使い道が多彩で、健康効果があるショウガ栽培

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ショウガは、魚肉料理の香辛料、麺類の薬味、寿司のガリ、生姜味噌、ジンジャーエールなど様々に楽しむことができます。また、殺菌作用、薬効、消臭効果などがあります。栽培方法と収穫の仕方により、年間を通して利用できる重宝な野菜です。

出典:写真AC

栽培特性

【原産国から薬効利用】

ショウガはその爽やかな辛みと香りが高く評価されており、古代から世界中の温暖な地域で香辛料や薬用植物として栽培されてきました。原産地は、主にマレーシアやインドを含む熱帯アジアとされています。

日本におけるショウガの歴史も古く、「魏志倭人伝」には日本の野生のショウガが記述されています。奈良時代にはすでに栽培されており、「はじかみ」や「くれのはじかみ」と呼ばれていました。この「はじかみ」は、山椒の古名でもあります。

現代では、ショウガは魚肉料理の香辛料、麺類の薬味、寿司のガリ、ショウガ味噌、ジンジャーエールなど、幅広い用途で楽しまれています。また、殺菌作用、抗酸化作用、発汗作用、鎮痛作用などの効能があり、古くから胃腸の健康、食欲促進、風邪、咳、鼻詰まりなどの治療に用いられてきました。風邪の予防としては、しょうが湯を飲んで早めに休むのが最適とされています。

暑さと多湿を好み、連作は嫌う

ショウガは熱帯地方が原産であり、暑さと湿度を好む性質を持っています。発芽は約18℃から始まり、生育に適した温度は25℃から30℃の範囲です。一方で、低温には非常に弱く、15℃が生育の限界であり、10℃以下では根(塊茎)が腐ってしまいます。そのため、多年草であるにも関わらず、日本では冬を越せないため、春に植えて霜が降りる前に収穫する一年草として扱われます。植え付けは、地温が15℃以上になり、遅霜の心配がなくなった時期が適しています。

また、ショウガは連作障害を起こしやすい野菜の一つです。連作すると、地下部の塊茎が腐る根茎腐敗病やネコブセンチュウの発生リスクが高まります。そのため、植え付ける際には、4~5年間作付けされていない畑を選ぶことが大切です。さらに、日当たりがそれほど良くない場所でも育つことが特徴です。

初夏から晩秋まで楽しめる

ショウガの栽培では、塊茎を分けた種ショウガを植え付けます。植え付けた種ショウガから新芽と根が伸び、葉が数枚展開すると、株元に新しい芽が現れます。この新芽からも葉が育ち、さらに次の新芽が出てくるというサイクルが繰り返されます。芽の根元にある塊茎は次々と肥大し、成長していきます。

塊茎が順調に生育するためには、発芽後と1ヶ月後に追肥と土寄せを2回行うことが重要です。また、ショウガは乾燥に弱いため、夏場は水やりを忘れないようにしましょう。

収穫期は、初夏から霜が降りる前までとされ、この期間に筆ショウガ、葉ショウガ、新ショウガなどを順次収穫し、楽しむことができます。7月から11月にかけては、旬のショウガを味わえます。

栽培方法

【畑の準備】

土作りは、作付けまでに期間を置いて行います。

  • 堆肥(作付けの2~3週間前)
  • 石灰(作付けの2週間前)
  • 元肥(作付けの1週間前)

堆肥とは、有機物(落ち葉、雑草、生ごみ、米ぬか、油粕、畜ふんなど)を微生物の働きで発酵・分解させて作ったものをいいます。

石灰には消石灰、苦土石灰、有機石灰の3種類があります。消石灰は、初めて作付けをする土壌の場合に使用します。作物を育てている途中であれば影響の少ない苦土石灰や有機石灰を選びます。

【種ショウガの準備】

種ショウガは、JAグリーン、種苗店、ホームセンターで販売されています。品種によって塊茎の大きさや辛みの強さが異なります。塊茎の大きさによって、大ショウガ、中ショウガ、小ショウガに区別されます。

【植え付け】

ショウガの植え付け適期は気温が高くなる4月下旬〜5月上旬、地温が15度以上になってから行います。

50gくらいの大きさで手で分割。株間30cmで深さ15cmの植え穴を掘り、種ショウガを横に寝かせて植え付けます。種ショウガの上に土を盛り、手のひらでしっかり押さえて鎮圧し、たっぷりと水をやります。

出典元:やまむファーム

【追肥】

  • 1回目➡草丈が15cm位に伸びたとき
  • 2回目➡草丈が30~40cmの頃

場所によっては1ヶ月後に3回目もするところがあります。追肥の場所は株元に行います。

【敷きワラ・潅水】

乾燥に弱いので、梅雨あけのころ株元に敷きワラをし、乾きすぎたときは潅水をします。

【収穫】

出典元:やまむファーム
出典元:やまむファーム

栽培のポイント

【種ショウガの確保】

ショウガのの生育は、初期は特に種ショウガの影響を大きく受けます。植えつける種ショウガは、しっかりした目ををもち、皮にハリがあり、丸く膨らんでものを選びます。

大きい種ショウガは、50gくらいの大きさに、大ショウガでは150gくらいに、3~4芽がほどつくように手で分割して植え付けます。

【高温期には水やりを】

ショウガは湿度を好み、乾燥を嫌いますが、根が浅く表土近くにしか分布しないため、乾燥しやすい特性があります。そのため、夏の乾燥期には適切な水やりが重要です。

さらに、7~8月には敷き草やわらを使ってマルチングを行い、土壌の乾燥を防ぐことが推奨されます。

【収穫は筆ショウガから】

ショウガは収穫時期によって異なる名前があります。

筆ショウガ(矢ショウガ)は、新芽の葉が3~4枚開いており、根がまだ肥大していない段階のものを指します。葉ショウガは、葉が5~6枚の段階で根がやや太っているものです。いずれの場合も、株ごと掘り起こすか、株元をしっかり押さえて必要な部分を摘み取ります。

新ショウガ(根ショウガ)は、根が十分に肥大したものを指します。収穫時期は、葉が黄色く変色し始めた時期であり、霜が降りる前までに収穫を終える必要があります。

【新ショウガの保存方法】

収穫後は、根株を崩さずに大まかな土を落とします。短期間の保存では、根株が乾燥しないように新聞紙で包み、屋内で保管します。春まで保存する場合は、砂やもみ殻を入れた箱に埋めておくと良いでしょう。保存温度は13~15℃が適切であり、蒸れが起きないよう通気も必要です。

以上でショウガ栽培の説明は終わります。

参考文献:家庭菜園大百科、野菜作り虎の巻、おいしい野菜作り、やまむファーム

終わりに

ショウガは、プランターでも手軽に栽培でき、初夏から晩秋まで楽しむことができます。前述したように、使い道が多彩であり、健康効果も期待できます。

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