的なコンセンサスでも示されています。
家庭では、
- 水皿を複数の場所に置く
- 毎日新鮮な水へ交換する
- 水皿を清潔に保つ
- 猫が好む器を試す
- 給水器を利用する
- 必要に応じてウェットフードを活用する
などの方法があります。
たとえば、リビングにしか水皿がない場合は、寝室や猫がよく過ごす場所にも追加してみるとよいでしょう。
猫に合った食事を適量与える
尿石症の予防では、猫の年齢・体重・健康状態・尿石の種類に合った食事を選ぶことが重要です。
尿石症の治療後に療法食を指示されている場合は、その目的を理解して継続しましょう。
また、フードだけでなく、
- おやつ
- 人間の食べ物
- サプリメント
- トッピング
なども食事全体の栄養バランスに影響します。
「療法食を食べているから、おやつはいくら与えても大丈夫」というわけではありません。
特に再発歴のある猫では、何をどの程度与えてよいか、かかりつけの獣医師へ確認しておくと安心です。
適正体重を維持する
肥満を防ぎ、適正体重を維持することも健康管理の重要なポイントです。
体重管理では、
- フードを目分量ではなく計量する
- おやつを与えすぎない
- 毎日適度に遊ぶ
- キャットタワーなどで上下運動を取り入れる
- 定期的に体重を測る
などを意識しましょう。
たとえば月に1回程度、同じ条件で体重を記録しておけば、徐々に太っている場合にも気づきやすくなります。
ただし、肥満だけが尿石症の原因ではありません。水分・食事・排尿習慣などを含めて総合的に管理することが大切です。
トイレを清潔にして排尿を我慢させない
猫はトイレ環境に敏感です。
猫砂が汚れていたり、落ち着いて排尿できなかったりすると、トイレを使いたがらない場合があります。
そのため、
- 尿や便をこまめに取り除く
- 定期的にトイレ本体を清掃する
- 静かな場所に設置する
- 猫が入りやすい大きさにする
- 多頭飼いでは複数のトイレを用意する
といった工夫をしましょう。
トイレ掃除は衛生管理だけでなく、尿の回数や量を確認する健康チェックにもなります。
ストレスの少ない生活環境を整える
ストレス管理は猫の下部尿路の健康を考えるうえでも重要です。
特に猫特発性膀胱炎(FIC)では、環境要因への対応や水分摂取量を増やすことなどが管理上検討されています。
家庭では、
- 安心して眠れる場所を作る
- 隠れ場所を用意する
- キャットタワーなど高い場所を作る
- 毎日適度に遊ぶ
- 多頭飼いでは食事・水・トイレを分散させる
- 急激な生活環境の変化をできるだけ避ける
などを意識するとよいでしょう。
ただし、ストレスだけが尿石症の直接的な原因という意味ではありません。尿石症と特発性膀胱炎は区別して考える必要があります。
尿の量・回数・色を日頃から観察する
尿石症の早期発見では、毎日の排尿状態を知っておくことが非常に役立ちます。
確認したいのは、
- 1日にトイレへ行く回数
- 猫砂の尿の塊の大きさ
- 尿の色
- 血尿の有無
- 排尿時の様子
- トイレにいる時間
などです。
たとえば、
「いつもよりトイレへ行く回数が増えたのに、尿の塊は小さくなった」
という変化は見逃したくないサインです。
尿石症に限らず、猫の下部尿路疾患では血尿・頻尿・疼痛性排尿困難などがみられます。
再発した猫は定期的に検査を受ける
一度尿石症になった猫では、症状がなくなった後も獣医師の指示に従って経過を確認することが大切です。
定期検査では、
- 尿pH
- 尿比重
- 結晶
- 血尿
- 必要に応じたX線検査
- 超音波検査
などを確認します。
「元気だからもう大丈夫」と療法食や定期検査を自己判断で中止せず、再発リスクや尿石の種類に合わせて管理を続けましょう。
猫の尿石症と膀胱炎の違い・関係
尿石症と膀胱炎は、どちらも頻尿・血尿・排尿時の痛みなどがみられるため、飼い主さんには区別しにくい病気です。
しかし、尿石症と膀胱炎は同じ病気ではありません。
さらに猫では、尿石を伴わない**猫特発性膀胱炎(FIC)**も重要です。日本獣医腎泌尿器学会誌では、猫の下部尿路疾患(FLUTD)には結石性、感染性、特発性など複数の原因があることが示されています。
尿石症と膀胱炎の違い早見表
| 比較項目 | 尿石症 | 膀胱炎 |
|---|---|---|
| 主な状態 | 尿路に結晶・結石が形成される | 膀胱に炎症が起こる |
| 発生場所 | 腎臓・尿管・膀胱・尿道など | 膀胱 |
| 頻尿 | みられることがある | みられることがある |
| 血尿 | みられることがある | みられることがある |
| 排尿痛 | みられることがある | みられることがある |
| 診断 | 尿検査・画像検査など | 尿検査などで原因を調べる |
| 関係 | 膀胱を刺激して炎症を伴うことがある | 尿石以外が原因の場合もある |
尿石症と膀胱炎は別の病気
尿石症は、尿路に結晶や結石が形成される病気です。
一方、膀胱炎は膀胱に炎症が起こっている状態を指します。
猫の膀胱炎には、
- 猫特発性膀胱炎
- 細菌感染に関連する膀胱炎
- 尿石などに関連する炎症
などがあります。
特に猫では、下部尿路症状があるからといって、必ず細菌感染が原因とは限りません。ISCAIDガイドラインでも、下部尿路症状を示す猫では細菌性膀胱炎である可能性は低いことが指摘されています。
尿石が膀胱を刺激して炎症を起こすことがある
尿石症と膀胱炎は別の病気ですが、両者が関係することがあります。
膀胱内に尿石があると、尿石が膀胱粘膜を刺激し、
尿石による刺激
↓
膀胱粘膜に炎症
↓
血尿・頻尿・排尿痛
といった症状につながる場合があります。
そのため、診察では「膀胱炎があるか」だけでなく、その背景に尿石などの原因がないかを調べることが重要です。
頻尿・血尿など似た症状がみられる
尿石症と膀胱炎では、症状がよく似ています。
共通してみられる可能性があるのは、
- 何度もトイレへ行く
- 少量ずつ排尿する
- 血尿
- 排尿時に痛がる
- トイレ以外で排尿する
- 陰部を頻繁になめる
などです。
猫特発性膀胱炎でも、血尿・頻尿・疼痛性排尿困難・不適切な場所での排尿などが特徴として報告されています。
つまり、飼い主さんが家庭で症状を見ただけでは、尿石症なのか膀胱炎なのかを判断するのは困難です。
症状だけでは原因を判断できない
たとえば猫に血尿があったとしても、
「血尿=尿石症」
とは限りません。
反対に、
「頻尿=膀胱炎」
とも限りません。
同じような下部尿路症状でも、尿石、特発性膀胱炎、細菌感染、尿道閉塞など異なる原因が考えられます。
特に尿が出ない場合は原因の特定よりも、まず尿道閉塞の有無を確認することが重要になります。
尿検査や画像検査で原因を調べることが大切
尿石症と膀胱炎を見分けるためには、動物病院で検査を受けることが重要です。
主に、
- 尿検査:血液、結晶、尿pH、細菌など
- X線検査:尿石の有無・位置など
- 超音波検査:膀胱壁や尿石など
- 尿培養検査:細菌感染が疑われる場合
などを組み合わせて原因を調べます。
特に細菌性膀胱炎については、適切な診断のうえで抗菌薬の必要性を判断することが重要です。
症状だけで「尿石だろう」「膀胱炎だろう」と判断せず、原因に合わせた治療を受けましょう。
猫の膀胱炎について、初期症状や原因、治療方法を詳しく知りたい方は「愛猫の病気?膀胱炎の初期症状・原因・治療法を詳しく解説」も参考にしてください。
重要ポイント
- 尿石症は治療後も再発する可能性がある
- 水分・食事・体重・排尿状態を継続して管理する
- トイレを清潔にし、排尿状態を確認する習慣をつける
- 尿石症と膀胱炎は別の病気
- 尿石が膀胱を刺激して炎症を伴うこともある
- 頻尿・血尿・排尿痛など、両者には似た症状がある
- 症状だけで尿石症と膀胱炎を区別するのは難しい
- 尿検査やX線・超音波検査などで原因を確認する
- 再発歴のある猫では定期的な検査を続ける
すぐに動物病院を受診したほうがよい症状
猫の尿石症では、頻尿や血尿など比較的早い段階でみられる症状もありますが、状態が進むと尿道閉塞など命に関わる緊急状態になることがあります。
特に「何度もトイレへ行っているのに尿が出ない」「排尿姿勢を取るのに数滴しか出ない」といった症状は要注意です。
2026年の日本獣医腎泌尿器学会誌でも、猫の尿道閉塞に対する処置について報告されており、実際に閉塞解除が必要となる症例が扱われています。
すぐに受診したい症状早見表
| 症状 | 注意したい理由 | 対応 |
|---|---|---|
| 尿が出ない | 尿道閉塞の可能性 | 緊急受診 |
| 尿が数滴しか出ない | 部分的な閉塞などの可能性 | 早急に受診 |
| 強い排尿痛 | 尿路の炎症・閉塞など | 早めに受診 |
| 血尿が続く | 尿石・膀胱炎など | 受診 |
| 嘔吐・ぐったり | 全身状態悪化の可能性 | 早急に受診 |
| 腹部を痛がる | 膀胱・尿路の異常など | 受診 |
| オス猫の排尿異常 | 尿道閉塞リスクが高い | 特に注意 |
何度もトイレに行くのに尿が出ない
猫が、
- トイレへ何度も入る
- 長時間いきむ
- すぐに出てくる
- また数分後にトイレへ行く
という行動を繰り返しているのに、猫砂に尿の塊が確認できない場合は注意してください。
単なる頻尿ではなく、尿道が詰まっている可能性があります。
特にオス猫では、尿道閉塞を起こすと短時間で状態が悪化することがあります。
この場合は「もう少し待てば出るだろう」と様子を見ず、動物病院へ連絡しましょう。
排尿姿勢を取るのに尿がほとんど出ない
尿がまったく出ない場合だけでなく、数滴しか出ない状態にも注意が必要です。
たとえば、
いつも:猫砂に大きな尿の塊ができる
現在:小さな点のような尿しかない
という場合です。
尿道が完全には閉塞していなくても、尿の流れが大きく妨げられている可能性があります。
2026年の国内報告でも、猫の尿道閉塞症例ではカテーテルを用いた閉塞解除が行われています。
「少し出ているから大丈夫」と判断せず、早めに受診してください。
排尿するときに強く痛がる
尿石が膀胱や尿道を刺激すると、排尿時に強い痛みが出ることがあります。
具体的には、
- トイレで大きな声で鳴く
- 強くいきむ
- 落ち着かない
- 排尿後すぐに陰部をなめる
- トイレへ行くこと自体を嫌がる
などです。
痛みが強い場合は、尿石だけでなく膀胱炎や尿道炎などが同時に起きている可能性もあります。
人間用の鎮痛薬を自己判断で与えず、動物病院で診てもらいましょう。
血尿が続いている
尿石によって膀胱や尿道の粘膜が傷つくと、血尿がみられることがあります。
たとえば、
- 尿がピンク色
- 赤い尿が出る
- 猫砂に赤い跡が付く
- ペットシーツに血液が混じる
といった変化です。
一度だけでも血尿が確認された場合は、尿石症や膀胱炎などを疑う手がかりになります。
特に、
血尿+頻尿+排尿痛
など複数の症状がある場合は、早めに受診しましょう。
嘔吐・食欲不振・ぐったりする症状がある
尿道閉塞などで尿を排出できない状態が続くと、全身状態が悪化して、
- 嘔吐
- 食欲不振
- 元気消失
- ぐったりする
- 反応が弱くなる
といった症状が現れることがあります。
2026年の日本獣医腎泌尿器学会誌の尿道閉塞症例でも、閉塞解除後の管理が必要となるケースが報告され、再発例の一部では初診時に腎機能値の上昇が認められています。
排尿異常に加えて全身症状がある場合は、緊急性が高いと考えてください。
お腹を触ると痛がる
尿が正常に出ない状態では、膀胱が膨らんで腹部に痛みが出る場合があります。
猫が、
- お腹を触ると怒る
- 腹部に触れられるのを嫌がる
- うずくまる
- 背中を丸めた姿勢を取る
- 落ち着かず何度も場所を変える
といった様子を見せることがあります。
ただし、飼い主さんが膀胱の状態を確認しようとしてお腹を強く押すことは避けてください。
排尿できていない可能性がある場合は、そのまま動物病院へ連絡しましょう。
特にオス猫の排尿異常は早急に受診する
オス猫はメス猫より尿道が細く長いため、尿石や尿道栓子などによる尿道閉塞に特に注意が必要です。
次のような症状があれば、早急に受診してください。
- 何度もトイレへ行く
- 排尿姿勢を取る
- 強くいきむ
- 数滴しか尿が出ない
- 尿がまったく出ない
- 排尿時に鳴く
- 嘔吐・ぐったりしている
日本獣医腎泌尿器学会誌では、2026年にも猫の尿道閉塞14例を対象とした臨床報告が掲載されており、尿道閉塞が実際の獣医療で重要な救急疾患であることが分かります。
緊急受診チェックリスト
- 何度もトイレへ行く
- 強くいきんでいる
- 尿が数滴しか出ない
- 尿がまったく出ない
- 排尿時に鳴く
- 血尿がある
- 嘔吐している
- 食事を食べない
- ぐったりしている
- 特にオス猫で排尿異常がある
特に**「尿が出ない」場合は、翌日まで待たないこと**が重要です。
猫の尿石症に関するよくある質問
ここでは、猫の尿石症について飼い主さんが疑問に感じやすい点をまとめます。
尿石症は、尿石の種類やできた場所によって治療方法が異なります。そのため、自己判断でフードや薬を変更せず、検査結果をもとに獣医師と相談することが基本です。
尿石症FAQ早見表
| 質問 | 基本的な考え方 |
|---|---|
| 自然に治る? | 尿石の種類・場所で異なる |
| 何日で治る? | 一律ではない |
| 食事で溶ける? | ストルバイトなど一部は可能 |
| 再発する? | 再発することがある |
| 普通のフードは? | 療法食が必要な場合あり |
| 水道水は? | 日本では通常利用可能 |
| オス猫はなりやすい? | 閉塞に特に注意 |
| 完全に予防できる? | 完全予防は難しい |
猫の尿石症は自然に治ることがありますか?
尿石の種類や大きさ、場所によっては自然に排出される可能性がありますが、「尿石症は自然に治る病気」と考えるのは危険です。
特に、
- 結石が膀胱に残っている
- 尿管にある
- 尿道を塞いでいる
場合には治療が必要になることがあります。
また、症状が一時的に軽くなっても、尿石自体が残っている可能性があります。
排尿異常がある場合は、自然に治るのを待たず、尿検査や画像検査を受けましょう。
尿石症は何日くらいで治りますか?
治療期間は、尿石の種類や大きさ、位置、症状によって異なります。
たとえば、
- ストルバイト尿石を療法食で溶かす
- 外科的に尿石を摘出する
- 尿道閉塞を解除する
では、治療期間もまったく異なります。
そのため、「尿石症は○日で治る」と一律には言えません。
症状が改善していても、尿石や結晶が残っている可能性があるため、獣医師から指示された再診や尿検査を受けることが大切です。
猫の尿石は食事で溶かすことができますか?
尿石の種類によります。
代表的なストルバイト尿石では、条件が合えば専用の療法食によって溶解を目指すことがあります。
一方、シュウ酸カルシウム尿石は基本的に食事では溶かせません。
そのため、
「尿石症だから尿路用フードを買えばいい」
というわけではありません。
尿検査や画像検査、必要に応じて尿石分析を行い、種類に合った治療を選びます。
尿石症は一度治っても再発しますか?
はい。猫の尿石症は再発することがあります。
そのため、症状がなくなった後も、
- 飲水量を確保する
- 適切な食事を続ける
- 適正体重を維持する
- 尿の回数や量を観察する
- 定期的に尿検査を受ける
ことが重要です。
2026年に日本獣医腎泌尿器学会誌へ掲載された猫の尿道閉塞14例の報告でも、治療後に4例で再発が確認されています。これは尿道閉塞そのものの報告ですが、治療後も再発への注意が必要であることを示しています。
尿石症の猫に普通のキャットフードを与えても大丈夫ですか?
これは尿石の種類や治療段階によって異なります。
獣医師から療法食を指示されている場合は、自己判断で通常のキャットフードへ変更しないようにしましょう。
特にストルバイト尿石の溶解治療中などでは、食事そのものが治療の一部になっています。
症状がなくなったからといって、
療法食 → 普通のフード
へ勝手に戻すのではなく、尿検査などの結果を確認したうえで獣医師と相談してください。
猫に水道水を与えても大丈夫ですか?
日本国内で人が安全に飲める水道水であれば、通常は猫にも与えられます。
尿石症だからといって、必ず特別な水へ変更する必要があるわけではありません。
むしろ大切なのは、
- いつでも新鮮な水が飲める
- 水皿を清潔にする
- 複数の場所に水を用意する
- 愛猫が好む器や給水方法を見つける
ことです。
尿石症の治療中で水分管理について特別な指示がある場合は、かかりつけの獣医師に従ってください。
オス猫は尿石症になりやすいですか?
「オス猫だから必ず尿石症になりやすい」と単純に言い切ることはできません。
ただし、オス猫は尿道が細く長いため、尿石や結晶、尿道栓子などによって尿道閉塞を起こした場合の危険性が高い点に注意が必要です。
特に、
- 何度もトイレへ行く
- 尿が少ない
- 尿が出ない
- 排尿時に鳴く
場合は、早急に動物病院へ相談してください。
尿石症は完全に予防できますか?
尿石症を100%完全に防ぐ方法はありません。
尿石形成には、
- 尿の濃さ
- 尿pH
- 食事
- 飲水量
- 年齢
- 体質
- 生活環境
など複数の要因が関係するからです。
ただし、再発リスクを減らすために、
- 新鮮な水を複数用意する
- 必要に応じてウェットフードを活用する
- 尿石の種類に合った食事を続ける
- 適正体重を維持する
- トイレを清潔にする
- 尿の量・回数・色を観察する
- 定期検査を受ける
ことは大切です。
「完全に防ぐ」よりも、再発しにくい環境を作り、異常を早く見つけることを目標にするとよいでしょう。
重要ポイント
- 尿が出ない場合は緊急受診する
- 数滴しか出ない場合も油断しない
- 排尿異常+嘔吐・ぐったりは特に注意する
- オス猫では尿道閉塞を意識する
- 尿石症の治療期間は種類・場所・状態で異なる
- ストルバイトは食事で溶解できる場合がある
- シュウ酸カルシウムは基本的に食事では溶かせない
- 治療後も再発することがある
- 療法食を自己判断で中止しない
- 完全な予防は難しいため、日常管理と早期発見が大切
猫の尿石症は排尿の変化を見逃さず早めに対処しよう
猫の尿石症は、尿の中に結晶や結石ができ、頻尿・血尿・排尿時の痛みなどを引き起こす病気です。尿石にはストルバイトやシュウ酸カルシウムなど複数の種類があり、種類やできている場所によって治療方法も異なります。
特に注意したいのは、何度もトイレへ行くのに尿が出ない状態です。尿道閉塞を起こしている可能性があり、命に関わることもあります。
日頃から、尿の量・回数・色、飲水量、食欲、元気などを確認し、小さな変化を見逃さないことが早期発見につながります。
今日覚えておきたい重要ポイント3つ
尿石症について、特に覚えておきたいポイントは次の3つです。
1.尿石症は症状だけでは判断できない
頻尿・血尿・排尿痛などは、尿石症だけでなく膀胱炎などでもみられます。そのため、尿検査やX線検査、超音波検査などで原因を調べることが大切です。
2.尿石の種類によって治療方法が違う
- ストルバイト尿石:条件によって療法食で溶解できる場合がある
- シュウ酸カルシウム尿石:基本的に食事では溶かせない
- 尿道閉塞:尿石の種類にかかわらず緊急処置が必要
「尿石症だからこのフード」と自己判断しないようにしましょう。
3.尿が出ない場合はすぐ受診する
猫が何度も排尿姿勢を取っているのに尿が出ない場合は、尿道閉塞の可能性があります。特にオス猫では注意が必要です。
猫の尿石症の症状・原因・治療早見表
| 項目 | 主な内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 初期症状 | 頻尿・少量排尿・排尿痛 | 普段との違いを確認 |
| 血尿 | 尿石や膀胱炎などでみられる | 原因確認が必要 |
| 尿石の種類 | ストルバイト・シュウ酸カルシウムなど | 種類で治療が異なる |
| 主な要因 | 尿の濃さ・pH・飲水量・食事など | 一つの原因だけではない |
| 検査 | 尿検査・X線・超音波など | 症状だけで判断しない |
| 治療 | 食事療法・摘出・閉塞解除など | 状態に合わせて選択 |
| 水分管理 | 新鮮な水・ウェットフードなど | 尿を薄める助けになる |
| 再発予防 | 食事・水分・体重・定期検査 | 継続管理が重要 |
尿石症は「石があるかないか」だけでなく、どんな尿石なのか、どこにあるのか、尿の流れを妨げていないかまで確認することが重要です。
愛猫の排尿異常チェックリスト
毎日のトイレ掃除のときに、次の項目を確認してみましょう。
- トイレへ行く回数が急に増えた
- 1回の尿量が少なくなった
- 猫砂の尿の塊が小さくなった
- 排尿するときに長くいきんでいる
- 排尿時に鳴く
- 尿がピンク色・赤色になっている
- トイレ以外の場所で排尿する
- 陰部を頻繁になめる
- 尿のにおいや色が普段と違う
- 飲水量が大きく変化した
たとえば、いつも大きな尿の塊が1日に数個できていた猫で、突然小さな塊ばかりになった場合は、排尿状態が変化している可能性があります。
1つ当てはまっただけで尿石症とは限りませんが、これまでになかった変化が続く場合は動物病院へ相談しましょう。
すぐに動物病院を受診する症状チェックリスト
次の症状がある場合は、特に注意が必要です。
- 何度もトイレへ行くのに尿が出ない
- 排尿姿勢を取るのに数滴しか出ない
- 強くいきんでいる
- 排尿時に激しく鳴く
- 血尿が続いている
- 嘔吐している
- 食事をほとんど食べない
- ぐったりして反応が弱い
- お腹を触ると強く嫌がる
- 特にオス猫で排尿異常がある
中でも、
尿が出ない
+
嘔吐・ぐったり
という状態は緊急性が高いと考えましょう。
自宅で水を大量に飲ませたり、お腹を押したりせず、速やかに動物病院へ連絡してください。
尿石症の再発予防チェックリスト
尿石症は一度治療しても再発することがあります。そのため、症状がなくなった後も日常管理を続けることが大切です。
- 新鮮な水を複数の場所に用意している
- 猫が飲みやすい水皿を使っている
- 必要に応じてウェットフードを取り入れている
- 獣医師から指示された療法食を続けている
- 自己判断で療法食を変更していない
- おやつを与えすぎていない
- 人間の味付けした食べ物を与えていない
- 適正体重を維持している
- 適度に運動できる環境を作っている
- トイレを清潔に保っている
- 尿の回数・量・色を確認している
- 定期的に尿検査を受けている
再発予防では、水分だけ、食事だけに頼らないことがポイントです。
水分摂取、適切な食事、体重管理、排尿観察、定期検査を組み合わせて愛猫の尿路の健康を守っていきましょう。
最後に
猫の尿石症では、「何度もトイレに行く」「尿の塊が小さくなった」といった日常の小さな変化が、早期発見のきっかけになります。
特に、何度も排尿姿勢を取っているのに尿が出ていない場合は、単なる膀胱炎や一時的な排尿トラブルと決めつけないことが大切です。
毎日のトイレ掃除を愛猫の健康チェックの時間として活用し、普段と違う排尿状態に気づいたら早めに動物病院へ相談しましょう。
参考元:
- 日本獣医腎泌尿器学会「犬ならびに猫の尿路結石の治療および予防に関するACVIMコンセンサス推奨」
- 日本ペット栄養学会「尿石症の食事管理」
- 日本ペット栄養学会「ネコの尿石症」
- 北里大学獣医学部「猫の尿管結石症」
本記事は、猫の尿石症に関する獣医学的な専門資料を参考に、症状・原因・治療・食事管理・再発予防についてまとめています。尿石の種類や症状には個体差があるため、実際の診断・治療は獣医師に相談してください。
まとめ
猫の尿石症は、尿の中に結晶や結石ができ、頻尿・血尿・排尿時の痛みなどを引き起こす病気です。特に尿道が詰まって尿が出なくなる状態は緊急性が高く、早急な受診が必要です。尿石にはストルバイトやシュウ酸カルシウムなどの種類があり、治療法や食事管理も異なります。日頃から飲水量を確保し、尿の量・回数・色などを観察することが早期発見につながります。異変を感じたら自己判断せず、早めに動物病院へ相談しましょう。

