ナスの食べ方は、漬けても、焼いても、煮ても美味しい野菜です。栄養的に見ると、水分が94%で糖質3%、食物繊維1%を含みますが、ビタミンやミネラルは少なく、さほど優れていません。しかし、低カロリーですからダイエットにはもってこいです。
収穫時期は、7月以降の更新剪定をすることで、9月には再び美味しい「秋ナス」が収穫できます。
栽培特性
- 生育適温は夜温で15~18℃。10℃以下では生育が著しく悪くなります。昼温は28~30℃でよく育ちます。
- 果菜の中で高温を好む方なので、早植えは禁物
- 夏の暑さには比較的よく耐え、秋おそくまで収穫することができます。
- 果実の着色は光線に敏感で、光線不足は発色不良となるので、込み合った葉は切り取り除き、果実に光線を十分に当てる
品種
果形は長形、中長形、長卵形、卵形、丸形など、大きさも大長、大丸から小丸まで、多様なものがあります。
近年は、長卵形の千両2号(タキイ)、竜馬(タキイ)、黒帝(サカタ)、長形の筑陽(タキイ)などが主体となってきたが、地方品種の水ナス、丸ナス、小丸ナス(うす皮味丸、サカタ)などの人気も高まってきている。
苗づくり
『自家育苗』
- 種の間隔は0.5~0.8cmくらい
- 二葉のとき葉が重なり合わないくらいに間引く
※4月中旬以降は日中の換気に気をつける
【育苗ハウス内】
- 発芽には昼28~30℃、夜20℃の変温がよい
- 本葉1枚のとき4号のポリ鉢に移植する
- 本葉7~8枚の苗に仕上げます。
『購入苗の場合』
- 株間を十分に与えしっかりした苗に仕上げます。
- 定植時の苗の姿(よい苗の見分け方)
『畑の準備』
1m幅で30cm以上堀り上げ、堆肥や油粕、化成肥料などを施してまわりの土とよく混ぜます。畝は高めにして水はけをよくします。(1株当たり、堆肥 3~4握り、油粕 大さじ2杯、化成肥料 大さじ1杯)
『植え付け』
株間60cmで植え穴を掘って水をまきます。あらかじめ水やりしておいた苗を浅植えにし、土を寄せて押さえます。根鉢はくずさないこと。水輪を掘って水やりをします。
『支柱立て・誘引・整枝』
【整枝】
【支柱立て】
【敷きわら】
梅雨明け後、敷きわらをします。
【追肥】
追肥は1株当り、化成肥料 大さじ1杯、油粕 大さじ2杯
1回目は株のまわりに施します。2回目は畝の裾に施します。
※肥ぎれさせないよう、15~20日に1回くらい追肥します。かたくなったら通路の土をやわらげて通気をはかることも大切です。
【害虫防除】
アブラムシ、ダニ類などがつきやすい。葉色に注意して少発生のころ葉の裏表に入念に薬剤を散布しましょう。
ナスの病害虫はこちらをご覧ください。
【更新剪定】
秋ナスを収穫するための更新剪定
【収穫】
開花後15~20日くらい。大きくなったらハサミで切り取ります。
※花の形や色、つく位置など健康状態によく注意し、草勢が悪くなったら小さいうちに収穫して、株の負担を軽くします。その後追肥をすると、草勢の回復が大変早くなります。
草勢(そうせい)とは、「株の勢いのこと」です。
栽培のポイント
【高温を好むので早植えは禁物】
ナスの生育適温は28~30℃と高温です。そのため、じゅうぶんに暖かくなる5月の連休ころに苗を植えつけるようにします。
苗を適期に植えるためには、寒い時期に育苗しなければならないので、市販の苗を購入しましょう。
接ぎ木苗の場合は、接ぎ木した部分がしっかりしていて、茎が太く、葉が厚くて色の濃いものを選びます。1番花が咲き始めているくらいが、植えつけに最適な大きさです。
【マルチングで地温を上げ、初期成長を助ける】
植え付け時には、マルチングをして地温を上げると成長が格段によくなります。乾燥防止や雑草よけなども兼ねて、黒色マルチを畝全体に張りましょう。植えつけの数日前に張って、あらかじめ地温を高めにおくのがベストです。
【花でわかる株の栄養状態】
ナスは多肥を好むので、肥料ぎれさせないように追肥します。収穫が始まった2週間に1回、1㎡当たり化成肥料30g程度が目安です。
また、株の栄養状態は、花の様子で判断できます。栄養が足りた健全な株の花は、花の中央にある雌しべより長く、花色も濃く、花がつく節の先に葉が数枚ついています。
一方、栄養不良の株の花は、雌しべが雄しべより短く、花色も薄く、花が枝の先端についています。
「親の意見とナスビの花は千に一つの無駄もない」という諺があるほど、ナスは着果率がよいといわれていますが、実際は40%程度です。
【ぼけナスに注意!収穫は早めに】
品種により収穫に適した大きさは異なりますが、主流品種の中長ナスで開花後20~25日、長さ12cm程度で、果皮につやがあるうちに収穫します。
開花後35日もすると、実は長く大きくなり、果皮につやがなくなります。割ってみると、中の種が熟してしまい、品質が著しく落ちます。このようなナスを通称「ぼけナス」といいます。
株を疲れさせないためにも、ナスは早めに収穫するように心がけましょう。
【乾燥期のダニ類が大敵】
梅雨が明け乾燥してくると、葉につくハダニやアブラムシ、果実につくチャノホコリダニなどが増えて、被害がめだつようになってきます。薬剤散布を行って駆除するのが確実ですが、無農薬で被害を抑えながら栽培する方法の一つに「散水栽培」というものがあります。
原産地のインドの気候をまねて、一日に1回、株の葉や茎に水をたっぷりとスコールのように掛けます。そうすると、アブラムシやハダニなどの害虫が、水に流されて地面に落ち、二度と株に上がれません。梅雨から夏にかけて、害虫が多く発生する時期に毎日夕方に行います。
【更新剪定をして秋ナスを収穫】
7月下旬にもなると、ナスは病害虫や自然な傷みによって株が疲れ、実つきが悪くなります。そうなると、思い切って枝を切り戻します。これを更新剪定と言います。
また、同時に株元から30cm程度離れた周囲にスコップを差し込んで根切りと、追肥をしておきます。
更新剪定や根切りを行うことによって新たな枝や根が伸びだし、9月には再び美味しい「秋ナス」が収穫できます。
参照・参考元:家庭菜園大百科、おいしい野菜作り
まとめ
ナスの栽培についてご紹介しました。ナスの食べ方はいろいろあり、更新剪定することで秋にも収穫できます。手間がかかりますが、それだけ楽しみながら長く栽培できます。