冬の定番料理、湯気がたっぷりたった鍋に欠かせない白菜。シャキシャキした漬物は冬の保存食です。最近はキムチにも使うことが増えました。味にクセのない白菜はいろいろな料理に大活躍です。
白菜の特徴
白菜は冷涼な気候を好みますが、春まき、夏まきでもできます。が、最も作りやすいのは秋まき秋冬どりです。気候が白菜の生育に適し、寒さにあたると甘みも増してくるからです。さらに、頭部を縛る冬越し対策をすれば、厳寒期まで長く収穫することができます。
春まきの場合はとう立ち(抽だい)しやすく、育苗に保温や加温が必要です。夏まきの場合は高温で発芽しにくく、病害虫も多く発生します。
ほかのアブラナ科野菜同様、白菜も連作を嫌います。2年間アブラナ科野菜を育てなかった場所で栽培しましょう。
白菜の魅力
白菜はその滋養満点の内容から「冬のビタミン源」とも呼ばれ、独特のシャキシャキとした食感が特徴的な野菜です。
白菜はビタミンCが豊富に含まれており、風邪の予防や免疫力の向上に役立ちます。また、ビタミンUという胃腸の働きを活性化する成分も含まれております。消化を助け、胃の調子を整える効果があります。
さらに、白菜には食物繊維が豊富で、腸内環境を整える効果があります。これは便秘の予防や改善、そして腸の健康を維持するために有効です。また、低カロリーであるため、ダイエット中にという方にもおすすめです。
白菜の美味しさは、そのまま食べてもよく、さらに煮物や鍋物、漬物など、様々な料理に活用することができます。 特に寒い季節には白菜の煮物や鍋物は、体を温めるとともに栄養補給にもなります。
白菜の基本的な育て方
種まきの時期、土の条件、水やり、日照条件など
白菜の種まきの時期は春と秋の二回ですが、特に本番となるのは秋です。8月下旬から9月上旬にかけて種をまくと、冬に収穫することが可能になります。
次に、土の条件についてですが、排水性の良い黒土や赤土が適しています。また、pH値は中性からやや酸性の土が適しています、肥料については有機肥料を使用することを推奨しています。
水やりについては、種まき直後と定植後はしっかりと土が乾かないように水を与えます。
日照条件については、白菜は日光を楽しむため、一日に約6時間以上日光がある場所が理想的です。
病気や害虫から白菜を守るための予防策と対策
白菜を病気や害虫から守るためには、以下の予防策と対策があります。
- 土壌改善
- 水やりに注意をする
- 薬剤を散布する
- 病気になった部分は取り除く
- 防虫ネットを設置する
また、害虫の飛来と繁殖を防ぐ予防策と、発生後の早期の防除策に大きく分けられます。多くの害虫は、防虫ネットや寒冷紗で作物にトンネル掛けをすることで、侵入を未然に防止することが可能です。
【白菜の育て方-1】
【白菜の育て方-2】
土壌改善
白菜の栽培については、以下のような土壌改善が必要です。
- 肥料を与える
- 土壌のpHを調整する
- 土壌に有機物を加える
- 土壌を緩める
また、白菜は水やりに注意が必要です。水やりが不足すると、根が浅くなり、病気にかかりやすくなります。逆に、過剰な水やりは根腐れの原因となります。
【肥料を与える】
白菜の栽培において、肥料を与えることで、栄養分を補給し健康的な成長を促進することができます 。
肥料は、窒素、リン酸、カリウムなどの栄養素が含まれています。肥料を与える量は、肥料の種類や栽培状況によって異なりますが、適量を与えることが大切です。過剰に与えると、根や葉が枯れたり、病気にかかったりすることがあります。
【土壌のpHについて】
土壌のpHを調整する方法には、以下のような方法があります。
- 石灰質肥料を使用する
- 硫黄肥料を使用する
- 有機物を添加する
また、土壌のpHを調べる方法としては、pH試験紙やpHメーターを使用する方法があります。
好適土壌phは6.0~6.5
作物ごとにpHの適正値は違う
作物はそれぞれの種類ごとに、酸性を好むもの、アルカリ性を好むものがあり、生育に適したpH値(好適土壌酸度)というものがあります。pH値 葉菜類 果菜類 根菜類
6.5〜7.0 ホウレンソウ エンドウ
6.0〜6.5 アサツキ・ワケギ
アスパラガス
カリフラワー
クウシンサイ
シソ
シュンギク
セロリ
タマネギ
ニラ
ネギ
ハクサイ
パクチー
ブロッコリー
ミズナ
レタス インゲン
エダマメ
オクラ
カボチャ
キュウリ
シシトウ・トウガラシ
スイカ
ズッキーニ
ソラマメ
トウモロコシ
トマト
ナス
ピーマン・パプリカ
食用ホオズキ
マクワウリ
ラッカセイ サトイモ
ヤマイモ
5.5〜6.5 キャベツ
コマツナ
チンゲンサイ イチゴ
ゴーヤ カブ
ゴボウ
ダイコン
ニンジン
ラディッシュ
5.5〜6.0 サツマイモ
ジャガイモ
ショウガ
ニンニク
ラッキョウ
栽培する土壌の酸性度が植物に適していないと、生育不良などの原因になるので、植える前に酸性度の調整が必要になります。出典: ymmfarm.com
【土壌に有機物を加える】
白菜の栽培において、土壌に有機物を加えることで、土壌の保水力が高まり、根の成長を促進することができます。
有機物としては、堆肥や腐葉土などがあります。堆肥は、野菜の栄養分を補給するだけでなく、土壌の保水力を高める効果もあります。腐葉土は、土壌の保水力を高める効果があります。
【土壌を緩める】
白菜の栽培において、土壌を緩める方法としては、以下のような方法があります。
- 苦土石灰を全面に撒いて、深さ20~30cmを目安に十分に耕す
- 赤玉土 (小粒)6:腐葉土3:バーミキュライト1の比率で用意した用土に、緩効性化成肥料を20〜30g加えて1週間寝かせ、そのあと苦土石灰を2〜5gを混ぜてさらに1週間寝かせる
水やりに注意をする
白菜の栽培において、水やりが不足すると、根が浅くなり、病気にかかりやすくなります。逆に、過剰な水やりは根腐れの原因となります。
気をつけたいこと
白菜が成長すると、葉が地面に触れて黄色くなったり、虫に食べられたりすることがあります。これを放置すると、白菜の成長に影響が出るため、こまめに葉を取り除くようにしましょう。
薬剤を散布する
白菜の栽培において、薬剤を散布することも一つの対策です。しかし、薬剤を使用する場合は、使用方法や使用量に注意が必要です。また、薬剤を使用することで、有害な物質が残留する可能性があるため、使用には十分な注意が必要です。
白菜の肥料には、窒素、リン酸、カリウムが含まれる肥料が適しています。また、施肥量については、一度に窒素成分で10a当たり20㎏/10a以下とすることが望ましいとされています。
病気になった部分は取り除く
病気になった部分を放置すると、病気が広がってしまう可能性がありますので、病気になった部分を取り除くことで、健康な部分の成長を促すことができます。
防虫ネットを設置する
白菜の栽培において、防虫ネットを設置することで、害虫の侵入を防ぐことができます。
防虫ネットは、白菜にとって大敵な害虫から守るために有効です。また、防虫ネットを設置することで、日光や風を遮ることができ、白菜の成長を促進することができます。
栽培のポイント
2年間アブラナ科を野菜を育てていない場所に植える
白菜でもっとも発生しやすい病気は軟部病です。軟部病の病原菌は土壌に潜み、白菜の気孔や傷口から侵入して感染します。管理作業や害虫の食害で出来た傷はもちろん、葉がこすれ合ってできたような目に見えない傷も侵入口です。発病すると株全体がしおれ、進行すると株全体が腐って悪臭を放ちます。
【軟部病について】
軟部病とは結球間近になって下葉の葉柄や茎の地ぎわなどから腐りはじめ、次第に葉が倒れるようになって、ついには球の内部まで腐敗が及び、悪臭を発するようになる。対策方法は下記の通り。
- 連作を避ける。
- 早まきをしない。
- 畑は高畝にして排水を良くする。
- 1株でも発病したら早めに除去して伝染病を防ぐ
- ヨトウムシ、アオムシ、コナガなどの害虫に食害されるとそこから病原菌が侵入しやすくなるので病害虫防除を徹底する。
- 品種は早生で、比較的軟腐病に強い耐病60日、英勲、富風などを選ぶようにしましょう。
引用元:家庭菜園大百科
【殺虫剤】
ヨトウムシ➡苗時の防除であれば、ミネクトデュオ粒剤等のジアミドの薬剤を用いるのも有効
アオムシ➡フェニックス顆粒水和剤やプレバソンフロアブル、ベネビアOD、ヨーバルフロアブル等のジアミド系薬剤を入れておけば大多数のチョウ目幼虫は叩けます
コナガ➡繁殖力が旺盛で、発育も非常に早い為、同じ種類の農薬の連用や、中途半端な取りこぼしがあると、農薬の抵抗性が付きやすいので非常に厄介な害虫
登録作物の種類によって使用する農薬は異なりますが、代表的な薬剤は以下の物が使われています。
アファーム乳剤
アファーム乳剤についてはこちらをご覧ください。
- アファームエクセラ顆粒水和剤(アファーム+マッチ)
- チューンアップ顆粒水和剤
- リーフガード顆粒水和剤
- パダンSG水溶剤
- トルネードエースDF
- アクセルフロアブル
- アクセルキングフロアブル
- ディアナSC
- スピノエース顆粒水和剤
- ファインセーブフロアブル
- グレーシア乳剤
- ブロフレアSC
- ベネビアOD
- ヨーバルフロアブル(潅注も有り)
- ベリマークSC(灌注)
- プレオフロアブル
- ハチハチ乳剤
- コテツフロアブル
- カスケード乳剤(IGR系)
- ノーモルト乳剤(IGR系)
- マッチ乳剤(IGR系)
- ファルコンエースフロアブル(ファルコンFL(IGR系)+スピノエース)
- ミネクトデュオ粒剤
など(順不同)があります。
引用元: アグリポイント~農業現場の病害虫・栽培問題対策室
キャベツで問題になる根こぶ病は、白菜でも同様に起こり、発生すると大きな被害をもたらします。軟腐病も、ほかのアブラナ科植物にも感染します。これを防ぐには、アブラナ科野菜との連作をしないことが大切です。
【根こぶ病対策】
【結球白菜を作ったが、球の締まりが悪い場合の対処】
結球白菜の球は80~100枚ものが多くの葉によって形づくられています。まきどきが遅いと、関東南部の場合では、花芽分化する10月中旬ころまでに結球するための葉が確保できず、球がかたくならないのです。
逆に早くまきすぎると、秋の栽培の場合には育苗時期が夏の暑い盛りにぶつかりますので、苗がよく育たず、また、後から病気が出やすくなります。
白菜ではまきどきがたいへん重要な意味を持つのはこのような理由によります。関東南部以西では多くの品種が8月20日~25日頃が適期となります。また、葉数は確保されたとしても、一枚一枚の葉が十分に大きくならないと球が小さかったり、しまりがゆるかったりしてよい球にはなりません。
大きくするには元肥に堆肥を十分施し、追肥を適期に行って肥ぎれさせないことが重要です。特に結球開始前までの追肥を入念に行うようにしましょう。
水はけのよい畑を選ぶ
白菜は乾燥には比較的強いのですが、秋の長雨などで畑の排水が悪いと、根腐れを起こしやすくなります。
畑は排水のよい場所を選び、高畝などにして、大雨の時に速やかに水がはける対策を取っておきましょう。
べたがけで幼苗を守る
大きな球を作るためには、気温が下がり日が短くなる前に、外葉を十分大きくしておきます。そのために、病害虫の被害を受けにくい時期になったら早く種をまきます。
苗をポットで育てて植え付けてもよいですが、直まきは、苗づくりをする手間がかからないのでおすすめです。一ヶ所4~5粒の点まきにします。
種をまいたら、幼苗の保護と生育初期の害虫対策に、べたがけかトンネルをしましょう。
べたがけ資材は幅の広いものを用意し、結球を始めるころまでかければ、薬剤散布を軽減できます。なお、直まきの場合は黒丸マルチをするとより効果的で、雑草対策にもなります。
直まきの間引きは早めに
直まきをした場合、1回目の間引きは本葉2~3枚のころ、2回目の間引きは6~7枚で行い、1本立ちにします。大株になってから間引くと、根や株を傷めてしまいます。
間引いて1本立ちにした後に、マルチの穴から株のまわりに1株当たり化成肥料10g程度を追肥します。2回目の追肥は、葉の中心部が巻き始めたころ、畝の両側に1㎡当たり1000g程度を施します。
移植する時は根鉢を崩さずに
苗を栽培したり購入したりして栽培することもできます。
苗を作るときは、9cmポットに種をまき、発芽後間引いて1本にし、本葉5~6枚で植え付けます。
育ちすぎて根詰まりしたり、植え付け時に根を傷めたりすると、その後の生育が悪くなります。植え付けは根鉢を崩さずに行います。
収穫適期は手で押さえて確認します
よい白菜は、弾力があり、株が充実しています。収穫は、頭を指で押さえて、固くしまってきたころから始めます。柔らかかったら、収穫はまだ早いサインです。
切り取るときは、球を斜めに押し倒して、外葉との間に包丁を入れます。
収穫の目安としては、もっとも作りやすい秋どりの場合で、早生種では2.0~3.0kg(種まきから80~90日)、中生種2.5~3.5kg(100~120日)、晩生種2.5~3.5kg(120~150日)です。
白菜の頭を縛って冬越し
晩秋の霜や雪が降る前に、外葉を縛っておくと畑で冬越しでき、長く収穫を続けられます。この方法を結束貯蔵といい、中晩生や晩生品種が耐寒性と貯蔵性に優れ、1~3月まで収穫できます。
冬の畑で縛った白菜を見かけますがけっして結球させる為ではなく、中の球が霜で傷まないように、外葉で守っているのです。
収穫したものは新聞紙でくるみ、段ボールに入れて冷暗所に保管します。
引用・参照元:野菜づくり虎の巻
まとめ
おいしい白菜の作り方のポイントは下記のとおりです
- 一日当たりの良い場所を選び、風通しの良い環境を整える。
- 肥沃で水はけの良い土壌を用意し、堆肥や有機肥料を大切に。
- 適切な間隔で種をまき、定植後は十分な水やりを行います。
- 葉が成長する一方、適度な間引きを行い株間を広げます。
- 害虫や病気に注意し、必要であれば予防を行います。
- 収穫時期を見据えて、白菜が十分に成長したら収穫する。
- 収穫後は根元を残し、保存する際は冷暗所で保管する。
ポイントを参考にしていただきおいしい白菜を作ってください。